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横浜流星、片岡鶴太郎に背中押されたボクシングプロテスト

横浜流星、片岡鶴太郎に背中押されたボクシングプロテスト 間近で見ていた橋本環奈「ストイックだった」 | ニコニコニュース

 沢木耕太郎の同名小説を瀬々敬久監督で実写映画化した『春に散る』。佐藤浩市演じる広岡仁一に魅了され、一度諦めてかけていたボクシングにのめり込むようになっていった青年・黒木翔吾を演じた横浜流星と、仁一の姪であり、翔吾の生き様に惹かれていく女性・広岡佳菜子を演じた橋本環奈という2人の若き人気俳優は、ベテラン俳優たちとの共演から、どんなことを学んだのだろうか。

【写真】背中合わせのポーズがキュート! 黒スーツでバシッと決める横浜流星と白いドレスの橋本環奈

佐藤浩市の広い視野に驚かされた現場

――瀬々監督とのお仕事はいかがでしたか?

横浜流星クランクイン前にボクシングの練習を始めていたら、瀬々監督が見に来てくださって、脚本の上で「何か気になるところはある?」と声をかけてくださいました。僕なりに感じた部分を伝えると、受け止めてくださって。とても役者に寄り添ってくれる熱い組でした。

橋本環奈:私も役者さんに寄り添ってくださる監督だなと思いました。あとは、アットホーム過ぎないというか、いい意味ですごくピリッとした緊張感がある現場でした。瀬々監督から「あまり女優さんとはしゃべらないんだ」と言われていたのですが、本当にその通りで、私はあまりお話した記憶がないんです(笑)。でも口数が少なくても、丁寧に伝えてくださるので、とても演じやすかったです。

――佐藤浩市さんとの共演はいかがでしたか?

橋本:私のクランクインは、浩市さんとお葬式に参列するシーンだったんです。浩市さんと2人ということで相当緊張しました。これまでも作品でご一緒したことはあったのですが、絡みがほとんどなかったですし、重厚な役が多いので、実際お会いして、「こんなに気さくな方なんだ!」と驚いたくらい。初日にプロデューサーさんやスタッフさんと一緒にご飯に誘ってくれて、とても温かい方だなと。あと、ものすごく酔っていらっしゃいました(笑)

横浜:翔吾にとって仁一さんは心の支えとなる存在。疑似親子にも見えるし、師弟関係にも見えるし、お互い再挑戦する戦友にも見える。言葉でははっきりと言い表せないような関係なんです。現場中、僕も浩市さんに同じような感覚を持っていました。何があっても味方でいてくれる存在。集中力が切れそうなときも、浩市さんが自ら声を上げてくださって、やりやすい環境を作ってくださいました。

――俳優として佐藤浩市さんからはどんなことを学びましたか?

横浜:若さのせいにしたくないのですが、まだまだ不器用で役を生きるために、そのことしか考えられないときがあります。でも浩市さんを見ていると、現場の意識を上げるために声を上げるなど、作品を俯瞰でも見ている。その視野の広さは自分にはないものなので、学ぶことが多かったです。もう少し年を重ねたときに、自分もそうなれるといいなと思いました。

橋本カメラの場所と画角が、全部頭のなかに入っている感じがしました。どこにどう立ったらカメラにどう収まるのかがすべてわかっていて、現場の空気を壊さないように共演者やスタッフにスマートに伝えてくださるんです。

横浜流星は「気負わずとてもナチュラル橋本環奈は「現場に真摯に向き合う人」

――お2人は意外にも初共演とのことですが、共演前と印象は変わりましたか?

橋本:映像で観ているイメージだと、クールな方だと思っていました。実際お会いしても弾けている感じはなく、クールではあったのですが、気負わずナチュラルな方だなと。ボクシングシーンがすごくハードで、練習のシーンからすごく気迫を感じました。リアリティがあるお芝居に魅了されました!

