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Amazon「5つ星レビューで2000円ゲット」は裏バイト? 弁護士に聞く | ニコニコニュース

 ある日、「Amazon」のロゴが入ったハガキや抽選券が届き、購入した商品について「5つ星のレビューするだけで、現金(商品券)ゲット」などと記載されていたら、すぐに写真を撮ってコメントを書き込みたくなるだろう。しかし、ちょっと待ってほしい

 実は、なかにはお金を支払って偽のレビューをする「サクラレビュー」と呼ばれるものが存在する。多くの人がネットショッピングで頼りにする購入者の口コミが、実は操作されたものだったとしたら恐ろしい。

 今回は、サクラレビューの定義や見分け方を中心に、損害賠償問題や闇バイトにつながるケースについて、笠井・金田法律事務所弁護士であり、第二東京弁護士会所属に所属する金田万作先生@mansakukanada)に尋ねた。

◆「5つ星レビューで、2000円ゲット」のハガキが届く

 そもそもサクラレビューにはどんなケースがあるのか。筆者の知人のケースでは、ネットショップで注文した商品とともにスクラッチ抽選券が梱包されていて、銀色の部分を削ると1000円のギフト券が当選するとあった

 そこで抽選券に書かれた指示どおり、記載のQRコードアクセスすると、LINEの友達登録画面に飛び、友達登録をすると、ギフト券を獲得するために5つ星レビューを促すメッセージが届いたのだとか。ただ、スクラッチカードを見た時点では「サクラレビューだとは思いもしなかった」と言う。

 筆者のもとにも、「画像付き&5つ星レビューで、2000円ゲット」などと記載したアマゾンのロゴ入りハガキが届き、知人と同じように「当選したギフト券を受け取るにはLINE登録と星5レビューが必要」などと書かれたスクラッチタイプの抽選券が同封されていた。

◆自分の真意とは異なる評価を行う「サクラレビュー

 冒頭の金田弁護士によれば「サクラレビューとは)金銭などを対価として受け取り、自分の真意とは異なるモノやコトに対する評価をおこなうこと」だという。口コミを書くだけで高収入などと人の心をくすぐるキャッチコピーバイトを募集するほか、巧妙な手口でレビューを募るケースもあるようだ。

「私のところにも一度、商品を買った先から『5つ星と書いてくれたら500円キャッシュバックします』というようなメールが届いたことがあります。なので、こういった怪しいメールは、みなさんのもとにも普通にたくさん届いているのではないかと思います。購入した商品が本当に5つ星だと思えば問題ありません。ただ、5つ星と思っていないのであれば、サクラレビューにあたります。これは商品を実際に購入したり使ったりしたことがあっても無関係です」(金田先生、以下同じ)

サクラレビューは犯罪なのか?

 さらに「自社の商品のサクラレビューを第三者に依頼したり、自ら良いレビューをつけて自作自演をした事業者には、景品表示法の不当表示として法律に違反する可能性もあります」と金田先生は語る。

「不当表示をした事業者に対しては、消費者庁が課徴金納付命令を出すこともあります。そして、消費者庁都道府県からの措置命令に違反すると、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金、または両方が科せられる場合もあるのです。ただ、一方で個人の場合、上記のようなサクラレビューをしてしまっても、現時点では刑事的な問題になることはありません。ただ、レビューを信じた人を裏切る倫理的にNGな行為ですし、“レビューをしても、現金や商品券をきちんと送ってくれる”といった保証はありません」

 また「サイトの規約で禁止されている場合は、その規約に従い、アカウントの停止や解除されることになります」とも述べる。

 実際、アマゾンコミュニティガイドラインでは、自社の製品やサービスに関するコンテンツについて肯定的な評価やレビューの依頼をおこなうこと、報酬を受け取ることについて禁止しており、違反した場合はコメントの削除やアカウントの停止、解除などの措置がある。また、楽天市場のみんなのレビュー投稿ガイドラインでも倫理に反する行為は禁止だ。

名誉毀損罪など刑事罰に問われる可能性も

 つまり、現時点(2023年3月)ではサクラレビューに対する個人への刑事的な罰則はなく、たとえ提示されていた現金や商品券がもらえなかったとしても、被る被害額はその商品券代の数千円程度の可能性が高い。しかし、サクラレビューでも「損害賠償問題に発展するケースもある」と金田先生は言う。

