「送迎ができず、子どもの習い事を諦めざるを得ない…」共働きで悩む親に笑い飯・哲夫がズバリ回答/がんばらない教育 | ニコニコニュース
芸人として活躍しながら、小・中学生向けの補修塾を経営する笑い飯の哲夫。子どもの教育に悩む親たちからの相談に答えていく。(著書『がんばらない教育』より。初公開2023年5月8日の再配信)
◆共働きゆえに習い事の送り迎えができない
相談者◉44歳男性・会社員(妻、息子10歳)
自分も妻もフルタイムで働いており、リモート勤務もなかなかできない職種です。子どもたちの教育にはなるべくお金を惜しみたくないし、本人が望むならいろいろな習い事もさせてあげたい。
そんな気持ちもあってバリバリ共働きをしているわけですが、夫婦共に忙しすぎて平日は送り迎えができないために子どもの習い事をあきらめざるをえないという本末転倒状態に陥っています。せめて土日は就農体験をさせたりと工夫はしているのですが……。
子どもの教育のためにお金を稼ぎたい。でも忙しく働けば働くほど子どものために使える時間は減っていく。この矛盾とどう向き合っていけばよいでしょうか。
◆哲夫のアンサー
うちの家も両親が共働きでした。祖父や祖母も外で働いていたので、小学2年のときに曾祖母が他界してからは、学校から帰るとそこには無人の空間が待ち構えていました。上級生の姉はなかなか帰ってこず、ひとりでいる時間はとても不安だったことを覚えています。
殊に、学校で怖い話を聞いた日となると、ひとりきりの家は阿鼻叫喚の世界となりました。不可解な足音を感じたこともあります。
今思えばおかしなことですが、外でひとりでいるより、家でひとりのほうがよっぽど怖かったのです。おそらく、外でいるほうが、誰かしら人と繫がっていると感じられたのでしょう。また家に入ることで、群れから外れた動物のように、周りとの繫がりが遮断されたと本能的に錯覚していたのかもしれません。
耐えられないときは自転車で家を出て、畑で作業をしている祖父や、店で働く祖母に会いに行って、心の底から安心したものです。あの幼い経験は貴重なものだったと誇っています。
◆安全な経路を調べた上で外に出してあげてみては
ところで、ご相談者のお住まいは、『北の国から』のような大自然の中にポツンとある家でしょうか。
もしそうでしたら、送り迎えは大きな問題だと思います。習い事の教室までは車でしか通えないでしょうし、無理をして自転車で通ったとしても、道中で野獣に襲われないか心配です。
しかし、相談文に「就農体験」とあります。もし大自然の中で暮らしていらっしゃるなら、就農体験をしなくても土には触れていらっしゃると推察できます。ということで、そこそこ街にお住まいだと仮定した上で、解決策を考察させていただきます。
◆外とのつながりが子どもを守ってくれる
10歳でしたら、ひとりで外に出してあげてはいかがでしょうか。自転車で習い事に行けると思いますよ。でも心配ですよね。
ぜひご両親には、ご自宅と習い事の教室までの安全な経路を調べて、道沿いにお住まいの方々と土日を利用して親しくなっていただきたいと思います。そして息子さんの安全を、そんな道沿いの方々に託してみてはいかがでしょうか。
外の繫がりが子どもを獣から守ってくれますよ。誇れますよ。
★外部との繫がりが子どもを守り、成長させてくれるはず
【笑い飯・哲夫】
’74年、奈良生まれ。関西学院大学文学部哲学科卒業。’00年に西田幸治と漫才コンビ・笑い飯を結成。『がんばらない教育』『えてこでも分かる笑い飯・哲夫訳 般若心経』など著書も多数