ジブリ作品にも登場するカブトビールとグルメを堪能! レンガアートや着付け体験も!! | ニコニコニュース
愛知県の半田市にある「半田赤レンガ建物」は1898年(明治31年)にカブトビールの製造工場として誕生し、明治時代に建てられたレンガ建造物としては日本で五本の指に入る規模を誇る貴重な建物。国の登録有形文化財に指定されており、設計は横浜赤レンガ倉庫などを手がけた妻木頼黄(つまき よりなか)。
施設内には建物やカブトビールの歴史を学べる展示室やカフェなどがある。2022年11月に愛知県に開園したジブリパーク、そのジブリ作品のひとつ「風立ちぬ」の映画の一場面にカブトビールの広告塔が登場することからファンの中でも熱い視線が! そんな「半田赤レンガ建物」では、同年9月よりカブトビールによく合う地元食材(地元産野菜・知多和牛・あいぽーく)を使用した料理が登場。また12月より赤レンガを使った手作りワークショップ体験や明治・大正時代の衣装を着て記念撮影ができるなど、体験コンテンツが充実。従来のカブトビールツアー(事前予約制)やスタッフによる常設展示室ガイドなども行なっているので、ぜひ足を運び、歴史を五感で感じながら思いを馳せたい。
1889年(明治22年)中埜酒店4代目・中埜又左衛門と後の敷島製パン創業者・盛田善平らにより、「丸三ビール」と名付けられて出荷された、これがのちのカブトビールとなる。大手4大ビールメーカーに果敢に挑戦した、半田生まれのビール。戦争により工場は閉鎖され、“幻のビール”となっていたが、2005年に復刻されて、現在では2種類(明治・大正)のカブトビールを楽しめる。
■半田赤レンガ建物、新名物メニュー! 地元食材たっぷりのランチをカブトビールと味わおう!
知多和牛ローストビーフ丼 1800円。半田市にある「小栗牧場」で飼育された、黒毛和牛を使用。ローストビーフの味付けには、半田の老舗「キッコウトミ」の醤油、蔵元「中埜酒造」の日本酒、「三州三河みりん」のみりんなど、こだわりの調味料に隠し味でカブトビールを使ったローストビーフを活かす知多の旨タレをかけて。
■あいぽーくのアイスバイン
知多のブランド豚「あいぽーく」の何日もかけて塩漬けにした豚の骨付きすね肉を数種類の野菜と一緒に何時間も煮込んで作るアイスバイン(ドイツ北東部の伝統料理)はカブトビールとの相性バッチリ。付け合わせのザワークラウトには地元「ミツカン」の純米酢と美浜の塩で知多風のアレンジを加えている。
手で割れるほど薄くスライスした赤レンガを型にはめていき、ロゴ入りコースターを制作。補強工事の際に出た赤レンガの廃材を使い、カブトビールのロゴ入りコースターを作る貴重な体験だ。料金1000円~。 ※日程や予約についての詳細はウェブサイトを確認。
■レンタルあり!着物姿で記念撮影!!
着物をレンタルして、明治・大正ロマン漂う赤レンガ建物の敷地内を散策できる。帯は結びの形ができ上がっているタイプなので、自分自身で簡単に着付けができる。女性用12着のほか、男性用も3着用意。時間は9時~17時(受付~16時30分)、予約も可。
「半田赤レンガ建物とは?」
1898年(明治31年)にカブトビールの製造工場として誕生。国の有形文化財にも選ばれているレンガ建造物。明治31年に竣工された建物には100年を超える歴史があり、「カブトビール」というオリジナルブランドのビールの醸造が行なわれていたという背景がある。設計者は、明治建築界の三巨匠の一人、妻木頼黄(つまき よりなか)。
横浜赤レンガ倉庫や日本橋(装飾部)なども彼の設計によるもので、半田赤レンガ建物は、ビール工場として安定した温度や湿度を必要とすることから、現在ではほとんど例を見ない、中空構造を持つ複壁や多重アーチ床など、極めて特徴的な構造をもった建物。2004年(平成16年)に国の登録有形文化財として登録され、2009年(平成21年)には近代化産業遺産に指定されている。
改修工事がなされた後、2015年(平成27年)に半田市の貴重な産業遺産、半田運河と新美南吉記念館の中間に位置する観光の回遊拠点として、常時公開されるようになった。 日本のビール黎明期に地方都市・半田から一流ブランドを目指し、果敢に大手ビールメーカーに挑んだ起業家たちの精神を今に伝える場所となっている。
半田は古くから醸造業がさかんであり、今もその伝統が受け継がれ、多くの名酒を生産している。一般的に半田の酒は日本酒を指して言うが、実は、ビールの製造も早くから手がけていた。
半田における本格的なビールの製造は、明治20年(1887年)に四代目中埜又左衛門と盛田善平(後に、現在の敷島製パンの前身である敷島屋製粉場も開業)によって丸三麦酒醸造所で始められた。明治22年には「丸三ビール」として3000本を初出荷している。
その後、急成長を遂げ、明治29年(1896年)には、北海道のサッポロ、東京のエビス、横浜のキリン、大阪のアサヒに対抗して、丸三麦酒株式会社が設立された。そして、本格的ドイツビール製造に向け、ドイツゲルマニヤ機械製作所による「完全なるビール醸造器械」を買い入れ、ドイツ人醸造技師を招き、新工場が建設された。これが半田赤レンガ建物だ。新工場建設とともに銘柄も、カブトビールと改められ、明治33年のパリ万国博覧会には、金牌を受賞するほどの品質を誇っていた。その後、社名さえも「加富登麦酒株式会社」に改められるなど、カブトビールは東海地方では最大のシェアを持っていた。
カブトビールの名称の由来は、ビールは日本酒と違って喉で飲むといわれているが、喉で勢いよく飲むことを「カブル」ということから、なまって「カブトビール」になったなど諸説あるという。また、日清戦争後でもあることから、勇ましい「兜」の商標を採用したともいわれている。
(参考文:「献明治期の産業建築旧カブトビール工場の遺構に関する研究」著者:竹内尊司(愛知県立愛知工業高校教諭)
半田赤レンガ建物の保存活動を行なう赤煉瓦倶楽部半田の企画により、2005年6月にカブトビールが復刻発売された。
当時の文献にできる限り忠実に復刻した「明治カブトビール」と大正時代の分析表をもとに復刻した「大正カブトビール」の2種類のカブトビールは、現在、半田赤レンガ建物内にある「カフェ&ビアホール『Re-BRICK』」にて地元食材を使った美味しい料理やおつまみとともに楽しむことができる。
生カブトビール(明治・大正)各600円
明治カブトビールの特徴
・アルコール7%
・ホップが現在の2倍(苦味の強いビール)
・麦汁糖度が高く、赤褐色をしていた
・炭酸が現在のビールよりも少ない、本格ドイツビール(赤ビール)でワインに近い味わいのビール
大正カブトビールの特徴
・アルコール5%
・淡帯褐色透明(淡い琥珀色)
・麦汁糖度が高く、芳醇な香味(麦の味わいが香ばしく、古き良き時代を思わせるクラシックラガー)