妻が休むヒマもなく掃除をしているのにソファでゴロゴロ…そんな夫にイライラしなくなる成熟した思考法 | ニコニコニュース
※本稿は、和田秀樹『65歳から始める和田式心の若返り』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
■掃除を手伝わずにゴロゴロする夫の価値観
1つ、質問です。自分が休むヒマもなく掃除をしているというのに、ともに暮らす人がソファでゴロンとしていたら、あなたはどう感じますか。
その答えで、先述した「かくあるべし思考」に縛られやすいかどうかが、だいたいわかります。
多くの場合、「かくあるべし思考」に縛られやすい人は、自分に厳しい一方で、人にも厳しくなっています。
たとえば、自分が掃除をしているときに、「夫がソファで寝転んでいるのを見ると無性に腹が立つ」という女性たちの嘆きを聞くことが、多々あります。
夫の気持ちばかりを代弁するつもりではありませんが、夫が掃除を手伝わずにゴロゴロしているのは、妻を挑発したいわけではないのです。
おそらく、部屋が散らかっていても気にならないだけでしょう。そんな夫に腹が立つのは、妻に「家はキレイにしておくべき」という思考の偏りがあるためです。
一方、掃除をしない妻に、「部屋が汚い」と文句をいう夫もいます。これも、夫の思考の偏りから出てくる言葉です。
「部屋はキレイなほうがいい」と思っていながら自ら動かず、妻に文句をいうのは、「掃除は女がするもの」という古典的な「かくあるべし思考」に囚われている証拠です。
■自分自身の決めつけが相手へのマイナス感情を生む
私たちは、怒ったりイライラしたりする際、つい「相手が悪い」と思いがちです。
しかし、人に厳しくなる本当の理由は、自分自身にあります。自分の「かくあるべし思考」が相手の言動に違和感を覚えて、思い通りに動かない相手にマイナスの感情を抱いてしまうのです。
そもそも、この世界に唯一絶対の正解はありません。自分には自分の価値観があるように、人には人の価値観があります。
そうだというのに、「自分は絶対に正しい」と一方的に思い込めば、相手の価値観を否定することになります。当然、否定されれば相手の心にも反発心が生まれます。
「自分のほうが正しい」
「いや、絶対に自分は間違っていない」
このように、「どちらが正しいか」という議論を続けても、解決はできません。
反対に、正しさで自分を縛れば縛るほど、不機嫌やストレスから逃れられなくなります。自由気ままに振る舞って、楽に生きているように見える他者を許せなく思えるのです。
■「まぁ、こんな人だからしかたがない」
「かくあるべし思考」から解放されるには、「人には人の価値観がある」ことを受け入れることです。それを理解すれば、他人の言動に振り回されずに済むようになります。
先ほどの夫婦の例でいえば、妻は自分が掃除をしたいときにして、やりたくないのならばやらなければよいでしょう。一方、夫は、部屋が汚れていて嫌ならば、妻に文句をいうのではなく、自ら掃除をすればよいだけの話です。
「自分がやりたいように生きる。そのかわり、自分の価値観を相手に押しつけない」と思えたとき、自分のなかの「かくあるべし思考」の多くが消えていくはずです。
では、相手が「かくあるべし思考」を押しつけてきたときには、どうすればよいでしょうか。それは、相手の発言を「スルーする(気にしない)」ことです。
相手の話を無視するわけではなく、「まぁ、こんな人だからしかたがない」と心の中で受け流し、口では「そうかもしれないね」といっておけば、相手と険悪になるのを防げます。
人間には、いろんな価値観があって当然です。他人にまで自分の価値観を押しつける必要はありません。感情的にならずに柔軟に対応できれば、気ままに生きている他者にも寛容になれるでしょう。
■ロシア・ウクライナ問題の本質
人の判断をゆがめてしまう不適応思考には、「かくあるべし思考」のほかに、「二分割思考」があります。
二分割思考とは、物事を白か黒かにハッキリ分けて考えてしまう極端な考え方です。
「敵か味方か」「正しいか正しくないか」「正義か不正義か」「善か悪か」「安全か危険か」など、中庸の考えを持たず、完全に2つに分けてしまいます。
たとえば、ロシアとウクライナの戦争に対する意見が、わかりやすい典型例です。
