ピックアップ記事

「子どもが騒いで怒られたらどうしよう…」子連れの親の不安を見事に捉えた東海道新幹線の「お子さま連れ車両」が大人気 今年のGWからはついにネット予約や座席変更も可能に | ニコニコニュース

 JR東海は2024年も、大型連休に恒例の「お子さま連れ車両」を設定した。対象列車は東京~新大阪間で運行する「のぞみ」だ。

 4月26日から5月6日まで、1日あたり片道1~2本の合計29本。「お子さま連れ車両」は親子の利用が前提で、乳幼児が泣いたり大声ではしゃいだりしても、タブレットでお気に入り動画を音を出して観ても“お互いさま”という企画で、基本的に一般客と乗り合わせることがないので「親子で気兼ねなく利用できる」と好評だ。

 そして今年のGWからはついに、JR東海のネット予約の「EX予約」や「スマートEX」にも対応した。

すでにGW前半は予約で満席と大人気

「EXアプリ」を操作してみると、対象列車に「お子さま連れ車両」を示すマークが付いている。予約時に「座席の種類」で「お子さま連れ車両(期間限定)」を選べるようになり、これを選択したあとは通常の手順と同じだ。

 列車の一覧に該当する車両(今シーズンは12号車)だけが表示され、シートマップから希望座席の選択ができる。ここで席を選んで予約完了だ。

 トップ画面に戻り、こんどは「指定なし」で同じ列車を指定すると、シートマップに「お子さま連れ車両」の12号車が表示されない。つまり、「座席の種類」で一般客との棲み分けが行われる仕組みだ。4月20日現在、大型連休前半の「お子さま連れ車両」はほとんど埋まっている。後半の列車にはまだ空きがあるが、やはり希少価値もあって大人気なのだ。

「お子さま連れ車両」のルーツは14年前、2010年夏に運行した「ファミリー新幹線」にある。8月5日8月19日の2日間、それぞれ1往復の団体臨時列車がまるごとお子さま連れ専用になったのだ。販売はJR東海グループの旅行会社「ジェイアール東海ツアーズ」が担当した。

 列車をお子さま連れ専用にするだけではなく、申し込み人数+1席を提供し、乳幼児が寝たり、ベビーカーなどの荷物を置けたりする。グリーン車も1人あたり2000円の加算で提供した(グリーン車は座席が広いので+1席はなし)。

 さらに特典として申し込み人数分のドリンク引換券を提供する。これはツアー商品の体裁を整えて法的な問題をクリアするためだ。

 他にも子ども全員にウェットティッシュ、とくに3歳未満の子どもに乳幼児向けのオリジナルグッズをプレゼント。企業の福利厚生をサポートするサービス「ベネフィット・ステーション」とコラボして登録会員にポイント特典を提供し、タカラトミーとのコラボでは車内でプラレールが当たる抽選会も実施した。

 近年、JR東海は「推し旅アップデート」と題して、旅する人の「好き」を応援する旅行商品を提供している。歴史や観光といった定番に加えてアニメやゲーム、音楽もあり、社員が立案して実現したとみられる企画も多い。これらが「JR東海のイメージが変わった」と話題になっている。この社員のボトムアップで生まれた企画の元祖は、2010年の「ファミリー新幹線」だったともいえる。

たまごっち」「かっぱえびせん」とコラボしたことも

「ファミリー新幹線」の手応えを得て、2010年の年末年始からは「ファミリー車両」としてサービス継続。

 12月25日から1月10日までの毎日、のぞみ1往復、こだま1往復の全39本に設定され、のぞみは「+1席」こだまは「+1席なし」と少々違うが、どちらも差額わずか2000円加算だ。「1ドリンク引換券」と「プラレール新幹線セットを抽選で50名にプレゼント」も継続している。

 2011年以降はのぞみの「ファミリー車両」が夏と年末年始で継続した。2015年の年末年始から2017年夏までは「ファミリー車両」を中心とした「親子で楽しむ新幹線」キャンペーンを行っている。

 2017年からは「ファミリー車両」の単独企画に戻り、春の大型連休も設定された。基本的には1日1往復だったが2往復や3往復の日もあった。2016年は一部の編成で2両が設定されるなど提供が増え、2018年の夏は7月14日9月3日と過去最長期間に加えて対象列車も190本と最高記録となった。

「ファミリー車両」のキホン特典は「申し込み人数+1席」、「有料申し込み席1席につき1ドリンク引換券設定」、「全員にプラレール新幹線のコラボグッズプレゼント」、「抽選でプラレール商品プレゼント」など。

