東京で梅毒患者が過去最多 臨時検査会場の設置も | ニコニコニュース
今、新型コロナ以外に東京都内で警戒が広がっている感染症があります。それは「梅毒」です。東京都の小池知事も「都内で梅毒が急増している」と警戒を呼びかけています。
東京都内の梅毒の感染者は2022年、統計を取り始めてから最多を更新しました。10年前と比べると全体で10倍以上、女性だけで比較してみると40倍以上になっていて、特に20代の女性の感染が増えています。梅毒の感染拡大は東京だけでなく、全国的に広がっています。
梅毒は主に性的接触によって粘膜や皮膚が梅毒の病変部分に接触することで感染します。梅毒に感染すると4段階で症状が進行します。治療法のなかった江戸時代には「不治の病」とされていましたが、現代では治療法が確立されています。「1、2センチほどの腫れ」が現れる第1期、全身に赤い特徴的なバラのような発疹「バラ疹」が出てくる第2期までは特に痛みやかゆみを感じないことが多く、時間がたてば症状も消えてしまいます。しかし体内には菌が残っているため、「バラ疹」が出たら必ず病院に行くようにしてください。
今までは年間の症例数も多くなく比較的「珍しい病気」というイメージでしたが、この1年、突出して患者の数が増えています。また、治療しても再び感染する恐れのある病気のため、注意も必要です。また、妊娠中の梅毒感染は特に危険です。胎盤を通じて胎児にも感染し、死産や早産になったり、生まれてくる子どもの神経や骨に異常を来すことがあります。現在の感染拡大を受け、妊娠時の梅毒感染の危険性を知ってもらおうと、産婦人科医が主人公でドラマ化もされた漫画「コウノドリ」では漫画アプリを通じて、梅毒に感染した妊婦のエピソードを2月いっぱい無料で公開しています。
梅毒の急拡大を受けて、東京都でも緊急対策を行います。都内の新宿・錦糸町・立川・多摩センターの4カ所に3月、匿名・無料で受けられる臨時の検査会場を設置します。なお、会場に行けなくても梅毒の検査は都内の保健所や検査室でも受けられるため、不安があればぜひ検査を受けるようにしてください。
梅毒のまん延防止のためには不特定多数との性行為を避けるほか、パートナー同士でも感染の有無を確認するなどの対策が有効です。梅毒は感染したと言いにくい病気かもしれませんが、大切な人を守るためにも症状があれば早めの検査が重要です。