アイルランドで世界初、お酒のラベルに健康被害の警告表示を義務付け
タバコの箱には「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります」と書かれた警告表示がなされているが、アイルランドでは、お酒のラベルにも、がんなどの健康被害に関する警告やカロリーなどの表示を義務付けることが決定されたそうだ。
同国のスティーブン・ドネリー厚生大臣は、「この法律は、消費者全員が、アルコールの含有量と飲酒にともなう健康リスクについて、よりよく理解できるようにするためのもの」と声明で述べている。
こうしたルールを通じて、お酒を飲むということがどういうことなのか、十分知ったうえで自分で判断できるようにすることが狙いであるという。
アイルランド政府が世界初のお酒に関する、包括的な表示ルールと主張する新規制は、3年後に施行される。
それ以降、お酒の販売者は、飲酒による肝臓疾患、がんのリスク、妊婦への危険性などを警告しなければならないほか、お酒のカロリーやそこに含まれるアルコールの量を伝えることが義務付けられる。
ほかの食品・飲料のパッケージには、すでに健康に関する情報など、適宜健康上の警告が記載されています。この法律により、アルコール製品もそれに並ぶことになります(ドネリー厚生大臣)
新しい表示ルールの目的は、飲酒が健康に与える影響についてきちんと理解していない人たちに、正しい情報を提供することであるとのこと。
アイルランド政府が毎年行っている調査によると、過度な飲酒がもたらす乳がんや大腸がんのリスクについて回答者の6割以上(それぞれ79%と60%)がわかっておらず、妊娠中でも少量であればお酒は安全と考えている人が7%いるという。
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アルコール関連の業界団体は反発
一方、EUのアルコール業界団体は、この新しい表示義務は域内での販売を困難なものにするとして反発しているようだ。
欧州ワイン企業委員会(CEEV)とspiritsEUROPEは、アルコール乱用撲滅に向けたアイルランドの努力を支持するが、新しい規制は企業にとって負担が大きすぎるとして、欧州委員会に正式な苦情を申し立てている。
かつてタバコは公共交通機関内でも吸うことができるほどだったが、近年では世界的に禁煙の方向に進んでいる。
お酒の場合も「酒は百薬の長」と言われる時代もあったが、アルコール中毒以外にも、その健康被害が徐々に明らかにありつつある。
タバコのパッケージについては、いくつかの国ではかなりグロい警告が表示されているらしいが、お酒もだんだんとそんな風潮になっていくのだろうか?
追記:(2023/05/26)本文を一部訂正して再送します。
References:Why alcohol in Ireland will soon carry warning labels | Explained News,The Indian Express / written by hiroching / edited by / parumo
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