早期退職50代の転職活動に待ち受けていた苦難「中年のこだわりは求められていない」――早期退職のその後トップ10 | ニコニコニュース
早期退職やリストラに倒産……40代50代で人生が激変した人がいる。今回は定年前に早期退職を選んだ人たちのその後を取材し、反響の大きかった記事ベスト10を発表する。第8位はこちら!(集計期間は2021年1月~2022年12月まで。初公開日2022年1月4日 記事は取材時の状況です)
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高年齢者雇用安定法の改正で「70歳定年」が叫ばれるようになった。だが、不景気も相まって今の会社に居続けられるとも限らない。大企業を中心に「早期退職者」の募集が相次いでいる。
早期退職したのち、再就職先がすぐ見つかればいいのだが……。今回は「中高年での就職活動は非常に厳しく苦労した」というエピソードを紹介する。
◆50代で早期退職、待ち受けていた厳しい現実
「以前の会社が吸収合併され、採算の悪い映像機器事業部の人員がリストラ対象となり、希望退職者が募られました。私はそのうちのひとりです。早期退職をして半年が経ち、就職活動をしました。50代を過ぎていましたので不安もありました」
精密機械メーカーを早期退職した鈴木正康さん(仮名・60代)。案の定、内定をもらうまでの道のりはそう簡単ではなかったと話す。
◆中年の“こだわり”は求められていない?
「再就職の道を選んだ当初は、自分の経験や実績をアピールすることに徹していたのですが、うまくいきませんでした。そのような“こだわり”は、あまり企業は求めていないのかもしれません」
諦めかけていた頃、再就職のために面接に挑んだ企業で、想定外の質問を受けた。
今まで経験したクレームで一番印象に残っているのはどんなことでしたか——。
◆クレーマー対応の経験が評価された
鈴木さんは質問に対して、以前の会社での経験が功を奏したという。じつは、クレーマーに対応した経験があった。
「製造中止された製品のユーザーから『自然故障なので修理代をタダにしろ』とのクレームがありました。私は、丁寧に話を聞くことに徹しましたが、そのお客様は納得してくれません。私と上司は、責任者として直接会うことになったんです」
しかし、クレーマーが抱いた鈴木さんへの印象は意外なものだった。
「開口一番に『君が鈴木君か。やはり思った通りだ』と言われました。どうやら、電話対応で私に好印象をもったらしく、私に会えれば話し合いの席につくということだったようです」
◆前職の何が活きるのかわからない
再就職の面接でそのことを話した鈴木さんは、見事に内定を決めた。前職の何が活きるのかわからない。こうして鈴木さんは第二のサラリーマン生活を定年まで送ることができた。
定年後は、いくつかの職場を派遣社員として転々としながら働いているという。
「一番大変なことは、やはり給料面でしょうか。年金をもらえるまでの60歳から63歳までがキツかったです。最低時給は1200円のときもありましたから」
現在は、年金をもらいながら時給1750円の英文事務で働いているとか。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。