「加害者にも未来がある。学校は責任は負えない」旭川イジメ14歳凍死 中学校教頭が母親に告げた言葉《今日で事件から2年》
北海道旭川市の中学生だった廣瀬爽彩さんが壮絶なイジメを受けた末、行方不明になった2021年2月13日から丸2年の月日が経過した。
昨年9月、イジメの有無について再調査を行っていた第三者委員会は最終報告書を市議会に提出。「6項目の事実」について「イジメだった」と認定したものの「イジメ」と「爽彩さんの死」との因果関係については「わからない」として踏み込まなかった。遺族側はこの結果を不服とし、今津寛介旭川市長は市長直属で再調査を行う意向を表明。新しい第三者委員会が昨年12月に発足した。
事件から2年が経った今日、事件を風化させないために当時の記事を再公開する
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※本記事では3つの中学校が登場します。X中学校は、廣瀬爽彩(さあや)さんがイジメを受けた後に転校した学校。Y中学校は2019年4月から9月まで、イジメをうけた時に在籍していた学校。Z学校は、加害者生徒のC男、D子、E子が通っていた学校です。
また本記事では廣瀬爽彩さんの母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています。この件について、母親は「爽彩が14年間、頑張って生きてきた証を1人でも多くの方に知ってほしい。爽彩は簡単に死を選んだわけではありません。名前と写真を出すことで、爽彩がイジメと懸命に闘った現実を多くの人たちに知ってほしい」との強い意向をお持ちでした。編集部も、爽彩さんが受けた卑劣なイジメの実態を可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。
「爽彩さんが亡くなったことを受けて、もう一度、命の大切さについて私のほうから生徒たちに伝えようと考えました。生徒たちも全員私のほうをちゃんと見て、真剣に聞いてくれていました。爽彩さんには、ただただご冥福をお祈りするしかないなと、本当に痛ましく悲しいことだなと受け止めています」(X中学校校長)
4月15日、旭川市内のX中学校では、体育館に学年ごとに生徒が集められ、「命の大切さを訴える会」が開かれた。この中学校は今年2月13日、氷点下17℃の夜に自宅を飛び出して行方不明となり、3月23日に公園に積もった雪の中で変わり果てた姿で見つかった、当時中学2年生の廣瀬爽彩さんが最後に在籍していた転校先の学校だ。X中学校の校長は、同校の生徒である爽彩さんが痛ましい最期を遂げてしまったことの無念さを訴え、改めて「命の大切さ」について、生徒たちに真摯に語り掛けた。
Y中学校の関係者は誰一人葬儀にこなかった
「文春オンライン」では、これまで亡くなった爽彩さんが壮絶なイジメの被害に遭っていたことや失踪前に医師からPTSDと診断され、そのフラッシュバックに悩まされていたことを報じた。
3月下旬に市内で行われた爽彩さんの葬儀には、親族や爽彩さんを探すために尽力したボランティアなど、多くの人が訪れた。爽彩さんは家にひきこもり、学校にも行けない生活を続けていたが、X中学校の校長や担任教師も参列したという。爽彩さんの親族が語る。
「爽彩の小学校のときの同級生やX中学校のクラスメイトの子たちも来てくれました。FacebookやTwitterを見た全国の方から香典もいただきました」
一方、爽彩さんが2019年4月から9月まで在籍したY中学校の関係者は誰一人、葬儀にはやってこなかった。爽彩さんはY中学校に入学した直後から、同校に通う上級生のA子、B男、別の中学に通うC男らからイジメを受けていた。爽彩さんの母親は何度も当時の担任の教師や学校に「娘がイジメられている」と訴えたが、Y中学校に母親の声は届かなかった。
「もっとY中学校が真摯に対応してくれていれば、爽彩へのイジメがこれほどエスカレートすることもなかったのではないか。そう思うと残念でなりません」
前出の親族はこう語るとため息をついた。取材班が、Y中学校のイジメへの対応に問題がなかったか取材を進めるとY中学校のあまりに杜撰な対応の実態が明らかになった。
担任は「B男はちょっとおバカな子なので気にしないでください」
2019年4月、爽彩さんがY中学校に入学した直後から始まったイジメは凄惨なものだった。彼女にわいせつ画像を送らせ、それをLINEグループ内に拡散。その後、小学生を含む複数人で爽彩さんを囲み、自慰行為を強要するという事件も起こった。爽彩さんの母親は娘の異変に気付き、学校側に何度も相談したという。前出の親族が語る。
「担任の先生には母親が4月から6月の間に計4回ほど相談しました。『イジメありますよね? 調べてください』と何度も電話で伝えました。でも、訴えの電話をしたその日の午後や次の日には担任の教師から折り返しの連絡がきて、『本当に仲のいい友達です。親友です』という答えが返ってくるだけでした。母親はあまりの返答の早さに、しっかり調査をしたのかと不信感を抱いていました。
