シャインマスカット398円ブーム、一部青果店から怒りの声「デマを流さないで欲しい」 | ニコニコニュース
普段なら最低でも1房1,500円程度はするシャインマスカットが今年は398円──。
先日、一部メディアが報じた「シャインマスカットが大豊作でリーズナブルに」とのニュースがネット上で話題を呼んだが、とある青果店主は「いい迷惑。一部分だけ誇張して情報を流さないで欲しい」と憤る。
■シャインマスカット本格シーズンを迎え…
2023年は連日の猛暑で生育が早まり、例年より大粒な商品がシーズン前から多く流通していると報じられたシャインマスカット。
ネットでは最安398円で販売されているというニュースを知り「豊作だとこんなに安くなるのか」「早速買ってこよう」「もはやマックより安い」と盛り上がりを見せている。
関連記事:ダイソーで見つけた親指サイズほどの皿 これ使うだけで「食パン」が一気に激ウマ化
■1パック600円の店を発見
その情報を元に記者が近隣のスーパー、青果店を7軒ほどリサーチすると、ほとんどが1,300~2,000円程度。全然安くないと思っていた矢先、600円で販売している青果店を一店見つけた。
しかし、「“おつとめ品”として600円にしていまして、普段はこの値段では出してません」とのこと。1房単位ではなく粒だけをパックしたワケあり商品だった。
関連記事:コロナ禍以降「万引き激増で被害が深刻」 窮状告白した店主にアドバイス続々
■これまでのブランドが崩れると懸念
しかし600円でも十分安い。記者は即買いしたのだが、隣町にある青果店の男性店主は「安くなっている商品は、粒のサイズがバラバラだったりあまり鮮度が良くない物がメイン。毎年仕入れていますが、値段自体はさほど変わらないし、育成の手間暇、そしてブランディングを重ねてきた商品が、豊作だからって1/4ほどの値段になることはないと思う」と見る。
その上で「生産農家さんも増えた。これまで山梨、長野、岡山が主な産地で味も保証されていましたが、安さ重視でブランドが崩れてしまうと、今後どこで作ったかわからない低品質な物も出回るのでは」とも推測し、盛り上がる格安シャインマスカットブームに警鐘を鳴らす。
関連記事:「秋葉原で制服女子が売春」と報じたweb記事が炎上 読者が指摘した“3つの矛盾点”
■店にはクレームも
店主はさらに続ける。
「例年、うちは厳選した商品を1パック2,000円ほどで販売していますが、『なんであんたのところは高いんだ』『他店では398円で売っていると聞いた』と数件クレームすらはいりました(笑)。本当にいい迷惑です。宣伝のため取材に応じて、赤字覚悟で安く売る店もあるかもしれないけど、大半がそうじゃないわけです。豊作になれば格安になるという、そんなデマをメディアも流さないで欲しいと感じています」(前出・青果店主)。
今回の格安シャインマスカットブーム、ネットでは「どこで398円で売ってんだよ」「普通に1980円して泣いた」「いつ見ても全然安くない」という声が飛んでいるのも現状で、冷静に物事を見極めることが大事なようだ。
関連記事:スタバの新作アイテム、ダイソー商品と比べてみたら? 値段も機能もここまで違った…
■執筆者プロフィール
キモカメコ佐藤:1982年東京生まれ。『sirabee』編集部取材担当デスク。
中学1年で物理部に入部して以降秋葉原に通い、大学卒業後は出版社経て2012年より秋葉原の情報マガジン『ラジ館』(後に『1UP』へ名称変更)編集記者。秋葉原の100店舗以上を取材し、『ねとらぼ』経て現職。コスプレ、メイドといったオタクジャンル、アキバカルチャーからスポーツまで精力的に取材しつつ、中年独身ひとり暮らしを謳歌する。