「人手不足」関連の倒産が過去最多 「運輸業」「建設業」を抑え一番苦しんだ業界は……? | ニコニコニュース
2023年度(23年4月~24年3月)の「人手不足」関連による倒産は191件(前年度比141.7%増)と前年度の2.4倍に急増。19年度の160件を大幅に上回り最多を更新したことが東京商工リサーチ(東京都千代田区)による調査で明らかとなった。
人手不足が深刻化する中、一番苦しんだ業界は……?
●人手不足関連倒産 最も多かった業種は?
産業別で見ると、人手不足関連による倒産は10産業のうち、金融・保険業を除く9産業で前年度を上回った。最も多いのは「サービス業他」の60件(前年度比106.8%増、前年度29件)で、2年連続前年度を上回った。構成比は31.4%(前年度36.7%)だった。
「サービス業他」では、「飲食業」が19件(前年度5件)、「医療・福祉事業」が12件(同16件)、「生活関連サービス業・娯楽業」が11件(同3件)。
その他、今年4月から残業時間の上限が規制される「2024年問題」対象の「運輸業」が48件(同269.2%増)、「建設業」が39件(同178.5%増)で、それぞれ2年連続で前年度を上回った。
倒産の要因で最も多いのは「求人難」の78件(前年度比168.9%増)だった。「人件費高騰」の65件(同282.3%増)、「従業員退職」の48件(同45.4%増)と続いた。
また、原因別で見ると「販売不振」が最多回答となり131件(前年度比133.9%増)。次いで「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が17件(前年度比240.0%増)となり、2年連続で前年度を上回った。
「不況型」の倒産は149件(同144.2%増)となり、2年連続で前年度を上回る結果に。19年度の113件を超え、過去最多を更新した。構成比は78.0%で、前年度(77.2%)から0.8ポイント上昇した。
東京商工リサーチは「業績不振に陥った企業では、従業員への待遇も悪化し、従業員の退職が増える。従前通りの業務も維持することができなくなるため、賃上げによる従業員の確保が急務となっている。従業員の離職防止、人材確保には賃上げは避けられない。だが、企業体力以上の賃上げは経営を揺るがしかねず、人手不足への対応は難しい舵取りを迫られている」とコメントしている。
本調査は23年度の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち、人手不足関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。なお、後継者難は対象から除く。