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子ども3人以上世帯の大学無償化、ぶっちゃけどうよ?ママたちのリアルな本音が続々 | ニコニコニュース

 2023年12月11日に政府が発表した「こども未来戦略」案。

 その一つとして、2025年度から子どもを3人以上扶養する多子世帯の大学授業料を所得制限なしで無償化することが盛り込まれ、支持する声もある一方、子育て世帯には不満やとまどいの声も広がっています。

 今回は、子どもの数が異なる3人のママからリアルな声を聞いてきました。

◆分かりにくい!多子世帯の大学費用無償化とは

首相官邸HPより

こども未来戦略」は2028年度までに総額3.6兆円の財源が投入される方針となっている少子化対策のための施策です。

 その柱の一つである多子世帯対象の大学授業料無償化の主な特徴は以下の通り。

1.所得制限はなし
2.扶養する子どもが3人以上で無償化になる
3.支援上限は、国公立が授業料約54万円・入学金約28万円/私立が授業料約70万円・入学金約26万円

 間違いやすいのが、子どもが3人いるだけでは無償化の対象にならない点。例えば、第一子が大学生で、第二子と第三子が高校生の場合、第一子は無償化の対象となります。しかし、第一子が社会人になると、第二子と第三子は無償化の対象になりません。

◆望んでも第三子が持てない家庭も

イメージです(以下、同じ)

 11歳と6歳の子ども共働きで育てる酒井心さん(仮名・30代)は、体力の問題があり第三子を断念したひとり。政府が打ち出したこの施策には憤りを感じているといいます。

子どもが増えることで負担になることっていろいろあるんだよね。それは経済的な問題だけでなく、ママが自分に使う時間や子育てする体力の問題もそう。

 きっと私のように『体力がないこと』を理由に3人目を作らない選択をする人も少なくないはず。だから、まずはママが安心して子育てできるような環境を整えてほしいな」

 例えば、子どもが増えると所属する保育園や学校、また習い事などの場が増えます。所属先では保護者の役員や当番だけでなく、子どもが小さい内は送迎を伴うこともあり、保護者の時間的、体力的な負担は大きいといいます。

◆「不妊治療を無償化にはできないのだろうか」の声も

 また、心さんには、高額な不妊治療の末に妊娠を断念した知人もいるそうです。

「不妊治療には相当な費用がかかるから、子どもを望んでいる人に対して治療費を無償にしてあげるのはどうだろう。本当に子どもが欲しくて頑張っている人を、国が応援してあげるべき!」

 初めての子どもを持つ母の年齢は年々上がっていて、厚生労働省が発表した「令和3年度/出産に関する統計」によると平均は30.7歳。高齢出産の目安となる年齢が35歳なので、不妊治療を必要とする女性はこれからも増えていくと予想されます。

 不妊治療に関しては、2022年4月から保険適用が始まったものの、人工授精の自己負担額は1回約1~2万円、体外受精の自己負担額は約20万円、顕微授精の自己負担額は約40万円です。また、1回の人工授精で成功する確率は5~10%程度で繰り返し行う必要があります。

◆「よし、子ども産もう!と思うわけないじゃん」
 心さんは、ため息をつきながらさらに続けます。

「そもそも、政府がしっかり子育て家庭の意見を聞いて、統計的な根拠をふまえてこの施策はできているのかな? 統計や子育て世帯のリアルな悩みをきちんと聞いたりしていれば、こんな条件付きの施策は作れないと思うな」

 子どもが3人以上いる家庭だけを対象に大学費を無償化することについては、「不公平だ」と批判する声も上がっているようです。

 そもそも、日本では結婚してから出産する女性が多く、まずは結婚する人を増やすのが優先という意見もあります。また、結婚して1人目、2人目と出産したとしても今回の無償化対象外になるため、少子化対策の軸から外れいるという指摘もあります。

「少子化対策のための案らしいけど、大学だけ無償にして『よし、もう一人子どもを産もう!』なんて思うわけないじゃんね。この施策自体、ちゃんと継続していくかもわからないし」

 心さんは、もし少子化対策のために大学を無償化にするのなら、子育てをしているすべての世帯に平等にすべきだと語ります。

「せめて、1人目20%引き、2人目30%引き、3人目50%引き、4人目無償みたいに調整していけば、まだ納得いくんだけどな」

◆4人の子持ちママの意見も聞いてみた
 17歳15歳、13歳、2歳の子どもがいる自営業の斉藤朱莉さん(仮名・40代)は、大学無償化の方針を受けて、将来の心配要素が少し減ったそう。

「正直、今は毎月の収入から生活を回すのに必死。だから、大学に行きたいという気持ちがある子を快く送り出せる大学無償化はまあ……、ありがたいかなと思います」

 朱莉さんの家庭では4人を大学に進学させるのは経済的に難しいため、行きたいならば自分で奨学金等を使ってもらおうと考えていたといいます。

「ただね、全員が大学に行きたいと思うかは疑問だよね。高校を卒業したら、就職して好きなことをしたいと考えるかもしれないしね。これからはもっと、いろいろな人生を選べる時代になるんじゃないのかな。私からすると議員さん方は、大学を出ている方が多いから思考が偏っているような気がするんだけど」

◆上の子が辞めたくても我慢して通うことにはならない?

 朱莉さんは、上の子が下の子の大学無償化を気にかけ、 “我慢”して大学に通うことも心配だといいます。

「学校が合わないとかいじめに遭うとか、人生には何が起こるかわからないでしょ?そんな状況になったら親としてはすぐに辞めて欲しいけど、辞めて就職すると下の子の学費が無償にならない。辞めたいのに、上の子が我慢して大学に通うのとか……もしそうなったら辛いよね」

 多子世帯で4人子どもがいても、状況によっては急に無償化対象外になる可能性もありえますね。

 今回の施策では“扶養している子どもの数が3人以上”が条件です。もし、朱莉さんの家の子ども全員が4年制の大学へ進んだ場合、第三子までは無償化対象。しかし、第三子は大学2年生以降対象外、2年生からは通常通り授業料を負担することに。

「どうしてこんなに複雑な条件にするんだろう。本音を言うと、上の子の分だけは学資保険を貯めているの。だから、第二子を半額にして3人目以降は無償』にしてくれた方が嬉しいな。1人目はなんとかなるけど、その後が不安ってお家、結構多いんじゃないかな」

一人っ子世帯は“蚊帳の外”?

 4歳の一人っ子ママである田中道子さん(仮名・30代)にも、この話題についてどう思うか聞いてみました。

「あぁ、最近よくテレビで観るけど、うちにはまったく関係ない話かも……」

 そういって多子世帯の大学無償化に意見すら持たない様子の道子さん。現状対象外で、子どもが増える予定もないため、“蚊帳の外”感を抱いているようです。

こども未来戦略を銘打つなら、1人でも子どもがいたらみんな平等に扱ってほしいですけどね」

 一人っ子世帯が増えている中、多子世帯にばかり手厚い施策に寄っていることについて不満を感じているママも多そうです。

 各家庭のお金の問題や“家族計画”も左右することになりそうな「こども未来戦略」。今後の動向も注視したいところです。

<取材・文/木村ひかる

【木村ひかる】湘南在住の編集者/ライター。4人の子どもを出産後、独学でライターに転身。多数のメディアにコラムを寄稿している。「自分が読みたい記事」を書くのがモットー。
Twitter@hikaru___kimuraInstagram@hikaru.writer

※イメージです

(出典 news.nicovideo.jp)

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