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昔は美味しかった?イギリス料理は何故まずくなったのか?

実は昔は美味しかった?イギリス料理は何故まずくなったのか | ニコニコニュース

イギリス料理まずいというネタは世間に広く知られており、なぜそんな事になったのかこれまで色々な説が唱えられてきました。

しかし個人的な感想や単なる思い込みによるものも多く、納得のできる説はあまり上がってきませんでした。

果たしてどうしてイギリス料理はまずくなったのでしょうか?

本記事ではどうしてイギリス料理まずいと言われるようになったのか、昔からイギリス料理はまずかったのかについて紹介します。

なおこの研究は、アサヒビール学術振興財団『食生活科学・文化及び地球環境科学に関する研究助成 研究紀要』17巻に詳細が書かれています。

目次

イギリス料理をまずくした元凶は農業革命

脱穀機、農業革命のときは大活躍した。
credit:wikipedia

イギリス料理をまずくした原因としては、農業の世界にも資本主義を取り入れた農業革命が訪れた点が挙げられます。

農業革命は産業革命セットで起きた変化です。

産業革命により、都市では職人の代わりに工場で製品が大量生産されるようになりました。

これにより多くの労働者が必要となり、都市部の人口が増加します。都市人口の増加は、食料需要を高め、農村ではより効率的な農業生産が求められるようになります。

こうした流れの中で起きたのが農業革命です。

農業革命によって農村は食料の自給自足をやめ、必要な食料は輸入に頼り、商品として特化した農作物の生産を始めるようになります。

土地は農業経営者のものとなり、農村の共有地がなくなって立ち入りが違法とされ、木の実や鳥を捕まえることも窃盗罪に問われるようになったのです

これにより多くの農民は土地と切り離された農業労働者になりました。

こうして誕生した農業労働者は農閑期に一時的に解雇され、都市で他の仕事に就くようになり、年間を通じて農村に住む人々の数が減少したのです。

これに伴い、農村の菜園や庭畑も維持されなくなり、村全体としての共同性と協同性も消失しました

また、従来の農村では農閑期には祭りが存在し、多くの農民が祭りに参加していました。

しかし農業労働者が土地と切り離され、農閑期に農業労働者は解雇されるようになったので、これらの祭りも消滅しました。

食文化の継承は、土地と結びついた料理が、年間を通じて非日常の宴が訪れる環境で養成されていくものです。

祭りの消滅は、季節に合わせた料理を、土地特有の食材を用いて、多彩な調理法で食べるという習慣を奪ってしまいます。

そのため地域の食材の採取が制限されたり、祭りが消滅すると食文化は後世へ伝わらなくなってしまうのです。

また料理はすぐに消費され残り物は捨てられるため、工芸品のような職人技術と異なり後世に作品が形としては残らない点も食文化の継承を難しくする要因です。

これは音楽についても似た傾向がありますが、楽器と楽譜は結びつきが強く再現が容易ですが、料理のレシピはそれだけでは伝わらないニュアンスが多く再現が難しくなります。

これは私たちが、ネットで料理の作り方を調べた場合でも思い当たる問題でしょう。現在は動画もあるので一概には言えませんが、基本的に料理は人間関係を通じてでなければ上手く継承されないのです。

これにより料理の技術と伝統的なレシピが失われイギリス料理は衰退することになったのです。

かつてのイギリス料理は美味しかった?

ローストビーフとヨークシャー・プディング 、数少ない評判のいいイギリス料理である。
credit:wikipedia

余談ですが農業革命以前のイギリス料理は現在のイギリス料理よりもレパートリーが豊かであり、狩猟で手に入れていた鳥獣、野山で採取される果物、菜園で育てられる香草・豆類などが使われていました。

