ピックアップ記事

年金8万円・80代の高齢女性「老人ホーム入所3日」で気付いた強烈な違和感「何かの間違いでは」 | ニコニコニュース

高齢者の住まいとして有力な選択肢となる「老人ホーム」。初期費用に月額費用……入居には結構な費用がかかるイメージですが、低コストで入居可能な施設も。しかし「安い」を優先すると、とんでもない事態に直面するケースもあるようです。みていきましょう。

年金10万円未満が5人に1人、貯蓄ゼロは10人に1人…貧困に直面する日本の高齢者

厚生労働省令和4年国民生活基礎調査』によると、所得のうち「年金だけ」という高齢者は44.0%。「80~100%」が16.5%でした。さらに「貯蓄ゼロ」という高齢者世帯は11.3%と、10世帯に1世帯という水準です。

また年金についても「十分にもらっている」とは言い難い高齢がほとんど。厚生労働省令和4年厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均年金受取額は月14万4,982円、国民年金受給者の平均は月5万6,428円。さらに厚生年金受給者で、年金月10万円未満が22.7%と5人に1人の水準、月5万円未満は2.0%と、50人に1人の水準です(関連記事:『【早見表】国民年金・厚生年金「年金月受取額」分布…〈令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況〉』)。年金もわずかで、貯蓄もない……そんな高齢者は、相当数いると考えられます。

――どうやって生活していけばいいのか

実際に生活保護をもらっている202万世帯の55%は高齢者世帯。そのうち1人暮らしの高齢者の世帯が84万世帯と全体の過半数を超え、苦しい実態を垣間見ることができます。

――年をとるごとに身体の機能は衰え、1人暮らしにも不安

ひとり様の高齢者、いずれはこのような状況に直面するケースもあるでしょう。身近に頼れる人もいないという場合は「老人ホームへの入居」という選択肢も。しかし「年金も少なく貯金もない」とか「生活保護を受けている」という高齢者の場合、「老人ホームなんて……そんなお金ない」というのが現実でしょうか。

そのような人を対象とした「軽費老人ホーム」。身の回りのことはできるけど、自宅での生活が難しい、60歳以上の人を対象にした施設で、食事や生活支援サービスを受けることができます。

大きくA型、B型、ケアハウス(C型)の3種類があり、A型は食事の提供はありますが、B型はありません。介護が必要な場合はどちらも外部サービスを利用することになります。ケアハウスはさらに一般型と介護型に分かれ、どちらも食事の提供はあり、一般形の場合は介護サービスはなく、外部サービスを利用することになります。

A型、B型は初期費用は原則不要。月額費用は、A型で6万~15万円程度。前年の所得にとって変わります。B型は4万円程度です。ケアハウスの初期費用はゼロ~数百万円程度と幅があり、月額費用も9万~15万円程度と幅があります。

今後、ケアハウスに一本化されることが決まっていて、A型とB型は新規に作られることはありません。建て替えの際にケアハウスに転換されることになります。

年金月8万円の伯母「月額費用7万円の老人ホーム」に入所したが…

ケアハウス・軽費老人ホームが安価なのは、地方自治体、社会福祉法人などが運営し、公的な側面が強いから。ケアハウスについては、国等から公的な補助金を期待できるため、利用者負担を軽減することができます。

――お金に不安があったけど、施設に入ることができてひと安心

そう考えたいところですが、老人ホームに入所できたからといって、絶対安心とは言い切れないようです。「伯母が介護施設に入ったけど退所。わずか1週間」と投稿した50代男性。伯母は他の親戚とは疎遠で、比較的近くに住んでいた男性は、たまに相談相手になっていたとか。80代も後半となり、1人暮らしに不安を感じることも多くなったことから、施設に入ることを検討するようになったといいます。

伯母の収入(年金)月8万円程度。貯金はあるものの、できるだけ費用は抑えたい、というのが要望だったといいます。そこで見つけたのが、月7万円ほどで入居できるという老人ホーム。初期費用もなく、すぐに入ることができるということで、即決断したといいます。

ところが入所から1週間で退所し、自宅に戻ってきたという伯母。きっかけは、入所して3日ほど経ったとき。

――小銭入れがなくなっていることに気づいた

「何かの間違いかしら……」と思ったといいますが、どことなく施設に違和感を覚えるようになったといいます。そして入所してから5日後。

――大事にしていた時計がなくなって

50年近くも大切にしてきた時計、なくすなんてありえない。「誰かが時計を盗んだ!」と苦情をいったものの、スタッフはきちんと聞いてくれなかったといいます。

よくモノがなくなるうえ、スタッフにも疑問を感じるようになった伯母。「こんな恐ろしい施設では暮らしていけない」とすぐに退所を決めたとか。「老人ホームも安かろう悪かろうなんだろうか」と男性は綴ります。

「無届け老人ホーム」…恐ろしい実態

実際にどのような施設に入所したのかは分かりませんが、あまりにヒドイスタッフの対応から、もしかしたら「無届け老人ホーム」の可能性も。これは届け出を出していなかったり、認可を受けていなかったりする、非合法の老人ホームのこと。無届けなので、自治体等の監督の目が届かずに、防火体制に不備があったり、職員の数が足りていなかったりなど、住環境に問題を抱えていることが多くあります。また虐待や盗難などといった犯罪行為が起きても、無届けなので明るみに出ないということも少なくありません。

――そんな施設、あるの?

と考えてしまうでしょう。厚生労働省令和3年度 有料老人ホームを対象とした指導状況等の フォローアップ調査(第13 回)結果』によると、未届の有料老人ホームの数は656件、前年度の641件から増加し、有料老人ホーム全体に占める未届有料老人ホームの割合は 4.1%でした。決して少なくない数です。

過去には、「無届け老人ホーム」で防火設備の不備から火災で多くの死亡者を出したり、虐待などが判明したりするなど、事件・事故が起きています。無届けホームに入居することはリスクが伴うと言わざるを得ません。しかし「無届け」ということを知らずに入居しているケースも珍しくないといいます。

このような「無届け老人ホーム」。老人ホームへの入所希望者は増加の一途に対し施設が足りていないこと、費用的に入りたくても入れない高齢者も多いことなどにより、指導を強化しているものの、再び増加傾向にあるといいます。

とはいえ「無届け老人ホーム」、入所にはリスクが伴います。届け出がされている施設かどうかは、所在地の市区ホームページや、担当部署へ問い合わせることで確認ができます。ホームページやパンフレットに魅力的な文言が並んでいても、届け出や登録がされていないケースもあるので、入所の際にはきちんと確認しておきたいものです。

[参考資料]

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

厚生労働省『第1回 住まい支援の連携強化のための連絡協議会』資料

厚生労働省『令和3年度 有料老人ホームを対象とした指導状況等の フォローアップ調査(第13 回)結果』

(出典 news.nicovideo.jp)

ピックアップ記事

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事