息子1人に3030万円の教育費。世帯年収700万円でさせた海外留学の「悲しい代償」――2023年大反響トップ7 | ニコニコニュース
2023年、反響の大きかった記事からジャンル別にランキングを発表。苦しいサラリーマン本音が漏れる「会社員」部門、第4位はこちら!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年2月28日 記事は取材時の状況)
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「かわいい我が子を少しでもいい大学に」そんな思いから、塾代や学費などを惜しげもなく払う親が増えている。しかし、「課金型教育」とも呼ばれる状況は、成果が出るどころか、むしろ「カネを使うほど成績が上がらない」という悲しい現実も生んでいる。こうした親たちのリアルな教育事情を特集。教育費から、そのコスパを解き明かしていく!
◆中学生から留学開始。塾などへの重課金で家計は常に火の車
子供の海外志向は喜ばしい話だが、費用面を考えると親は頭が痛い。
都内在住の松田修平さん(仮名・61歳)は現在、日本の有名私大に通う長女に加え、米フロリダ大学に留学している長男の大学費用も支払っている。特に長男は私立中学時代から海外留学をさせるなど、延べ3000万円以上の教育費をかけてきた。その転機は小学4年の頃だったという。
「地元の公立小学校に通っていたのですが、三者面談で担任の先生に『できれば中学受験をしたほうがいい』と勧められたんです。理由を聞くと、居住地域に在日外国人の子どもが多いために、『公立だと彼らに合わせた授業をするので、勉強の進み具合が遅くなってしまう』と。そこで妻と相談して私立中学受験のための塾に通い始めたんです」
◆将来の選択肢が広がると…
そして受験の末に、北区にある中高一貫校に入学した。
「その学校では、ニュージーランドの提携校への短期留学を実施していて、中3の春休みに行ってこいと。早いうちから海外を経験しておいたほうが、将来の選択肢が広がると思ったんです。そうしたら、高校3年の進路相談のときに、『アメリカの大学に行きたい』と言いだしたんですよ」
◆大きかった代償
卒業後は日本にある専門学校に1年、アメリカのコミュニティカレッジに2年。そして全米大学ランキングでも上位のフロリダ大学に編入できたが、代償は大きかった。
「息子がアメリカに旅立つ前に留学にかけられる予算は1200万円しかないと宣言していました。それなのに円安のせいですでに超えちゃってるんです。順調にいっても、卒業まで1年半もあるのに……」
世帯年収は約700万円と中流家庭。ここまで多額の教育費を捻出するために、夫婦でかなりの節約生活を続けている。
「60歳までは社宅にいて、昨年からは学生寮の寮長・寮母として夫婦で住み込みで働いています。正直こんなに自由がない仕事だとは思いませんでしたが住み込みなので家賃と光熱費がタダでありがたい」
◆保険金を留学費用に…
「5年前には私ががんになったのですが、保険金が下りたので留学費用に充てられて助かりましたよ。今はなんとか寛解しました」
とはいえ、妻に対しては申し訳ない気持ちもある。
「妻はずっと『定住できる持ち家が欲しい』と言っていましたし、老後資金の心配もあります。ですから、子供が独立したら、瀬戸内海で民宿をしながら妻孝行したいんです。それまではなんとか健康で踏ん張りたいですね」
我が子を海外で学ばせるためには、相当な覚悟が必要だ。
◆松田さんの教育課金履歴(長男のケース)
<家族構成>
夫/松田修平さん(仮名・61歳)
妻
長男(海外留学中)
長女(私立大学生)
<幼稚園(私立)>
塾・習い事代 400,000円
教材費 300,000円
私立幼稚園代 1,300,000円
<小学生(公立)>
塾・習い事代 2,000,000円
教材費用や用具代 600,000円
勉強環境の整備代 400,000円
<中学生(私立)>
私立受験料 200,000円
入学金と3年間の学費 4,000,000円
教材費用や用具代 500,000円
海外留学費 1,300,000円
<高校生(私立)>
入学金と3年間の学費 5,000,000円
教材費用や用具代 500,000円
語学学校代 1,500,000円
<大学生(海外)>
受験料と旅費・宿泊費 300,000円
海外留学費 12,000,000円
累計課金 3030万円
取材・文/週刊SPA!編集部