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なぜ「夫婦」は「行き違う」のか?三浦瑠麗氏が指摘する男性の特質とは
令和の現在、夫婦の3組に1組は離婚する。残る3分の2の多くも、大なり小なり問題や悩みを抱えている。ネットニュースSNSリアルな夫婦像に触れる機会が増え、我が身を振り返る人も少なくないだろう。9月に新著『妻が怖くて仕方ない』(ポプラ社)を上梓したジャーナリストの富岡悠希氏が「日本の夫婦の今」を明らかにする本連載。今回は、結婚までの「男の成功体験」がもたらす、その後の悪影響を分析する。

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(富岡 悠希:ジャーナリスト

【主な連載記事】
妻の暴力で脱臼、救急車で運ばれた僕が考える夫婦の「リアルと理想」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71659)
「既婚者合コン」に潜入、「良妻賢母」的なマリコさんに僕は困惑したhttps://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71835)
社会でも家庭でも力を失う「弱者男性」、変わる夫の立ち位置を直視すべしhttps://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72032)
ほか

世の恋人たちが最も盛り上がる、クリスマスが終わった。筆者(46歳)は、「夜景の見えるレストランフレンチコース」が定番とのイメージを持っている。

2011年に結婚してから、我が家にはほどなく子どもが産まれた。それ以降、クリスマスは夫婦で楽しむよりも、子どもを楽しませるイベントシフトしている。

先の定番イメージも、時の変化でずれているかもしれない。2021年12月ウェブスターマーケティング渋谷区)が実施した「クリスマスデートプレゼントに関するアンケート調査」を参照してみよう。20~50代の男女500人に調査しており、規模感はバッチリだ。

クリスマスデートで恋人としたいことは?」を「複数回答可」で聞いている。

結果は、以下となった。

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根強い「プロポーズは、男性→女性」

筆者のイメージは、1・3位の合体型となろう。2位は、新型コロナウイルスによる巣ごもり生活の影響があるのだろうか。

夜景を見ながら甘い時間を過ごした終盤、プロポーズに至った展開もあったかもしれない。言わずもがなプロポーズとは、結婚を正式に申し込むことだ。

この単語に接した時、読者の皆様も「男性→女性」の図式で捉えたのでないか。男女平等の考えは定着し、各種の壁がありながらも女性の社会進出が進んでいる。

それでも結婚の申し込みは、男性から女性へが普通となっている。「女性→男性」の場合だと、一部では「逆プロポーズ」と呼ばれている。

プロポーズの前段階となる「告白」や「交際申し込み」でも、やはり男性から女性が一般的だ。筆者の娘たちが最近、「キャッキャッ」言いながら見ているのが、人気漫画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のアニメだ。

名前から分かるように、女性のかぐや様は自ら告白するよりも、相手から告白してもらう方を欲している。プライドが高い男性側も想いはあるが行動しないため、2人の「頭脳戦」となる。

漫画のような高校生ではまだ難しいかもしれないが、世の男性たちは大学生にもなると、自分の役割を理解していく。

我らイケメンでない男たちは、女性と付き合いたいならば、自分から仕掛けるしかないと悟る。そして実行するが、当初は失敗続きだ。当然、凹むが精神力を奮い立たせ、次の女性に向かっていく。

恋愛の「不屈の魂」は結婚生活ではマイナス?

数度の失敗を繰り返して、何とか意中の女性との交際に辿り着く。それでも、最初の交際相手と結婚とはならないだろう。振られて、振られて、振られて。何とか赤い糸で繋がった相手が運よく見つかれば、結婚できる。大半の男性のストーリーは、こんなところではないだろうか。

しかし、男性の「トライ&エラー」の経験や「不屈の魂」は、実は結婚生活においてはマイナスに働いているようなのだ。

拙著『妻が怖くて仕方ない』では、最後となる第8章で国際政治学者の三浦瑠麗さんとの対談を収録した。その中で三浦さんが指摘したことだ。

三浦さんは2022年春、脳科学者の中野信子さんとの共著『不倫と正義』(新潮社)を出している。拙著の執筆時に読んだが、大いに勉強になった。主な肩書は「国際政治学者」だが、その枠に収まらない活躍をしているのは、テレビネットニュースなどで、皆様も目にしているだろう。

