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「ソニーとホンダ」の新会社設立、まったく新しい形の会社を目指す
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2025年は、電動化へのシフトという点でターニングポイントになる

ソニーグループ本田技研工業が設立したソニーホンダモビリティSHM)がいよいよ始動した。資本金は100億円。ソニーグループ50%本田技研工業50%を出資。ソフトウェア技術を中心とした「Mobility Tech Company」を目指す考えを打ち出した。

最初のクルマ(EV)は、日本および米国で、2025年前半から先行受注を開始し、2025年中に発売する予定だ。

ソニーホンダモビリティの水野泰秀会長兼CEOは、「2025年は、電動化へのシフトという点で、ターニングポイントになる。このタイミングは外せない」と、2025年の発売を視野に入れた理由を語る。販売は、オンラインが基本になるという点もユニークだ。

生産はホンダの北米工場で行い、2026年春には北米市場向けに出荷を開始し、日本市場向けには2026年後半から出荷する。

発売するEVのデザインや仕様、価格などは、現時点では明らかにしていないが、水野社長兼CEOは、「ソニーホンダモビリティのEVは高付加価値型になる。かなりの価値を付けるため、それなりの価格帯になるだろう。量を狙った商品ではない。価格に見合った価値を出せるだけの装備をしたい」と語る。

さらに、「ソニーホンダモビリティは、まったく新しい姿の企業にしたいと考えており、ソフトウェアを中心とした新たな技術の投入、他社とのパートナーシップ、新たなアイデアの採用により、既成概念を覆す高付加価値型の商品やサービスを提供し、顧客との新たな関係性の構築にチャレンジしたい。目指す姿は、Mobility Tech Companyであり、日本発の企業としてグローバルで躍進を遂げ、日本の産業界の活性化に少しでも貢献したい」と意気込む。

会見で放映されたビデオでは、光に反射した車体の一部を映したあと、2023年1月4日に、ラスベガスで、なにかしらの告知があることを示した。1月5日からは、ラスベガスでCES 2023が開催される予定であり、その前日には、現地で記者会見が行われるのが定番だ。CES 2023の記者会見で新たな情報が世界に向けて発信されることになりそうだ。

3つのAを軸に展開

ソニーホンダモビリティが目指すクルマは、AutonomyAugmentation、Affinityの3つの「A」が軸になるという。

ひとつめのAutonomyは、「進化する自律性」という意味を持たせ、ホンダが提唱している「事故に遭わない社会」の実現に向けた取り組みを活かすとともに、ソニーが得意とする車載センサー技術を組み合わせすることで、さらなる安全性能の向上に努めるほか、快適な移動空間を実現するために、様々なインテリジェント技術を活用することを目指す。

具体的には、レベル3の自動運転を目指し、そのために合計800TOPS以上の演算性能を持つ高性能SoCを採用することになる。

2つめのAugmentationでは、「身体・時空間の拡張」と位置づけ、新たな移動空間を提案する。自動運転により、安心安全が実現された移動空間では、運転以外の楽しみが提供できる環境が整うことから、ソニーグループが持つエンターテイメント技術の活用や、コンテンツの提供、HMI(ヘッドマウントディスプレイ)を活用することで、リアルバーチャルの世界を融合。移動空間をエンターテイメント空間や感動空間へと拡張する。クラウドで提供するサービスと連携することで、ユーザーごとにパーソナライズした車内環境も実現する。また、メタバースなどのデジタルをフルに活用した新しいエンターテイメント空間の可能性も追求することになる。

「モビリティは、物理的に移動するための手段だけに留めず、移動空間における新たなコミュニティを創造したい」とする。

HMIおよびIVI(in-vehicle infotainment)には、最新のSoCを2個搭載し、リッチな顧客体験と、将来的なアップデートにも対応するという。

さらに、サービスラットフォームを、ソニーグループソニーモビリティが構築。これを活用して、車載ソフトウェアだけでなく、クラウド上のソフトウェアまでを含めた統合的なソフトウェアフレームワークを実現。リカーリングビジネスを想定した移動体験サービスを提供するためのアーキテクチャーを設計していくことになるという。

車というハードウェアを持たない顧客とも、多くのつながりを

3つめのAffinityには、「人との協調、社会との共生」という狙いを込めた。

顧客との接点を強化するだけでなく、自動車業界の内外の新たなパートナーや、モビリティ空間における新たなエンターテイメントを創出するクリエイター、専門性を持つ数多くのパートナーとの共創を進め、オープンで、自由な共創環境を作っていくという。

「これまでの顧客との接点は、クルマを販売し、アフターサービスでつながるという仕組みだった。ソニーホンダモビリティが実現するモビリティは、クルマサービスを届けて終わりではない。車というハードウェアを持たない顧客とも、多くのつながりを持ち、ブランドに共感してもらえる仲間が集うコミュニティづくりを目指す」とする。

商品開発プロセスにもカスタマーやクリエイターに参加してもらい、商品の販売後も、行動特性や嗜好を理解し、それぞれのカスタマーに最適化した顧客体験を提供するという。

また、従来の自動車OEMを頂点として、数多くのパートナーに支えられた自動車産業の構造での経験に、水平分業が浸透しているIT業界の産業構造での経験を組み合わせることで、クルマを支えるステークホルダーとの関係も見直す必要が出てくるとの見方も示す。それにあわせて、パートナーとの新たな関係構築を目指すという。

「サプライヤーに対しては、ソニーホンダモビリティが目指すビジョンを共有し、オープンで対等な新しいパートナーシップを築きたい」とする。

クルマからモビリティ

ソニーホンダモビリティは、EV時代や自動運転時代の新たなクルマづくりを目指すだけでなく、そこから生まれる新たなサービスの創出、新たなパートナーとの関係づくりを目指すことになる。

同社が「クルマ」という表現をあまり用いず、「モビリティ」という表現を前面に打ち出し、この言葉を多用している理由も、従来のクルマを超えた新たな世界を作るという意図がある。

「モビリティ業界は、デジタル技術とソフトウェア震源地として、大きな変革期を迎えている。既存の自動車産業の手法とはまったく異なるアプローチを取る必要がある」と水野会長兼CEOは語る。

ソニーホンダモビリティのパーパス(存在意義)は、「多様な知で革新を追求し、人を動かす」であり、「知を繋げ、最先端のテクノロジーへの挑戦を行い、人の感性や行動へ働きかけ、人を動かすモビリティの革新を実現していく」とする。

どんなモビリティが、2025年に登場するのか。Mobility Tech Companyをいう新しい企業の姿の実現とともに注目したい。

ソニーとホンダの新会社設立、まったく新しい形の会社を目指す

(出典 news.nicovideo.jp)

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