これらの食材は共有地となっていた野山や菜園で採取されて、季節によって供給が変動しました。

果物や香草は猟鳥獣料理のソースに使用されイギリス料理に地域的な特徴と季節的な変化をもたらしていました。

酒やその加工品、特にりんご酒も消失した食材の中に含まれています。

これらの飲み物は保存性が悪く、輸送には不向きで、地域性と季節性が高かったため、在地の特産品でした。

香辛料類も興味深い要素で、多様な種類が使用されていました。

これらの香辛料は主に南欧やアジアから輸入され、高価な産品でした。

例えば、白胡椒と黒胡椒ナツメグメイスなど、微妙な風味の違いが料理に活かされていたのです。

しかし先述したように、これらの食材は農業革命による農村の衰退により、イギリス料理で使われることはなくなりました。

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参考文献

小野塚 知二 (Tomoji Onozuka) – イギリス食文化衰退の社会経済史的研究 – 論文 – researchmap https://researchmap.jp/search_Tomo/published_papers/31548055

実は昔は美味しかった?イギリス料理は何故まずくなったのか

(出典 news.nicovideo.jp)

黎黒(くろ)

黎黒(くろ)

そう考えると調味料がほぼほぼワイナリー形式の日本はつよいわな…

kani

kani

元はフランスからの技法が入って来てたしな、日本だって時代で見れば近代までいいもんは食ってなかったから多少はね(地域でのもんも多いし)

金鯖缶

金鯖缶

インドから渡ったカレーの人気が建築様式の変化で落ちていったって事を考えれば、そりゃ味も香りも薄くなるし、良い素材が採れる国土かってなると不味くなるよねっていう当然の帰結。 ただそこから何故美味しくする努力をしなかったのかと(食バカ日本人感)

もっぷ

もっぷ

最近は美味しくする努力してるような記事見るけどね。パブ文化なので酒のあての方が重要なのかもな。

あどれす

あどれす

とりあえずあのクソマズイ草を入れるのやめろって英国旅行者は言ってたな、それ以外は普通に食える味だったそうだ

ニック

ニック

衰退の理由ではあっても馬鹿舌が継続する理由にはならんやろ

acony

acony

イギリスの産業革命は教科書にも載っているが日本でも工業化の流れはあったし、農業革命にあたる土地を持たない小作農もいた。味覚が違うのかも。

jjj

jjj

昔のイギリスは知らないけど。イギリスも家庭料理はなかなか美味いよ。

ゲスト

ゲスト

イギリスでも場所によるんじゃないの、日本だって東北の方は・・・

Ry

Ry

イギリス人は料理に関して保守的なんだよ。自分が食べてた味や献立が変わるのが、基本的に大っ嫌い。だからまずいものを食べ続けるし、新しいものに挑戦しない

水和物

水和物

紅茶をキメれば満足だから飯の味に無頓着だったんじゃね

らりるれろ

らりるれろ

どこかで聞いたが不味い理由は碌に下味付けなかったり、食材の味が抜け切るまで煮込んだりするからという説もある。フィッシュアンドチップスなんかは油を良く切らずに皿に盛るから結構ギトギトしてるらしい

読めない人

読めない人

違うよ?第2次世界大戦の配給缶詰制度が完璧に機能して料理しなくてもよくなったからやで

鏡花

鏡花

それだと昔からの料理が断絶した理由にはなるけど、今なおビミョーな話を聞く理由にはならないような……。パン粉入りソーセージは戦時下の物がなかった時代に生まれたって聞いてるけど、それならなんで今も作ってるの?って話。

100H(ヒトフタマルエーイチ)

100H(ヒトフタマルエーイチ)

和食も実の所発展したのはここ100年の話(すき焼きが明治、肉じゃがが昭和初期)、そもそも今ある寿司や刺身は冷蔵庫が前提だし。世界も同じで冷蔵/冷凍庫ができてから発展した料理に対してイギリスが乗り遅れた理由は別にあると思うな

T-Rex Hi

T-Rex Hi

はいはい、エーメンエーメン…

kurogane

kurogane

ある動画で知ったのだが、イギリス料理が不味い原因の一つにプロテスタント信仰も関係しているとか。プロテスタント信仰では食における禁欲を美徳としていて、それが元で味に頓着しなくなり、食の不味さに繋がったといわれているそうで……食事は三大欲求の食欲を満たすのだから、せめて美味い飯を食おうや。

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