爽彩自身も担任の先生にイジメの相談をしたことがあったそうです。ただ、『相手には言わないでほしい』と言ったのに、その日の夕方には加害生徒に担任の教師が直接話をしてしまったそうです。爽彩は担任の先生には『二度と会いたくない』と言っていました。
ゴールデンウィークの深夜に、爽彩が上級生のB男から呼び出され、非常に怯えていたことを担任に伝えても『(B男は)ちょっとおバカな子なので気にしないでください』『今日は彼氏とデートなので、相談は明日でもいいですか?』という答えで、事態の深刻さを理解していないようでした」
ウッペツ川の事件をきっかけに入院した爽彩さん
6月、爽彩さんが地元のウッペツ川へ飛び込んだ事件が発端となって、警察が捜査を開始。わいせつ画像を送ることを強要した加害少年のC男は児童ポルノに係る法令違反、児童ポルノ製造の法律違反に該当したが、当時14歳未満で刑事責任を問えず、少年法に基づき、「触法少年」という扱いで厳重注意を受けた。A子、B男、D子、E子らその他のイジメグループのメンバーは強要罪にあたるかどうかが調べられたが、証拠不十分で厳重注意処分となった。事件後、爽彩さんは心身のバランスを崩し、長期入院を余儀なくされた。
「Y中学校の教頭や先生は爽彩が入院していた病院にお見舞いに来てくれて、『がんばれー、爽彩さん』と励ましてくれました。母親は『爽彩との時間を大切にしたい』と毎日、病院へと通う一方、何度かY中学校にも呼ばれて、学校側から加害生徒の聞き取り調査の経過報告などを受けていました。ただ、母親は爽彩のイジメに相当ショックを受けていて、心労が重なり、体調を崩すことがあったんです。そのため、Y中学校側との話し合いの場には代理人の弁護士に行ってもらうことにしたんです」(同前)
弁護士の同席を認めず「加害生徒にも未来がある」
母親としては、弁護士にはあくまで自身の代理として調査結果の聞き取りなどを行ってもらう予定だったが、Y中学校側は急に態度を硬化させた。前出の親族が続ける。
「母親が弁護士の同席を学校側に求めたら『弁護士が一緒では話すことができない』と、母親一人で来るように指示を受けました。母親は仕方なく、体調がすぐれない中一人で学校へ行きました。その話し合いの場で、教頭先生から『わいせつ画像の拡散は、校内で起きたことではないので学校としては責任は負えない』『加害生徒にも未来がある』などと突然告げられたそうです。その話を母親から聞かされた爽彩は『どうして先生はイジメたほうの味方にはなって、爽彩の味方にはなってくれないの』と泣いたそうです」
その後、加害者のC男、D子、E子が通っていたZ中学校から「加害者の保護者から謝罪の場を設けてほしいという要請があった」という連絡がY中学校にあった。そこでY中学校とZ中学校は検討を重ね、合同で「加害生徒と保護者が、爽彩さん側に謝罪する会」を開く予定で進めることになった。
しかし、爽彩さん側が、謝罪の会に弁護士の同席を求めると、Y中学校は同席を拒否。Z中学校は同席を認めたため、結局、謝罪の会はY中学校とZ中学校別々で行われることになった。
Z中学校では「見ていただけ」と言い訳する加害生徒も
2019年8月29日の夕方、爽彩さんの母親と弁護士、加害者C男、D子、E子と自慰行為の強要の場に居合わせた複数の小学生とその保護者らが出席して、Z中学校での「謝罪の会」は実施された。母親の支援者が打ち明ける。
「Z中学校からは爽彩さんを連れてきてほしいと言われましたが、爽彩さんは出席できる状況ではなかったので母親と弁護士だけで出席しました。20名ほどが集まった教室で最初に校長先生が『うちの生徒が申し訳ありませんでした』と謝罪しました。その後、加害者と保護者は廊下で待機。教員立ち会いのもと、母親と弁護士の待つ教室に加害生徒とその保護者が一組ずつ入ってきて話し合いを行いました。爽彩さんが公園で自慰行為を強要された際に、中学生の加害生徒らと一緒に爽彩さんを囲んだ小学生の両親は泣いて謝るケースがほとんど。しかし、中学生の加害者の中には表向きは謝ったものの、『私たちは(イジメを)見ていただけ』と言い訳をする者もいた」
Y中学校では「音声の録音は禁止」「教員は全員退席」のうえ…
紛糾したのはY中学校での「謝罪の会」だ。Y中学校も最終的には弁護士の同席を認め、Z中学校から遅れること2週間、2019年9月11日に会は開かれた。爽彩さんの母親と弁護士、A子、B男とその保護者がY中学校のミーティング用の教室に集まった。
