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「表参道の一等地、家賃6万2,000円のタワマンに住む大誤算!若年夫婦が後悔した理由とは?」

一等地・表参道のタワマン「家賃6万2,000円」に勢い勇んで応募も…住んでわかる若年夫婦の大誤算【FPが解説】 | ニコニコニュース

表参道駅からわずか5分、20階建てのタワマン都営住宅が話題です。結婚予定のカップルや子育て世代が対象の物件ですが、一等地にもかかわらず築浅2DKで家賃6万2,000円という安さから、応募が殺到しました。しかし、そうはいっても実際に住んでみるとさまざま問題はあるようで……。本記事では、FP1級の川淵ゆかり氏が若年夫婦の住宅購入計画について解説します。

表参道の「家賃は6万2,000円」都営住宅…倍率は16倍

表参道の都営住宅が話題です。東京都が結婚予定のカップルや子育て世代を対象に募集した物件で、なんといっても表参道ですから人気物件となって応募が殺到しているそうです。表参道駅からわずか5分のこの物件は、40歳未満の結婚予定者など、条件を絞ったにもかかわらず16倍の競争倍率となりました。

東京都住宅政策本部のHPによると、都営住宅の入居資格は次のとおりです(家族向けの場合)。

1. 申込日現在、東京都内に居住していること

2. 同居親族がいること(これにはパートナーシップ関係にある方も対象となります)

3. 住宅に困っていること

4. 所得が定められた基準内であること、申込世帯の所得の合計が所得基準の範囲内であること

(参考)

家族数2人の場合:給与収入(年間)0~351万円 所得金額(年間)0~227万円

家族数3人の場合:給与収入(年間)0~399万円 所得金額(年間)0~265万円

この話題の都営住宅は、東京都が港区北青山3丁目の都営青山北町アパート跡地に新設した、都営北青山三丁目アパートです。保育園や児童館も併設しており、地上20階、高さ70m、総戸数302戸の賃貸住宅で、2DK(42㎡)で家賃がわずか6万2,000円となっています。

地上20階なんて、もうタワーマンションですよね。実際に表参道のマンションで同じくらいの広さの2DKの家賃だと、月20万円前後はするのではないでしょうか。ちなみに公示価格は次のようになっています。

東京都の平均地価公示価格:約373万円/坪

表参道駅周辺の平均地価公示価格:約1,343万円/坪

これだけ見ても、高級地だということがはっきりわかりますね。表参道というとおしゃれセレブイメージがありますが、なぜそんな場所に都営住宅が? と疑問を持ちます。これも若い方の結婚の意識を高めたり、子育て世代を応援したり、といったいわゆる都の少子化対策の一環といったものでしょう。

表参道の住みやすさと住みにくさ、「子育て」には向いている?

さて、そんな表参道駅周辺の「住みやすさ」をみてみましょう。表参道駅は、東京メトロ銀座線千代田線半蔵門線が乗り入れている駅で、次のように非常にアクセスもよく、通勤や遊びにもとてもよい場所といえます。

東京駅まで約17分

新宿駅まで約12分

渋谷駅まで約3分

品川駅まで約21分

ところで、結婚予定の人や子育て世代で気になるのは、住む地域が子育てに向いているのかどうか、ではないでしょうか。住みやすさも含めて、子育てに向いているかどうかもみてみましょう。

お子さんを抱えているご家庭で頭を悩ませるものの1つに「食費」があります。成長するにしたがい、たくさん食べますからね。しかも昨年からの値上げは家計が音を上げるレベルになっています。2022年は約2万5,700品目の値上げだったのが、2023年は年末までにこれを上回る3万品目を突破する勢いとの予測が出ています。

高級マンションが建ち並ぶ表参道スーパーには、成城石井や紀ノ国屋インターナショナルといった高級スーパーがあります。普通のスーパーにはない高級でめずらしい品物もありますが、当然食料品のお値段も全体的に高めです。魅力のあるお店ですが、食べ盛りのお子さんがいるご家庭にとってはなかなか利用しにくい所なのではないでしょうか。

ほかにも表参道周辺にはリッチなお店が建ち並び、おしゃれカフェや有名なパンケーキ店もあって、表参道駅からは代々木公園や表参道ヒルズへもわずかな時間で行くこともできます。こんな場所に住むことができれば、毎日楽しい時間を過ごすことができそうですし、こういった高級店や飲食店に誘惑に負けて、お財布の紐もついつい緩んでしまいそうです。

ですが、もともとまわりには高級マンションやタワーマンションが建ち並ぶ場所ですから、お金にかなり余裕のある人たちが多く住む場所です。それ以外の人にはブランド品も高級スイーツも目の毒といったところでしょう。大人が我慢するのも大変そうですから、子供に我慢させるのはもっと大変になりそうです。

さて、表参道国道246号(青山通り)が通っており、交通量も非常に多い地域になります。そのため、お子さん連れで歩く場合は注意が必要です。また、騒音が大きいのもストレスになる人には辛いものです。そして買い物スポットも多いため、観光客や買い物客がいつも溢れていて、外国人も多く、騒がしいのも落ち着きません。

また、夜も空いているお店も多いので、遅くまでにぎやかです。さらに原宿までは歩いていけますし、新宿や渋谷へのアクセスがよいところも大人にとっては便利かもしれませんが、中学生高校生のお子さんを持っているご家庭にとっては心配な面も出てくるのではないでしょうか。

永久には住み続けられない…都営住宅の現実

都営住宅は低所得の方などを対象とした住宅ですから、年収が上がって入居条件よりも高い収入を得るようになった場合には、退去する必要も出てきます。また、都営住宅の場合、入居期限(10年間・最年少の子が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで延長)があります。入居期限を過ぎたり、収入が上がったりした場合は、新たな住まいを探さなくてはいけません。

家賃に6万2,000円を支払えるのであれば、表参道でなくても少し離れた静かな場所に住まいを持つという選択肢もあります。不動産は当然ですが、「資産」になります。

もし、家賃分6万2,000円を毎月の返済額に置き換えて住宅ローンの設計をすると、

借入額:2,200万円(金利年1%返済期間35年) 毎月の返済額:62,102

となります。全期間固定金利のフラット35(2023年6月の最頻金利1.76%)で計算しますと、

・借入額2,000万円(返済期間35年)の場合は、毎月の返済額は63,815円

・借入額1,900万円(返済期間35年)の場合は、毎月の返済額は60,625円

となります。新築物件にこだわる若い方は多いですが、小さいお子さんのいるご家庭ではどうしても家の壁などに汚れや傷をつけられたり、散らかったりと、なかなか新築当時の綺麗なままの状態で保っていくことは難しいものです。

中古マンションであれば、都内で2,000万円台も夢ではありません。静かな場所の中古マンション等で広い住まいを探すほうがお子さんの教育にもいいこともあります。

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

(※写真はイメージです/PIXTA)

(出典 news.nicovideo.jp)

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