職人しか買わないはずでは? ワークマンの“着るこたつ”が若い女性にも支持されているワケ | ニコニコニュース
13日、東京都心で「木枯らし1号」が吹き、本格的な冬が到来した。日に日に寒さが厳しくなり、防寒アイテムに注目が集まっている。こうした中、好調な売れ行きを見せているのが、ワークマンの“着るこたつ”ことヒーターウェア「WindCore ヒーターシリーズ」だ。
同商品は、ベストなどウェアの首の下や腰あたりに電熱線(ヒーター)を装着しており、付属の充電式バッテリーを使用して体を温める仕組みだ。使用後5分ほどで保温効果を実感できるという。
温度は低温(約40度)、中温(約45度)、高温(約50度)の3段階から、外気温や体調に合わせて選択できる。一度バッテリーを充電すれば、最長で約16時間使用可能となっている。ちなみにこのバッテリーは、夏の「ファン付きウェア」と使いまわしが可能。季節によってウェアを変えることで、1年を通じて防暑&防寒対策ができる仕様となっている。
2019年にベストタイプを発売したところ、寒さが厳しい現場で働く職人から支持され、人気に火が付いた。現在では、ベスト5種類、パンツ3種類、ジャケット4種類、ブランケット1種類、マルチパッド1種類の計14アイテムを展開している。
現在発売中の最新モデルでは、温度調節スイッチを内側に入れるデザインに変更した。「周囲からヒーターウェアだと気付かれにくく、普段使いしやすいようなデザインを採用しました」(同社広報担当者)
●開発時にこだわった機能と価格
商品開発時にこだわったのは2点。1つ目は機能性だ。製品によって異なるものの、撥水、発熱、ストレッチ、防風、反射材付きなど、あたたかさにワークマンらしい機能性を追加している。
2つ目は価格だ。他社が展開する類似商品は、多くが1万円前後の価格設定となっている。しかし、同社は3900~5500円の価格帯を維持。低価格と高機能を両立させることで、消費者からの支持を獲得した。
●当初は「職人にしか売れないだろう」と予想
同社広報担当者によれば、ヒーターウェアの売り上げは毎年好調で、右肩上がりに推移しているという。年々生産数を増やしているが、それでもシーズン終盤にはほとんど売り切れる定番製品に成長した。
ヒーターウェアは発売当初、同社製品の中では高価格だったため、寒い中働く外仕事の職人しか購入しないだろうと考えていたという。「ところがいざ発売してみると、バイク、釣り、ゴルフなど、趣味に使用するために購入する方が多かったのが想定外でした」(同社広報担当者)
今年の購買層を見るとメインは男性客(職人)だが、寒くなる前に女性が購入するケースも目立っているという。「年代も20~60代と幅広く、家の中ではエアコンを使わないよう節電のために着用する、外ではガーデニングやアウトドアで使用する人が増えています」(同社広報担当者)
また、マルチパッドやブランケットといった「着る」以外の商品も人気だ。前述のような節電目的だけでなく、子どものスポーツ観戦のため、外に長時間いなければならない親が全身をヒーターウェアでそろえるケースも多いという。
同社広報担当者は、“着るこたつ”ことヒーターウェアについて「機能性は消費者に認知していただけたのではないか」と自信を見せ、今後重視すべきは「デザイン性」だと話す。「もちろん質は落としませんがあえて機能性を隠し、まずはデザインを見て購入していただけるような商品を展開していきたいと考えています。使用している中で『こんなにいい機能がついていたのか』と思っていただけるような商品を目指します」