冷静に考えれば、戦争とは、どちらか一方が完全に悪で、もう一方が完全に正義ということはありません。ウクライナ侵攻によって大変な被害が出ているのは事実ですが、ロシアにしてみれば、元は同じ国だったという意識があるなど、それなりの言い分があったのでしょう。
ところが、そんなことを、たとえば私がテレビで発言したら、大変な騒ぎになってしまいます。日本人は二分割思考の人が非常に多いからです。「ロシアが100%悪で、ウクライナが100%正義」と思い込んでいる視聴者に向かって、
「まぁ、ロシアだって、ウクライナが西側につくとなれば、自国を脅(おびや)かされそうで怖いし、強い不安を抱えてしまったのではないでしょうか」
そんなことをいおうものなら、誹謗・中傷の嵐が吹き荒れるはずです。このように、他者を一方的に批判する人は、ほぼ間違いなく二分割思考に囚われています。
■長年親しく付き合ってきた友人と決裂しやすい人
加齢とともに、人は無意識のうちに、この二分割思考に囚われてしまいます。
理由は、脳の前頭葉が縮んでいくからです。前頭葉が衰えてくると、物事の決めつけが激しくなり、白か黒か、善か悪かで考えるようになりやすいのです。
たとえば、長年親しく付き合ってきた友人でも、「小さな約束を破った」「ささいな金銭トラブルがあった」など、誤解や行き違いと呼べる細かなことで、「あいつは許せん。二度と会いたくない」と決裂しやすくなります。こうして、味方である人も敵と区別してしまうので、孤立しやすくなるのです。
また、二分割思考の人は、自分に対する考え方も厳しくなります。何事も完璧に成し遂げようとする、完璧主義者になりやくなるのです。
しかし、老いると完璧にできないことが増えていくため、「オレは、こんなにダメになってしまった」と落ち込みます。また、「完璧にできないことはしない」と、100かゼロかで物事を決めるようにもなります。
■「限りなくグレーが広がっている」と考えられるか
二分割思考をする人は、思考の偏りが強いため、うつ病を発症しやすくなります。
しかも、その頑固さから、かかったら治りにくい、という傾向があります。
ですから、心の老い支度をするにあたって、この二分割思考に陥らない思考法を身につけることが大切です。
そのためにも、新しい考え方をもう一つ足していきましょう。「曖昧さへの耐性」です。つまり、白と黒の間に、グレーの部分があることを認めていくのです。
ちなみに、ひと言でグレーといっても、白に近い色から黒に限りなく近い色まで、無限にあります。思考のグレーの度合いをその都度柔軟に変えていけることを、専門的には「認知的に成熟している」といいます。
たとえば、人と話すときに、「3割は自分と違う要素があるけれど、7割は同じ」と思えば、相手の言葉にいちいち腹を立てずに済みます。
また、「嫌なことをよくいうが、よいところもある人だ」と思えば、相手を敵視せずに済みます。自分のことも「この歳で3割、うまくできれば上々」と認められれば、できることが広がります。
人の思考は、年齢とともに成熟するのではなく、放っておくと老化します。グレーの部分を認めることは、大らかな気持ちを育み、心の成熟につながるでしょう。
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精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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RT 高齢者逆張り芸の次はウクライナにまでミソつけるのか。ウクライナや西側諸国が正義なのではなくロシアが悪なだけって話を理解できず、ウクライナが100パー正義と言うのが世論だなんてレッテル張ってる自分こそかくあるべきを云々見直したら? |
shelly ぎゃくなんだよな、旦那がいるから忙しそうにしてるだけ。コロナ開始時で普段ダラダラして家庭に逃げた勝ち組女性様の逃げ場がスーパー(店内クソガキのトラブルと、自称子育て主婦のたまり場)でたむろってた、締め出された旦那のほうは洗車場の列。極めつけ離婚騒動(家庭に逃げた女性が優遇されすぎてた件でね)もかなりあった模様 |