「根性論」
この言葉を聞くだけで「気待ち悪い!」と感じてしまう人は、多いのではないでしょうか?
現代において、この根性論という言葉は、ネガティブな意味合いが強いものになってしまっていると感じています。
これは根性論が「理論」の対極にある言葉として理解されてしまっているからだと思うのです。
しかし、見た目からは信じられないかもしれませんが、ハーフの私は「根性論」が大好き! 「根性論」こそ、理論とシナジーのある考え方だと理解しています。
◆人生において成功の鍵を握る「GRIT」
皆さんは、「GRIT」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
この言葉は、アメリカの心理学者でペンシルヴァニア大学のアンジェラ・リー・ダックワース教授が提唱したもの。ダックワース教授は、「人生において成功の鍵を握っている能力とは何か?」という研究に取り組んだ一人として有名な方です。
成功に真に必要な能力(IQ、記憶力、体力など)を調べた結果、下記の4つの能力が、成功に最も関係しているという結論に至り、それぞれの頭文字を取って「GRIT」と呼んだのです。
・Guts(ガッツ):困難なことにも立ち向かう度胸
・Resilience(レジリエンス):苦境にもめげずに立ち直る復元力
・Initiative(イニシアチブ):自ら目標を見つけて取り組む自発性
・Tenacity(テナシティ) :最後までやり遂げる執念
ダックワース教授の書籍は、近年日本でも出版されているのですが、この「GRIT」という言葉が、日本語では「やり抜く力」と定義されているのを見て、私は腹を抱えて笑ってしまいました。「こんなもの、ずっと昔から日本で言われ続けている『根性』じゃないか⁉」と思ったからです。
◆「根性」を捨て、「理論」ばかりに固執する日本人
おそらく「根性」にネガティブなイメージがある今の日本では、「根性」という言葉を使って書籍を売るのは難しいと出版社が考え、「やり抜く力」という言葉にしたのではないかと私は考えています。
これはつまり我々日本人は、成功するために必要な能力である「GRIT」、つまり「根性」が、科学的に研究がされるずっと昔から何ごとにも必要な能力だと教えられて、育てられているということだと思うのです。
しかし、残念ながら、現代の日本人はこの「根性」を捨て、「理論」と入れ替えようとしている人が多いのではないかと私は感じるのです。
これは「根性論」を推奨してきた人たちにも責任の一端はある気がします。彼らは「根性」と「理論」を敵対させることで、2つを共存できなくしてしまった責任があると思っています。
◆「根性」がなければ、エネルギー不足で競争に勝てない
私にとっての「根性」とは、「理論を加速させるエネルギー」です。
どんなに正しい理論でアプローチしても、「根性」がなければ、エネルギー不足で競争には勝てません。もちろん、「根性」があり、エネルギー満タンだったとしても、正しい理論でなければ、進むベクトルが目的に向かわないので、やはり競争には勝てないのです。
「理論」と「根性」は、2つで1つである必要があると私は考えます。
私は英語で「Sweet Science」(甘い化学)とも表現されるスポーツであるボクシングが大好きであり、元プロボクサーです。
ボクシングをやっていたからこそ、「理論」と「根性」は共存できるということを深く理解しています。
加えて、健康心理学者のケリー・マクゴニガル氏による研究も面白いので、ぜひ紹介させてください。
ケリー氏はアメリカで成人3万人を対象として、8年間にわたり「ストレス」と「健康」との関連について追跡調査をした方です。
この調査で、強度の社会的ストレス(経済的問題、キャリア問題など)にさらされながら、まったく健康に被害のない人たちと死んでしまう人たちがいることに気づいたケリー氏は、この2つのグループについて、さらに深く研究をすることにしたのです。
研究の結果は、驚くべきものでした。
「強度のストレスにさらされている」人たちではなく、「ストレスは健康に悪い」と考えている人たちが、最も死亡リスクが高いことがわかったのです。
◆「ストレスの考え方、捉え方」によって、不調を起こす
さらに強度のストレスにさらされながらも、「ストレスは健康に悪い」と考えていなかった人たちは死亡リスクは低く、なんとストレスにさらされていないが「ストレスは健康に悪い」と考えている人たちよりも死亡リスクが低いことに気づいたとのことでした。
まさに「病は気から」という言葉を示す研究結果となりました。つまり、我々はストレスによって不調を起こすのではなく、「ストレスの考え方、捉え方」によって、不調を起こすのだということがこの研究からわかったのです。
私は、この研究結果は「根性論」と深い結びつきがあると考えています。なぜならばストレスがかかったときにこそ、人間に必要となるのが「根性」というエネルギーだと思っているからです。
我々は「ストレスは敵だ!」と考えてはいけないのです。そう考えないことが、前向きに、困難に立ち向かうためのエネルギー(=根性)を出させてくれると、私は信じています。
私は日本の精神に誇りを持っています。「根性論」最高!
【細川バレンタイン】
元プロボクサー。1981年、ナイジェリア人の父、日本人の母から生まれる。2006年、25歳でボクシングプロデビュー。外資系金融機関で営業マンを務めるかたわら、2017年に第40代日本スーパーライト級王者となる。2021年に現役引退し、現在はYouTubeチャンネルの運営、不動産事業、宿泊事業を手掛けている
<このニュースへのネットの反応>
「根性」は必要でも「根性論」はどうかなぁ。ぶっちゃけ世間一般で根性論って「どうすればいいか」に対して「とにかく頑張れ」と具体性のない思考停止の意味で使われるものだし
私が自分自身どういう人間なのか再認識した。私は〝根性”という言葉が大好きだ。
根性は誰も否定していない。根性論というのは「根性があれば何でも解決できる、解決できないやつは根性がない」と決めつける考え方のこと。トップランクの人は根性論になるというコメントがあるけど、それもトップの戦いでは他の全ての要素が既に詰められていて、残った精神とか根性のぶつかり合いになるからだ。
間違ってる根性論は優先順位が間違ってることが多い。理論や技術が先で最後どうしようもない事は根性で押し切るなら理解できるけど、最初から何も考えず根性で乗り切ろうとするのは害悪でしかない。考え足らずで根性論で何でも押し切ろうという*はどうしようもない。
「根性」は有用だが根性論は違うと思う。本人のモチベーションからの根性は成功には必要だとは分かるが、他者が無責任に根性出して結果を出せ、失敗したら根性足りないからだという根性論は軽視しても良いと思う。