「音声の録音は禁止され、学校は『弁護士が同席するのなら教員は同席しません』と、最初に学校側の校長と教頭が挨拶だけして教員は全員退席しました。あくまで学校側は場所を貸すだけということだったようです。母親が鮮明に覚えていたのは、その場でのA子の態度です。イジメのことを尋ねても『証拠はあるの?』と逆にこちらに突っかかってきたり、足を投げ出してのけぞって座ったりと、とても反省している様子は見られなかった。その様子を見てもA子の保護者は注意することもなく、『うちの子は勘違いされやすい。本当は反省している』と言っていたそうです。A子の担任の先生が同席していれば、また違ったのかもしれないですが、あまりに酷すぎます。一体何のために集まったのかよくわからない会だったと話していました」(同前)
謝罪の会が開かれる前に、爽彩さんは病院を退院。しかし、医者からはPTSDと診断され、イジメによる後遺症に悩まされた結果、2019年9月に引っ越しをし、X中学校に転校することになった。
「Y中学校の教頭先生からは『退院したらまた学校に』と、言ってもらいましたが、拡散されたわいせつ画像を先生やクラスメイトに見られたかもしれないわけです。そんな中で思春期の女の子が今まで通り同じ学校に通学することができると思いますか。それにY中学校には加害者もいて、イジメの事実を正式に認めていません。そんないい加減な学校に娘をまた預けることができる親がどこにいるのか。
Y中学校は事件後に加害生徒から聞き取った調書を冊子にまとめているのですが、母親がいくら『イジメの真相を知りたい』と訴えても見せてくれませんでした。弁護士を通して、学校と市の教育委員会に情報開示請求を何度も行っても、すべて拒否されています」(前出の親族)
Y中学校の担任教師を直撃「私からはお話することはできません」
なぜ、Y中学校はイジメの初期のころから真摯な対応をしてこなかったのか。取材班は4月10日、爽彩さんの当時の担任教師に話を聞いた。
――爽彩さんの母親からイジメの相談があったと思いますが、適切に対応されましたか?
「学校でのことは個人情報なのでお話することができません」
――なぜ、謝罪の会に先生は立ち会わなかったのですか?
「学校でのことは個人情報なのでお話することができません」
――爽彩さんにお悔やみの言葉はありますか?
「すみませんが、私からはお話することができません」
どんな質問をしても当時の担任から語られるのは、どこか他人事のような同じ台詞だけだった。時折、マスクの裏で苦笑いを浮かべていたことに取材班は驚きを隠せなかった。
取材班は4月11日、爽彩さんがY中学校に在籍していた当時の校長を直撃した。
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中学2年の少女を死に追いやったのは、誰か?
凄惨なイジメの実態、不可解な学校の対応――。遺族・加害者・関係者に徹底取材した文春オンラインの報道は全国的な反響を呼び、ついに第三者委員会の再調査が決定。北の大地を揺るがした同時進行ドキュメントが「娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件」として書籍化。母の手記「爽彩へ」を収録。
「イジメはなかった。彼女の中には以前から死にたいって気持ちがあったんだと思います」旭川14歳女子凍死 中学校長を直撃《今日で事件から2年》 へ続く
ゲスト
1コメ ←「母親の許可を得た上で、爽彩さんの実名と写真を掲載しています」とある。加害者に然るべき報いを下す為の苦渋の決断ではないかな。曖昧模糊とした被害者のイメージのまま風化されるより、「なんでこんな子が死ななきゃならんの」という感情を喚起させたいんだろう。それだけ被害者家族の中で怒りが渦巻いているって事かもな |
RT
そもそも、なんで遺族がこれほど足掻いて未だ決着を見ないかといえば、記事中にあるように少年法のせいで刑事罰を与えられず、親も責任取らないからだろう。通報したところで警察が役に立たないなら意味はなく、この結果を受けて加害者や学校へのヘイトにばかり目が向いて少年法が問題視される動きにならないのが問題だな |
ゲスト
加害者が「加害生徒にも未来がある」なんてほざいてるのか 被害者は尊厳を奪われ未来を奪われ人生を奪われた後でさえこんなふざけた連中によって何もかもを踏みにじられてるというのに マスゴミは未成年を含めて実名報道しろっての その程度も出来ないなら同罪だと思え |
shelly
こうして加害者は集団正義で無罪判定になるため一方的のいじめ(同じ地域だと数年数十年続くから)がなくならない(異端は人間じゃない殺しても罪に問わないキリスト教そのもの)、むしろ加害者親や共犯教員やPTAが犯罪者だと自覚させるべきだな■加害者に復讐→負の連鎖作りましょう^^ってことなんだよ、大の大人が負の連鎖作って逃げ道確保してるだけで解決なんてみじんもない |
ヨドち
この加害者はスシペロ高校生なんぞとは比べ物にならない位の罪を犯してる。加害者は後悔してるのか反省してるのかちゃんと被害者遺族に謝罪したのか分からんし知らんが、多分してないんだろうな。グルになって加害者を庇った学校関係者もかなり罪深い。そいつらもあんまり反省してそうにない。 |