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44歳・姉さん女房…28歳・夫は「年収450万円・公務員」だが「一生住宅は買えません」

44歳・姉さん女房…28歳・夫は「年収450万円・安定の公務員」だが「一生住宅は買えません」のワケ【FPが解説】 | ニコニコニュース

「年の差婚」がめずらしくなくなった昨今ですが、夫婦の年齢の大きな差は家計の面でどのような影響があるのでしょうか? 本記事では夫が妻より16歳年下のBさん夫婦の事例とともに、年の差夫婦のマネープランについて長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。

近年増加する「妻が年上の夫婦」

一昔前と比べ、「妻が年上の夫婦」が増えているように感じている方も多いと思います。厚生労働省の人口動態統計『初婚夫妻の年齢差別にみた婚姻件数・構成割合の年次推移』および『平成 28 年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況』によると、初婚同士の夫婦のうち、妻が年上である割合は近年実際に増加していることがわかります

昭和45年1970年)では10.3%だったものが、平成21年2009年)では23.7%、平成27年2015年)では24.1%と、倍以上に増加しました。そのなかでも妻が夫よりも4歳以上年上の夫婦は昭和45年で1.8%、平成21年で6.1%と大幅に増えています。

この原因は推測するしかありませんが、女性の社会進出によって経済力の有無で結婚相手を決める傾向が弱くなったという点や、それにともない結婚に対する価値観アップデートができていない「昭和型」の男性が避けられているという点も挙げられるでしょう。

なかには10歳年上、15歳年上という、いわゆる「年の差婚」も決してめずらしくありません。では、夫婦の年齢の大きな差は家計の面でどのように影響するのでしょうか。特に妻が大きく年上の場合、社会制度の面からのメリットデメリットは存在するのでしょうか。実際の事例をもとに解説していきます。

16歳年下の男性と結婚した44歳のBさん

<事例>

夫A 28歳 公務員  初婚  年収450万円 貯蓄300万円

妻B 44歳 専業主婦 再婚          貯蓄500万円

子C 19歳 大学生(妻の連れ子)

子D 1歳 

妻のBさんは44歳。23歳のときに2歳年上の男性と結婚し子供をもうけましたが、30歳で離婚。それから42歳までシングルマザーとして子供を育ててきました。

42歳のときにマッチングアプリで知り合ったAさんと結婚。Aさんの年齢は26歳でした。歳の差が16歳あり、妻のBさんの両親もAさんの両親も反対したものの、すでに子供ができていたため結婚に踏み切りました。妻のBさんはずっと「年下の男性」との結婚を望んでいたため、Aさんとの出会いは奇跡だと思ったのです。

妻のBさんが最初に結婚した夫は家計を顧みない浪費が多く、借金も多く抱えていました。しかしBさん自身も若かったこともあり独身時代のカードローンは完済できないままで家計を管理する意識が低かったのが現実です。2人で家計を協力して立て直していこうという意識を持てず、お互いのせいにしたまま険悪な状態で離婚しました。

Bさんが再婚相手に年下を希望していたのは、年上の男性では老人に見え恋愛対象にならず、同年代では元夫のように慣れ合ってしまい思いやりを交換できなくなるのでは、と思ったのがきっかけです。年下であれば、自分も素直になれるのではないか、という心理的な側面に加え「年下ならきっと経済的にも有利だろう」という根拠のない損得勘定もあったのは事実です。

年収400万円の26歳・公務員と交際、妊娠が発覚して結婚へ

出会ったAさんは26歳の公務員。年収は当時400万円強と決して多くはありませんでしたが、定年退職までの年数は長く、昇給も退職金もあり安定しているところが魅力でした。自己主張が強かった元夫とは違い、穏やかで素直な性格にも惹かれました。

しかし過去の失敗の記憶が何度もよみがえり結婚に踏み切れなかったところ、妊娠が発覚。Bさんは、結婚して育てたいと言ってくれるAさんと結婚する決断をしました。

子供の養育費のことで元夫と喫茶店で会ったとき、再婚することを告げました。元夫にAさんについて教えたところ、元夫はこんなことを言ったのです。

「オレがざっくり想像してみても、それは家計が回らなくなるだろう」

驚いたBさんが言います。

「なぜ? 公務員だし、若いし、贅沢しなければ生活していけると思う」

元夫は呆れたようにまた言います。

「財布のどんぶり勘定はまったく変わっていないね。誰かに冷静に計算してもらいなよ。また離婚するよ」

「むかし借金を作った人がどの口で言っているのですか……」

Bさんは元夫の嫌味だろうと軽く流しました。結婚し、出産に合わせてそれまで勤めていた勤務先を退職。夫のAさんは家事に積極的に参加する人だったこともあり、結婚当初はとても幸福感に包まれていました。しかし、結婚後1年間住んだ賃貸マンションをやめて、持ち家を購入しようとしたころからBさん夫婦は厳しい現実にぶつかってしまいます。

「住宅は購入できません」…突き付けられた厳しい現実

Bさん夫婦が希望する住宅の物件は、分譲住宅で4,500万円。Bさんの貯蓄の500万円を自己資金にし、残り4,000万円を住宅ローンで調達することにしました。

ところが金融機関での審査をしたところ、6社のうち5社はNG。信用情報に懸念はないため返済負担率の問題と思われます。年収450万円に対し借入希望額は4,000万円ですから公務員とはいえ多くの金融機関がNGとするのも無理はありません。