プロポーズOKでも全て受け入れているわけではない

この連載でも縷々述べてきたように、筆者はこの3年半ほど、妻と衝突を繰り返している。三浦さんとの対談時、ディスコミニケーションが極まり、「妻が口をきいてくれません」の状態になっていた。

三浦さんは、我ら夫婦が行き違う「仮説の一つ」を、次のように示した。

「男性ってノーと言われること含みでチャレンジを繰り返し、妻を獲得している人が多いですね。女性を理解できない原因の7割ぐらいがそれ。男性は結果的にオーライだったからオーライっていう風に思う。でも、その時々の女性の感情っていうのはまた別なんですよね」

「来られたものを一生懸命なぎ倒した中で、最後に残っていたというか。だから、自分の運命は自分自身では変えられないと女性が思っていて、数々の不満や愚痴をため込んでいることに、男性は気づかない」

確かにこれまで、妻が僕との交際を受け入れたり、プロポーズにOKしたりした時の感情に思いを致すことはなかった。

プロポーズを受け入れてくれたのだから、筆者のことを概ねまるっと受け入れてくれたに違いない。振り返ってみると、新婚時代には、そんな甘えの感覚にあったかもしれない。

恋愛において、自ら積極的に動ける「肉食系」か、大人しい「草食系」か、と二者択一を設問する。筆者は高校生以降、間違いなく前者だ。

三浦さんの次の指摘は、なおさら刺さった。

アタックっていうのは打率が2割もあればいい方で、残りの8割の失敗の分析をするより、数打ちゃ当たるから。つまり、自分の意思を反対意見にもかからず通すっていうのが、男性の特質なんですよね。それが立派な成功体験になってしまう」

筆者の思考と行動の裏には、三浦さんが指摘した「成功体験」が確実にある。仕事ならば「成功体験」は踏襲して平気だが、夫婦関係ではマイナスとなる。

どうやら相当に間違ったスタンスで新婚生活に入り、妻との関係をこじらせてしまったようだ。

妻の話をすぐに否定してはいけない

三浦さんは、問題点の指摘にとどまらず、解きほぐし方も提示した。

「自分の考えへの固執、柔軟さの不足、およびコミュニケーション不足。まずは彼女の意見をちゃんと聞く。それがまごまごしてたり、ふらふらしたりしていても、別にプレゼンでもインタビュー取材でもないんだから、すらすら出てこないのも含めてちゃんと聞く」

「そうじゃないな、無理筋だなと思っても、その場ですぐに否定するんじゃなくて一呼吸おいて翌日だったり、全部否定するんじゃなくて意見の1、2割は取り入れたりすると変わるんじゃないかと思います」

筆者は同じ日付の出来事を3年間記載できる「3年手帳」に日記を記している。後ろページの白紙欄には、毎年、1月1日夜、その年にやるべき目標を書いている。

今回は「妻との関係修復」をテーマにするつもりだったが、書くべき内容が固まった。

2023年は、自分の考えに固執せず、柔軟になります。妻とのコミュニケ―ションを十分にとり、彼女の意見をしっかり聞きます。無理筋な意見でも全否定は避けて、最大限、取り入れるようにします」

迎える新年「卯年」のウサギは、その穏やかさから「家内安全」を象徴するとされる。夫婦をやり直す年に、実にふさわしい。

手帳を都度読み返しつつ、夫婦関係を何とか「跳躍」させていくつもりだ。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  義実家への帰省はどうする?離婚理由に意外と多い「親族との折り合い」

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幾度かの失恋を経て結婚に辿り着く男性側の経験に夫婦関係の落とし穴があるという(写真:アフロ)

(出典 news.nicovideo.jp)

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