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パリ五輪・卓球の日本代表メンバー3番手候補に10代のふたりが急浮上!! | ニコニコニュース

女子の張本美和は昨年に早田、平野、伊藤を撃破するなどブレイク。15歳らしからぬ総合力の高さが評価されている
女子の張本美和は昨年に早田、平野、伊藤を撃破するなどブレイク。15歳らしからぬ総合力の高さが評価されている

2024年に入り、今夏に開催されるパリ五輪に向けて各競技が盛り上がりを見せている。その中で卓球は、前回の東京五輪で4つのメダル(混合ダブルスで金、女子団体で銀、男子団体と女子シングルスで銅)を獲得しており、今回も〝卓球王国〟中国との激しい金メダル争いが予想される。

【写真】男子のエースである張本智和と妹の美和

注目は、代表メンバーの顔ぶれだ。原稿執筆時点では未定だが、1月22~28日に開催された「全日本卓球選手権大会」終了時で、日本卓球協会が独自に定めたポイントランキングの男女各上位2選手がシングルス代表に決定。加えて、団体戦要員の1選手が協会本部の推薦によって決まり、2月5日に発表される。

なお、パリ五輪の団体戦の出場資格は、2月16日に開幕する「世界卓球2024団体戦」で準々決勝まで進むと獲得することができる。最強メンバー結成に向けて、3人目に選出されるのはどの選手になるのか。

まず女子は、早田ひな、平野美宇、伊藤美誠の〝黄金世代〟の3人が代表メンバーとして有力視されているが、ここ1年余りの活躍で3人目の候補に急浮上しているのが15歳の張本美和だ。

5歳上の男子のエース・張本智和を兄に持ち、中国・四川省出身で元プロの卓球選手の両親の下で育った。母の張凌さんは、1995年世界卓球選手権の元中国代表。父の宇さんは現在、美和のコーチを務めている。

張本美和(右)の兄は、男子のエースである智和(左)。同じく10代から日本のトップで活躍してきた兄と共に、五輪への出場なるか
張本美和(右)の兄は、男子のエースである智和(左)。同じく10代から日本のトップで活躍してきた兄と共に、五輪への出場なるか

2021年の「世界ユース選手権」で全種目制覇の4冠を果たした張本美和は、23年にシニアでもブレイク。5月の「全農CUP平塚大会」では、準々決勝で平野を下すなどの快進撃を見せて準優勝。さらに11月の「全農CUP大阪大会」では準々決勝で伊藤、決勝で早田を撃破し、代表選考大会で初優勝を飾った。

〝対中国〟という点でも、12月の「WTT女子ファイナル名古屋」で世界女王の孫穎莎を相手に、敗れはしたがフルゲームの激闘を演じた。

張本が若くして高く評価される背景にあるのは、オールラウンドな能力だ。両ハンドドライブは、166㎝まで伸びた身長とともに安定感が増加。女子選手では珍しいYGサーブを駆使し、多彩なレシーブなど細かな技術にも長けている。

また、11月の早田戦では「戦術面」を勝因に挙げていたが、相手に合わせた柔軟な戦いも可能で、総合的な能力は今や日本のトップクラスに引けを取らない。

ダブルスでも、木原美悠とペアを組んだ昨年の「アジア競技大会」で、孫穎莎・王曼昱の中国エースペアを下して銅メダルに輝くなど強さを見せた。

世界ランキングを14位(24年1月23日発表)まで上げた実力と勢い、将来性を考えても、パリ五輪3人目選出の可能性は十分にあるとみていい。激しい3番手争いを制し、逆転での選出があるのか。目が離せない。

男子では16歳の松島が、今年に入ってから張本智和も破るなど急成長。サウスポーが、団体戦のメンバーとしてどう評価されるのか
男子では16歳の松島が、今年に入ってから張本智和も破るなど急成長。サウスポーが、団体戦のメンバーとしてどう評価されるのか

一方の男子は世界ランキング上位のふたり、張本智和と戸上隼輔に続く選手の出現が待たれる。男子チームの総合力向上が求められる団体戦に向け、彼らに迫る存在として実力を伸ばしてきたのが松島輝空だ。

松島は元実業団選手の両親のもとで卓球を始めた16歳サウスポー。3人の弟妹も卓球選手で、妹の美空は10歳ながらノジマリーグの京都カグヤライズプレーする。

また、母方の曽祖父が元日本代表監督の田阪常雄氏、大伯父が世界選手権でメダルを獲得した経験がある田阪登紀夫氏と、まさにサラブレッド。全農杯(全日本選手権ホープス、カブ、バンビの部)で張本以来の6連覇を果たすなど、早くからその名を轟かせてきた。

パリ五輪出場を視野に、22年3月にプロ転向を発表した松島にとっても、23年は飛躍の年になった。8月に行なわれた「WTTコンテンダーリオデジャネイロ」では、五輪に4大会連続で出場しているマルコス・フレイタス(ポルトガル)や、五輪2大会で銅メダルに輝いた元世界ランキング1位のドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)を下すなど怒濤の躍進を見せた。

同大会で準優勝した松島は、8月15日に発表された世界ランキング134位から51位にジャンプアップ。その後も国際大会で活躍し、33位(24年1月23日発表)までランキングを上げ、張本、戸上に続く存在として一気に注目の的になった。

プレーの特徴は、強烈な回転がかかる鋭いバックハンドや、正確なコース取りが光るロングサービス。また、成長期を迎えて身長が伸びたことにより、フォアハンドも駆使しながらのラリー戦で、シニアの舞台でも互角に打ち合うパワーを身につけた。

大一番や試合の厳しい局面でも動じない「強心臓ぶり」も魅力で、所属するTリーグの木下マイスター東京では、より重要な場面で起用されることが多くなった。

パリ五輪の代表選考レースでは思うようにポイントを重ねられておらず、全日本選手権の結果も関わってくるが、現状では3番手で選出される保証はない。

それでも昨年からの躍進に加え、今年に入ってからも「WTTスターコンテンダードーハ」で絶対エースの張本を逆転で下すなど、日本のトップ相手に戦えることを示している。

また、張本、戸上が右利きのため、ダブルスではサウスポーであることが選考の後押しになる可能性も。選考ランキング上位の篠塚大登との争いが予想されるが、もし選出されれば、チームの〝起爆剤〟としての働きが期待できるだろう。

昨年から続く躍進で、パリ五輪の3番手候補として急浮上した張本美和と松島。共に10代のふたりがサプライズ選出されれば、本大会の団体戦に向けてチームのカギを握る存在になる。

次世代を担うエース候補として、パリ五輪金メダル獲得に挑む日本の切り札になれるか。3人目の代表メンバーの発表に注目が集まる。

取材・文/井本佳孝 写真/アフロ

女子の張本美和は昨年に早田、平野、伊藤を撃破するなどブレイク。15歳らしからぬ総合力の高さが評価されている

(出典 news.nicovideo.jp)

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