 さらにコラボ企画として「たまごっち」「かっぱえびせん」「ケロッグ」「カゴメ」「PANTENE」「おやすみ、ロジャー(絵本)」が加わったシーズンもある。2018年の年末年始から「全員対象のグッズプレゼント」はなくなったが、記念写真用のパネルの貸し出しを実施している。

 しかし2020年の夏にはコロナ禍の減便の影響で「ファミリー車両」は終了してしまった。

「ファミリー車両」の後継サービスとして「お子さま連れ専用車両」が復活したのは2021年の秋。

 10月2日12月19日のうち、土休日の「こだま」の2往復、合計104本に設定された。秋の行楽シーズンであり、旅行ピーク以外の利用を奨めるキャンペーン「ずらし旅」の提案も兼ねていたという。

 2021年の年末年始シーズンはさらに増えて、「のぞみ」「こだま」合わせて136本の列車に設定。「お子さま連れ専用車両」は「ファミリー車両」と異なり「+1席」サービスはなく、プレゼント企画もプラレールコラボもない。旅行商品であることを示す「ドリンク引換券」は継続し、2022年の年末年始シーズンからはおとな用座席に「キヨスク車内販売で使える1000円分の電子クーポン」も付くようになった。

今年からは席の変更や早期割引も使えるように

 2023年春からは「お子さま連れ専用車両」が「のぞみ」専用になり、2023年の年末年始シーズンまで続いた。「+1席」サービスがなく、お子さま向けのオマケもあったり、なかったり。それでも人気は衰えなかった。

 なぜなら乗客にとって最大のサービスは「一般客に気兼ねなく乗車できること」だったからだ。

 そして最新の2024年春シーズンは「お子さま連れ車両」として運用されている。駅やきっぷ券売機、旅行会社などでも購入できるようになり、「EX予約」や「スマートEX」に対応したことで予約が簡単になった。従来はクーポンが届くまで座席の位置がわからなかったけれども、シートマップによる座席指定もできる。

 1ドリンクや1000円電子クーポンはなく、お子さま向けのオマケもなくなり、ちょっと寂しい企画になった気がするが、理由は単純だ。前回まではジェイアール東海ツアーズが販売する「旅行商品」だったけれども、今回からはJR東海が直接販売する「通常の新幹線特急券の一種」になったのだ。扱いとしては「特大荷物スペースつき座席」等と同じである。

 サービスは減ったが、通常の新幹線特急券と同じ扱いになったことで乗車前の指定席の変更ができるようになったのは嬉しい。駅の窓口やサポート付き券売機では変更1回まで無料、「EX予約」や「スマートEX」では何度でも無料だ。

「お子さま連れ車両」が満席だった場合に、いったん他の座席の指定席を確保しておき、キャンセルを見つけたら変更するというワザも使える。

 旅行商品のクーポンは指定席を変更できないし、乗り遅れたら無効になる。しかし、通常の新幹線特急券の場合は後続の車両の自由席に乗車できる。「EX予約」や「スマートEX」の場合は乗車前に後続の列車に変更すれば良いのもメリットだ(ただし、差額が発生する場合は精算される)。

 もうひとつ重要なポイントは「EX予約」や「スマートEX」の早期割引が適用されることだ。子ども料金が設定される割引サービスは7日前まで販売する「EX早特7」、3日前までの「EX早特3」、乳幼児の座席が不要なら、おとなのみ設定される「EX早特28ワイド」「EX早特21ワイド」を利用できる。

 また、ファミリー向けとして土休日限定の「EXのぞみファミリー早特3」と「EXこだまファミリー早特3」などもある。

 お子さまへのオマケはなくなったけれど、割引された差額を使って売店で新幹線グッズを買ってあげられる。おまけ付きより割引の方がありがたいと考える家族も多いだろう。今どきの子どもはおもちゃよりスマホやタブレットでアニメの動画を好むかもしれない。「お子さま連れ車両」なら、音量を上げて楽しめる。14年間で子どもを連れて新幹線に乗る楽しみも変わったといえそうだ。

「子どもがうるさいという苦情が多かったわけではないですが…」JR東海の担当者が語る新幹線「お子さま連れ車両」人気の“シンプルすぎる”理由〉へ続く

(杉山 淳一)

新幹線の中で子どもが騒ぐことは親にとって心配の種だ ©AFLO

(出典 news.nicovideo.jp)

ピックアップ記事

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事