地方銀行の1社のみ審査が通りましたが、金利が高い条件を提示され、保証料も100万円を超える状態でした。それでも住宅ローンが借りられる以上、住宅は購入できます。しかし返済していけるかどうかは別問題です。妻のBさんは元夫が「お金が回らなくなるだろう」と言っていたことを思い出し、ファイナンシャルプランナーに相談することにしました。

ファイナンシャルプランナーからは驚愕の現実を突きつけられました。

「その住宅ローンを返済するのは不可能です。住宅を購入した翌年からほとんどの年で、家計収支が赤字になります」妻のBさんは驚いてしまいます。

問題となったのは次の点でした。

・長女の大学進学により高額な出費がある(元夫が学費を支払う約束だが、生活費や下宿費用などはBさんが負担することになっている)

・妻のBさんは現在育児に専念するため専業主婦であり無収入

・妻のBさんが仕事を再開するときには40代後半となっていて、正規雇用での再就職が難しいかもしれない。パート収入では家計は成り立たない。

・妻のBさんが正規で雇われたとしても65歳で退職するときには夫は49歳。第二子が大学生であり貯蓄できる余裕がない。

・夫の49歳以降は、建物のメンテナンス自動車の購入などで貯蓄がうまくできない。

・夫Aさんが65歳で定年退職したとき、妻は81歳。介護が始まる可能性もあり、貯蓄できない。

・平均寿命から考えると、夫Aさんが75歳になるころには妻Bさんは亡くなり、Bさんの年金は支給されない。

つらくなるほどネガティブ未来予想でした。

「今後、どうすればいいのでしょうか……?」夫のAさんが心配してファイナンシャルプランナーに質問しました。

意外な解決策

解決策は驚くほどシンプルなものでした。

「持ち家は諦め、賃貸マンションで暮らすこと、それだけです」

ファイナンシャルプランナーは次のように説明しました。

「家計が破綻してしまう理由は、ひとつに住宅を買うタイミングが悪いということです。貯蓄が少なく、シングルインカムの状態で無理に住宅ローンを借りると利息の面で大きく不利になります」

「次に、ご夫婦の年齢差です。家計を支えるのが夫のAさんで若いため一生安泰のような錯覚がありますが、現在の年収がまだ高くありません。住宅を買うと維持費で苦しむことが予想されます。貯蓄ができて家計が楽になるのは夫49歳、妻65歳で第二子が大学を卒業するころです」

「しかしそのころになるとようやく住宅ローンを返済していく余裕が生まれますが、定年まで15年ほどしかありません。自己資金だけで住宅を購入できるのは退職金が受け取れる65歳のときでしょう。その時は妻のBさんは81歳となり、住宅を買って引っ越すことに環境的な負荷がかかりお勧めできません……」

妻のBさんは理解したようですが、夫の人生の選択肢を狭めてしまったような罪悪感を感じてしまいました。しかし夫のAさんは優しく、こう言ってくれました。

「家族でいるほうが大切なので一生賃貸でいこう」

持ち家を諦めたとしても、教育費にはお金をかけることが可能になります。住環境は多少不便でも教育を残してあげるほうが優先だと夫のAさんが言いました。

「年の差婚」で気をつけるべきポイント

ライフプラン上、年の差婚は人生において「やれること」に制限があるのが現実です。

・子供を持つ場合は夫婦の年齢差によって教育費のタイミングが苦しくなること

・夫婦のどちらかが早く定年退職してしまうため、そのあとに住宅ローンを返済していくことが困難になりやすいこと

・妻が年上の場合、老齢年金における加給年金が支払われないこと

・夫婦のどちらかが早くに無収入となるため、結婚前の貯蓄額が極めて重要であること

これらの特徴があります。

一般的に年の差婚は結婚前の貯蓄額が大きくなければ、住宅を購入することは難しいと言えるでしょう。必要な貯蓄額は家族構成と収入によって異なるため、ファイナンシャルプランナーなど専門家からのアドバイスが必要です。

この場合、投資信託や保険の解約返戻金としての「金融資産」ではなく、流動性の高い「普通預金」としての金融資産が最優先であるのは言うまでもありません。あるいは夫婦どちらかがすでに住宅を所有し借入金返済の目途がついていると安全です。

住宅購入は金額が莫大であり多くは住宅ローンを借りるため、年の差婚のように特殊なライフプランケースではあきらめざるを得ない場合が多いのです。

年の差婚の大きなメリット

家計の収支の面ではデメリットのほうが際立つ年の差婚ですが、もちろん大きなメリットもあります。

年上の配偶者が社会経験が豊富で、実務的な問題に対処できる能力が高いことが挙げられます(もちろんそうとは限らないケースもありますが)。ファイナンシャルプランナーとして相談を受ける現場では、年の差婚の年上パートナーは目の前の問題に冷静に対処できるケースが非常に多いのが特徴です。家計のうちなにを改善すべきか、リスクにどう対処するか、という実務に対応しやすいのです。

特に同世代で若い夫婦の場合、意見や感情がぶつかり合い、理屈ではない心理的な問題が解決されないこともあります。年の差婚の場合は「相手が大人過ぎて口喧嘩にならない」という夫婦の意見が多いこともご存じの方も多いでしょう。

社会構造が変わりつつある現代の日本では、これからは特に「妻が年上、かつ年の差婚」の夫婦が増えていくことが予想されます。金銭的な面も、感情的な面も、冷静に考慮したうえで幸福な新婚生活を始めていただきたいと思います。

長岡 理知

長岡FP事務所

代表

(※画像はイメージです/PIXTA)

(出典 news.nicovideo.jp)

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