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東大生100人調査「小学生時代にしていた習い事」。塾以外の2位はピアノ | ニコニコニュース

―[貧困東大生・布施川天馬]―

◆ハードスケジュールをこなす現代の小学生

 みなさんは、子どもにどんな習い事をしてほしいですか? 中学生、高校生になっても習い事を続ける子はいますが、やはり一番需要が高く数が多いのは、小学生の頃でしょう。現代の小学生にとって、習い事をするのは、当たり前。大人顔負けのスケジュールをこなす子どもも、そう少なくありません。

 私は、この2月に『東大合格はいくらで買えるか?』という本を出版しています。この本は、東大生(卒業生含む)100人にアンケートを行い、彼らの幼少期の学習習慣や環境について、調査を行い、それをもとに執筆しています。

 先述のアンケートの中で、私は「どんな習い事をしていましたか?」とも質問しています。この結果からは、小学生から多忙なスケジュールをこなし続ける、未来の東大生たちの過酷な小学生時代の実態が浮かび上がってきました。

 今回は、東大生たちの、小学生時代のリアルな生活実態をお伝えします。

◆習い事の平均数は?

 今回、調査を行った中で、まず「塾以外にどんな習い事をしていたか?」を調査しました。100人の回答のうち、一番多かった回答は「水泳・スイミング」の46票。ついで多かったのが「ピアノ」の42票でした。

 水泳だけ、ピアノだけを習っていた方もいますが、多くは水泳やピアノをほかの習い事と掛け持ちしています。水泳ピアノに限らず、掛け持ちをする子どもは非常に多い。今回「習い事をしていた」と回答した76名について、平均一人当たり2.6個の習い事を掛け持ちしていたと結果が出ました。

 繰り返しますが、これは塾や通信教育、家庭教師を含まない数字です。小学生時代に塾に通っていたのは64名ですので、基本は「塾通い+ほかの習い事(平均2.6個)」となります。

 習い事を2.6個、切り上げで3個習っていた場合、少なくとも週のうち3日は習い事で埋まることになります。ここに追加で、「塾に行く日」「家庭教師が来る日」などが挟まれるわけです。

 仮に習い事3つと週2回の塾通いを両立していたとすると、完全に自由に過ごせる日は、一週間のうちたったの2日しかありません。さらに言えば、塾の宿題などもあるでしょうから、残った2日のうち、少なくとも片方は勉強によってつぶれてしまうでしょう。習い事がピアノだった場合には、やはりピアノの自主練習の日を作る必要が生じるかもしれません。

◆小学生時代の習い事は将来のためになるのか

 一度、みなさんの小学生時代を思い返してみてください。自分が小学生だったころは、週に5日も6日も、「やるべきこと」に追われる生活をしていましたか? いくら未来のエリートコースに乗るためとはいえ、幼少の時分から一分一秒を争うような生活に身を投じるべきなのでしょうか。

「小学生時代の習い事は、中学生以降も続ければライフワークになるかもしれない」のかもしれません。たしかに、人生を豊かにするのは趣味です。そうした可能性を排除してはいけません。

 ただ、中学生以降も続ける継続性は見られませんでした。中学生以降は習い事をしている人の数が33名まで減り、掛け持ちの数も一気に減少します。33名中で平均をとると、一人当たり1.2個の習い事をしている計算になりました。ただ、これは学校の部活動をカウントに入れている人もいたので、実際はもう少し、小さい値となりそうです。もちろん、高校進学後は、さらに習い事をする人の数と割合は減ります。

 小学生時代の異常なまでの習い事への参加率はなぜでしょうか? たしかに、家庭教師などで赴いた際には、親御さんから「習い事で忙しいから宿題を減らしてくれ」と言われることもあります。東大生に限らず、忙しい小学生の数は増えていそうです。

◆自由な探求活動の時間が削られている

 実をいうと、私自身も、小さいころにはサッカーや柔道などをさせられた覚えがあります。どれも地域のボランティアや警察の方がやっている費用のかからないものでしたが、正直僕はあまり好きではありませんでした。特に柔道をやっているときなどは、あまりの行きたくなさに、練習直前になるといつもおなかが痛くなったり熱を出していたりしていました。

 これらの経験は、どれほどの意味があるのでしょうか。中学生以降は継続しないことからは、一過性の集団的な熱に浮かされているだけにも見えてしまいます。「あの子がやっているから」と、安易に習い事に身を投じる。ですが、将来の経験を買っているように見えるその活動は、子どもの自由な探究活動の時間を奪っているとも見て取れます。

 今回のアンケートの回答者の中にひとり、印象的な答えを残した人がいました。「今の自分があるのは、受験や習い事をしてきたからだが、それらによって遊ぶ時間が失われたことは否めない。どちらが幸せだったのかは、ほかの人生を知らない自分には判断が付かない」というものでした。私には、どうしてもある種の後悔が、この方の胸の内に隠れているような気がしてなりません。

 早期教育は、受験にとっては有利かもしれません。ただ、そこにどれだけの幸せがあるのでしょうか。少なくとも、親子ともども後悔がないような選択をすべきなのは確かでしょう。

<文/布施川天馬>

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa

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写真はイメージです

(出典 news.nicovideo.jp)

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