「『悪い評価をつけてくれ』といった依頼の場合には話が変わってきます。例えば、特定の企業や商品について悪く書いてほしいと依頼があり、そのとおりにサクラレビューした場合、悪いレビューをされた企業が損害賠償請求訴訟を起こし、民事の責任だけでなく、名誉毀損罪や信用棄損罪など刑事罰に問われる可能性もあります

 そのようなサクラレビューをした場合には、すぐにサイトに削除依頼などをしてレビューを消すことが重要です。ただ、レビューネットに一度でも公開されてしまった時点で、問題が発生する可能性があるので、書き込む前に十分気をつけてください。10~20代では、サクラレビューで味を占め、だんだん怪しい変なバイトに巻き込まれていって、気がついたら闇バイトに手を出すケースもあるかもしれません

 まずは、書き込む前に「企業や商品に対する自分自身の本当の評価なのか」「レビューを見た消費者などが誤解する虚偽の内容になっていないか」などよく考え、損害賠償問題に発展した場合には早い段階で弁護士など法律のプロへ相談することも大切だと言える。

サクラレビューの見分け方と対策

 サクラレビューは今回紹介したようにハガキメールで届くほか、SNSやサイトなどでバイトとして堂々と募集しているものもある。金田弁護士によると「本来は各サイトで禁止されているはずであるが、数が多すぎて取り締まれないのが現状」のようだ。そのため、私たち一人ひとりの見極めが重要となる。

「そもそも、アマゾンや楽天などから『星5つでレビューを書いてくれたら商品券プレゼント』など、のハガキメールは届かないので、この時点でサクラレビューだと理解してください。そして、もうひとつ大きな見極め方は、“自分の真意が思いのままにレビューできるかどうか”です。

 また、内容をきちんと読めばわかるものも多いです。たとえば、メールのあて先は、送信元をチェックしてください。ただ、いつも使っているサイトやサービスから送られてくるものと、まったく同じに偽装されている可能性もあります。こういった場合は、書かれている内容も併せて確認してみてください」

◆よく見たら日本語や漢字が違っていることも

 ほかにも、「宛先や責任者(担当者や差出人の氏名)、住所や連絡先などが記載されていなかったり、日本語や漢字がおかしい場合、現金の振込期限や商品券の送付期限などが明確に記されていなかったりする場合も要注意」と金田先生。

「また、企業から商品などの提供を受けてレビューを書く場合はPRなどと記載する動きもあります。嘘のレビューを書くサクラレビューやお金をもらってレビューしていることを隠す行為はステルスマーケティングステマ)と言われます。現時点では直接規制する法律はありませんが、今後規制が予定されていて、景品表示法などの法令違反に問われる可能性があるため注意が必要です」

 また、消費者としてサクラレビューを見分けるのは、とても難しいという。チェックをするツールもあるが、残念ながら、それをすり抜けようとしてどんどん巧妙になっていく。レビューに目を通し、実際に商品を頼んでみて信頼できるサイトを見つけるしかないようだ。

◆怪しいメールの見極め方と対策

 サクラレビュー以外にも、怪しい内容のメールは多い。筆者のもとには先日、「PayPay」から身に覚えのない利用明細のメールが届き、思わず開いて「ご利用明細を確認する」をクリックしそうになった。

そういう身に覚えのないメールは全部、怪しいと疑ったほうがいいでしょう。対策としては、届いたメールからアクセスせず、ブックマークしている公式サイトから自分宛のメッセージや利用履歴を確認することが大切です。不安なときは躊躇せず、公式サイトから問い合わせてみてください」と、金田先生。

 サクラレビューも含め、怪しいものを見抜く力を養い、かかわらないことが大切だ。また、「グレーな行為」のサクラレビューステマも、トラブル発展やブラックな世界への入口となる可能性がある。罰則がないからと安易に手を染めるのは、危険だと肝に銘じておきたい。

<取材・文/山内良子>

【金田万作】
第二東京弁護士会所属の弁護士。専門は投資被害やクレジットリース関連など消費者問題。消費者問題の研究会や弁護団に所属し、ベネッセ個人情報漏えい事件では自ら原告となって弁護団も結成し、最高裁で逆転勝訴(差し戻し)となった。
Twitter@mansakukanada

【山内良子】
フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

筆者のものに届いた「サクラレビュー」を促すハガキ(表)。右側にはQRコードなどが記載されている

(出典 news.nicovideo.jp)

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中華品は商品にもいいレビューしたらギフト券贈呈とか入ってるからな

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