1億円横領に3度の離婚、親族トラブル、医学部3回浪人…「ガーシーに大金を貸した医者」の壮絶人生。それでも今、ガーシー被告に“伝えたい言葉” | ニコニコニュース
年商200億円を売り上げ、3億円のストラディバリウスや自家用ヘリを所有する――。絵に描いたような“成功者”を体現する東京美容外科の統括院長である麻生泰氏。しかし、その成功の裏には、数知れぬ失敗があったという。
麻生氏の著書『もしも、人生を今日からやり直すとしたら 孤独を恐れず自由に生きる法則』(KADOKAWA)では、これまでの同氏の失敗や失敗に対峙した時の対処法などが数多く触れられている。そんな「失敗の達人」が語る人生の挫折や困難の乗り越え方を聞いた。
◆失敗する人に実は共通する「明確な特徴」
3回の医学部浪人や1億円の横領、3回の離婚、親族の裏切り……。数々の失敗を繰り返しながらも、現在は美容外科や発毛専門クリニックなど日本全国に100院以上展開する一方、“ドクターA”としてYouTubeでも存在感をみせる麻生氏。挫折を繰り返す中から得た、成功の秘訣はなんだったのか。
「失敗する人に共通するのは『悩んでいる時間が長い』ということですね。僕も昔から自己肯定感が低くて、いつも悩んでいたんですよ。大学受験したいのに、『俺の実力であの学校に行けるんだろうか』とぼんやり悩んでは、ろくに勉強もしない。そりゃ、結果は出ないし、3浪しますよね」
しかし、途中で「悩んでいても仕方がない」と気がつき、思考を改めたという。
「いつからか、『あの大学にどうせ入れるわけないな』とくよくよしている間に勉強した方がうまくいくとわかったんです。以来、くよくよ悩まず、いま自分にできることに集中するように意識を切り替えました」
◆「ガーシーさんが出てきたら、一緒に遊びに行きたいです」
悩みすぎは、失敗の要因となる。なかでも特に注意すべきが「人間関係の悩み」だと麻生氏は考える。
「恋愛や結婚でのパートナーとの不和、親との確執や友人とのケンカなど、人間関係の悩みは、いくら悩んでも答えが出ない。なぜなら、相手があるものなので、自分一人がいくら努力しても変えられませんから」
麻生氏はその幅広い交友関係も有名。「ガーシー」こと元参議院議員の東谷義和被告には4000万円の大金を貸したことでも話題になった。
「人間関係で大切にしているのは『この人は信頼できるかどうか』という点だけです。ガーシーさんのときも周囲からは『あんな人にお金を貸してはいけない』との強い反対もありました。ただ、ガーシーさんについては『この人なら貸したお金を返せる』と思ったし、事実、その言葉通り、彼はお金を返してくれた。これまで僕は何度もいろんな人に裏切られてきましたが、借りたものをきちんと返す人は信頼できると感じています」
その後、ガーシー被告は逮捕されたが、だからといって関係を一方的に終わらせる気はないと麻生氏は続ける。
「今の日本では、失敗した途端、その人を一気に排除する風潮が極めて強い。ガーシーさんについても、捕まった瞬間に悪者にされてしまいました。たしかに、彼のやり方が正しいとは言えませんが、僕はYouTubeのフォロワーを増やしてもらった恩がある。その恩に報いるためにも、僕だけはガーシーさんの味方でいるべきだと思っています。また、僕自身が失敗を繰り返してきた人間なので、罪を犯して失敗した人を過剰に攻め立てる『いじめ』はしたくない。彼が罪を償って出てきたら一緒に遊びに行きたいですね」
億万長者として世間に名を知らしめる麻生氏だが、いまだにその挑戦への意欲は衰えることはない。事実、40歳にして慶應義塾大学医学部大学院へ入学し、卒業も果たした。
「昔から『自分が劣等生だ』という強いコンプレックスがあったので、『慶應に入ったら、みんなの見る目が変わるんじゃないか』と思ったのが大学院進学の理由です。事実、慶應大学の大学院を卒業してからは、周囲の反応は変わりました。勉強は本気で大変でしたが、時間とお金を投資した価値はあったと思います」
さらに、45歳では趣味のヴァイオリンを極めるために音楽大学へと入学。こちらも卒業後、ヴァイオリニストとしての活動も始めたという。
「本気でやっていると、周囲の人が助けてくれるんですよね。同級生や先生、秘書さんなど本当に多くの人に助けられました。また、若さや時間はない分、経済力はあるので、移動はタクシーを躊躇せずに使ったり、練習部屋を近所に借りたりと、いろんなウラ技も使えたのも社会人の学び直しならでは。今後も、やってみたいことは限りなくあるので、生きている限り勉強は続けたいですね」
◆挑戦を続けるには「自分を好きになること」が大切
失敗が続くと、人間は誰しも「自分には価値がない」と自己肯定感が下がり、挑戦するのが怖くなるもの。ただ、これは不幸なことだと麻生氏は語る。
「『自分には価値がない』『自分を好きになれない』と思い込むのは、不幸なことですよね。ただ、自分を愛せないと他人も好きになれないし、自信を持って何かに踏み出すことができなくなるので、まずは自分を愛してあげてほしいです。自分を愛せるようになるために、勉強したり、努力したりすることは、決して悪いことじゃないと思います」
また、自身の専門分野である美容整形に対しても、「自分の外見を変える努力をするのは、悪いことではない」と続ける。
「現代の教育の問題点は、『実は社会は平等じゃない』と教えない点です。たとえば、見た目がいいほうが得するし、人気者になれるというのは事実。僕の専門分野である美容整形に対しても、ルッキズムを助長すると非難されることもありますが、仮に容貌に自信がなくて一歩踏み出せない人が、自尊心を回復する手段として美容整形を選ぶのは全く悪いことではない。
以前、ネット上で『お前はそんなことを言うが、自分の娘にも豊胸手術をするのか』と言われたことがあるのですが、仮に自分の娘が自分の胸で悩んでいるのなら、手術します。なぜなら、その悩みのせいで人生に挑戦できないのは、あってはならないことだから。外見と心のコンプレックスを治す医者として、僕は今後も活動を続けていきます」
◆失敗は未熟さを知る機会。過剰に恐れる必要はない
失敗するのが怖くて、行動できない。そんな人に向けて、麻生氏が伝えたいのが「失敗を繰り返せば、失敗は怖くなくなる」との言葉だ。
「昔、信頼していた部下に1億円を横領されたことがあります。結果、1億円は返ってこない上、計上していなかった未納分の税金を毎月500万円返済する羽目になりました。返済時は本当に大変でしたが、横領が発生してしまうような組織体制を反省しました」
結果、税理士や弁護士ら専門家の力を借りて、組織体制を見直し。現在ではトラブルが生まれない経営体制を構築できたという。
「もちろん横領した部下に対して怒りはありましたよ。ただ、その人に何かしらの危害を加えれば、それは法律違反です。失敗は自分の未熟さを知る機会だと思って、変えられない部分は無視して、自分が変えられることにだけ目を向ける。その積み重ねがあると、結果的には現状が改善されるんです。そうすると、失敗は怖くなくなるし、人への怒りも消えていくんですよ」