今、最も主流な闇バイト「キャッシュカードすり替え」の手口とは?狙われやすい地域も | ニコニコニュース
狛江市の連続強盗事件をはじめ、闇バイトによる凶行が世間を震撼させている。
SNSで“調達”された闇バイトは、詐欺や強盗の実行犯として跋扈し、犯行も過激化。日本の治安を著しく悪化させているのだ。その最新手口とは――?
「一人暮らしの高齢女性を狙ったキャッシュカードのすり替え。これが今、もっとも主流となっている闇バイトです」
そう話すのは、更生支援活動家のフナイム氏だ。フナイム氏は今年6月から闇バイトグループに潜入。目の当たりにしたのは、オレオレ詐欺の手口をより巧妙にしたような犯罪だった。
「犯行が行われるのは平日の朝9~16時。
電話でかけ子が銀行員や警察官を名乗り『銀行口座が詐欺に使われているため、お持ちのキャッシュカードはすべて1か月間利用できません。手続きが必要なので、今からウチの者が向かいます』と電話をかけ、そのタイミングでお金を受けとる受け子がインターホンを鳴らします。
そこで『その者にカードを渡してください。暗証番号も忘れずに』と指示されるわけです」
◆手品のようなやり口で、数百件もの被害が…
突然の出来事に高齢女性は気が動転し、言われるまま来訪者に対応してしまう。
「受け子は裁判所指定の封筒を渡し『貴重品なのでご自分でカードを封筒に入れてください』と被害者に自ら封筒にカードを入れさせ、封をさせます。
すると『忘れていたのですが、割り印が必要なので印鑑をお持ちいただけますか』と言ってその場から立ち去らせ、その間に封筒をすり替える。キャッシュカードの代わりには、たいてい同じ厚みのトランプが入っています。
女性からすれば全部自分で作業を行っているので、疑念も薄まります。家を出た受け子は、その封筒を指定の場所に隠し、今度はそれを出し子が受け取ってカネを引き出します。この受け子、出し子を闇バイト経由で募集しているわけです」
まさに手品のようなやり口だ。すでに数百件もの被害が出ており、特に狙われている地域も存在するという。
「大阪、京都、福岡、愛知の4府県です。こうした手口が周知されておらず、一人暮らしの高齢者が多い。また、関東近辺ほど警戒心の強い人が少ないのも理由ですね」
キャッシュカードのやり取りなど、ないと心得よう。
◆老人を襲う「嘱託強盗」遺産争いにまで悪用!?
闇バイトによる高齢者を狙った強盗事件は後を絶たない。その最たるケースとして世間に衝撃を与えたのが、東京都狛江市で女性(90歳)の命が奪われた事件だ。
突然複数人が押し入り、結束バンドなどで拘束したあげく、激しい暴力を振るって金品を奪う。
悪辣極まりないアポ電強盗は、あろうことか親族間の諍いにも悪用されているというから驚きだ。最新事情に詳しいライターの吉山浩二氏(仮名)が解説する。
「戸籍が複雑だったり、関係が悪くて遺産が入らないという孫たちが、犯罪集団に『ウチのばーちゃんを狙ってほしい』と仕向けるんです。
頼るのは地縁のヤクザか半グレが多い。そいつらが闇バイトを募って即席の強盗集団を組織し、ボコらせるんです。
なんせ孫からのタレコミだから、情報が正確。どこにカネや貴金属があるか、一人になる時間帯はいつか、事細かに把握したうえで犯行に及ぶので、カネを奪いやすい」
◆「集団心理から犯行が過激化」
闇バイトの強盗が恐ろしいのは「集団心理から犯行が過激化する点にある」と語るのは前出のフナイム氏。
「お年寄りが仲間にバットで殴られて『痛い、痛い』と泣き叫ぶ様子を見ると、恐怖がその場で伝播します。ほかのコもパニックになり、自らもボコボコに殴ってしまう。集団ヒステリーが思わぬ結果を招いてしまうのです。狛江の事件で死に至ったのはそういう側面が強かったのでは」
行き当たりばったりの素人犯行が凶悪化している。
【更生支援活動家・フナイム氏】
’15年に特殊詐欺事件の主犯として逮捕。現在は更生支援活動家としてSNSやメディアを中心に活動を行う。YouTube(@funaim5-life)
写真/産経ビジュアル PIXTA 取材・文・撮影/週刊SPA!編集部