横浜:橋本さんはテレビの印象だと、快活でコミュニケーション能力の高さからみんなでワイワイ…なイメージがありましたが、役柄に真摯に向き合って、現場で役として生きているなと感じました。その姿は、イメージとは違いました。

――橋本さんと言えば、紅白の司会でも抜群のコミュニケーション能力を発揮されていて、聖徳太子か…なんて言われていましたしね。

橋本:なんとなく乗り切っちゃっているところはありますが、聖徳太子的だなんて、そんなことはないです(笑)。この現場では、もしかしたら私、一番静かだったかもしれないですね。テンション上げるみたいなこともなかったし。静かでいることが逆に心地よいみたいな期間でした。

――お2人は現場での立ち位置として、意識していることはありますか?

橋本:現場によって変わりますよね。自分の立ち位置でも関係性は変わってくるので、必ず「こうする」というのはないかもしれません。ひとつ心掛けているのは、空気を壊してはいけないということ。特に今回のような作品だと、あまりはしゃいではいけないという意識はありました(笑)

横浜:僕は撮影に入る前に、できるだけセットやロケ場所を見るようにしています。視覚的なイメージがある状態で台本を読んで、それから撮影に入ると、「想像と違う」ということが起きにくいので。『ヴィレッジ』という映画で藤井道人監督とご一緒したとき、この作業をやったことで、いろいろイメージが膨らんだので、今後もできる限り続けられたらなと思っています。

片岡鶴太郎に背中を押されて受けたボクシングプロテスト

――この作品をきっかけに、横浜さんはボクシングでプロのライセンスを取得されたことが報道されていましたが。共演された片岡鶴太郎さんもプロのライセンスをお持ちですよね。

横浜:そうなんです。プロテストを受けるかどうか迷っていた時に、鶴太郎さんやレフリー役の方に「受けてみたらいいよ」と背中を押していただきました。鶴太郎さんとは、ボクシング以外でも、(横浜が主演を務めた映画『線は、僕を描く』でのテーマだった)水墨画の話でも盛り上がりました。

――プロのライセンスを取得したことで、なにか変わったことはありましたか?

横浜:格闘家への敬意と、この作品への思いの証明として、ひとつ結果を出せるかなと思って受けました。なにか変わったかというとわかりませんが、作品にかける思いに重みが出たらいいなと思っています。

橋本:横浜さんは本当にストイックで、作品にも、ボクシングにも、本当に真摯に向き合っているのが伝わってきていました。

――橋本さんは横浜さんのように作品がきっかけで、何か夢中になって取得したものなどはありましたか?

橋本:具体的に形になったものはないですが、私は漫画原作の実写化作品に出演する機会が多いので、原作への愛を込めてるのはもちろん、原作ファンの方の気持ちをしっかり汲んで真摯にキャラクターに向き合っていこうという思いは常に強く持っています。

――作品やキャラクターへ真摯に向き合うお2人ですが、俳優業は、それでも正解がはっきりしない仕事だと思います。そんななかモチベーションになっているものは?

横浜:逆に正解がないから追い求められるというのもあると思います。あとはやっぱり観てくださる方がいるから。取り組んだ作品が、誰かの心にどんな形でも届いて刺さってくれたら、こんなにうれしいことはないです。

橋本:観てくださる方がいるからというのは、その通りだと思います。あとは自分のなかでどれだけ納得ができるか。作品が出来上がったあと、後悔はしたくないという思いで取り組んでいるような気がします。

――最後に作品の見どころをお願いします。

横浜:いっぱいありますが、ボクシングシーンは観て欲しいです。自分にプレッシャーをかける意味で、ボクシング指導の松浦慎一郎さんに「いままでにないボクシングシーンにしてください」とお願いしたんです。松浦さんが作ってくださったものを、全力で取り組み、自信の持てるシーンになっていると思います。

橋本:私もやっぱりボクシングシーンです。あれだけ嘘がなく伝えられているのは本当にすごいと思うんです。流星さんと窪田正孝さんが戦うシーンは、手に汗握ること間違いなしだと思います。

取材・文:磯部正和
写真MitsuruYamazaki

(左から)横浜流星、橋本環奈 (C)ORICON NewS inc.

(出典 news.nicovideo.jp)

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