ピックアップ記事
「テレビをあまり見ない」子は国語力が低い…塾講師が「子供にはテレビをどんどん見せて」と訴えるワケ
子供にテレビを見せてもいいのだろうか。塾講師の久松由理さんは「どんどん見せたほうがいい。米スタンフォード大学の調査でも、テレビを見ている子のほうが偏差値が高いことがわかっている。私の経験では、テレビを見ていない子は語彙力や理解力が乏しく、国語が苦手なことが多い」という――。

※本稿は、久松由理『国語の成績は観察力で必ず伸びる』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■国語が苦手な子の共通点は「テレビを見ていないこと」

教室で、この子は語彙(ごい)力がないな、ちょっと理解力に欠けるな〜と感じる子に、「テレビを見ていますか?」と聞くと、返ってくる答えは大抵、「家にテレビがありません」「ほとんど見せてもらえません」のどちらかです。

「教育に悪いから、子どもにはテレビを見せません」という方がときどきいらっしゃるのですが、私は、博学で賢い子を育てるために、テレビは欠かせないツールだと考えています。

なぜなら、人は一度も見聞きしていないものについて、他人とイメージを共有することができないからです。

見たこともない龍や天使の姿を、私たちがほぼ同じようにイメージできるのは、どこかで龍や天使の絵や像を見た経験があるからですよね。

仮に、「チナルータ」という動物について想像してくださいと言われても、他人と同じ「チナルータ」を頭に思い描き、共通の認識を持つことはできないでしょう(チナルータは架空の動物です)。

ということは、本や会話の中に、自分の「見聞きしたことのない事物」が出てくると、人はその文章や話の内容を、正しく深く理解することができなくなるということです。

例えば、一度も時代劇を見たことのない子が歴史小説を読んでも、武士のいでたちや合戦の様子を想像することはできません。古い言葉遣いも聞いたことがないので、当然「古文」も苦手になります。

また、刑事もののドラマを見たことのない子が推理小説を読んでも、指紋や足跡を採取する鑑識風景すら、想像することができないでしょう。

さらに本には、部屋にいながら異文化を疑似体験できるという魅力がありますが、イスラム文化を一度も目にしたことのない子が、果たして『アラビアンナイト』の情景をありありと思い浮かべて、物語世界を楽しむことができるでしょうか。

要するに、いくら本を読ませても、良い授業を聞かせても、本に書いてあることや相手の語ることをお子さんが頭の中で映像化して、作家や教師とイメージを共有できないなら、その効果はないも同然なのです。

■「子どもにテレビを見せると学力が下がる」は誤り

教室で生徒たちに聞いても、面白いことに国語力が高い子の共通点は、「これまで一度も、親からテレビの視聴制限を受けたことがない」という点なのです。

つまり、国語が得意な子どもたちは、「好きなときに好きなだけ、自由にテレビを見ることが許されている環境にある」ということです。

これはこの11年間、教室生のほぼ全員に聴き取りをした結果ですから、テレビが語彙力と理解力の増進に一役買っていることは、間違いないと思います。

米スタンフォード大学のマシュー・ゲンコウ教授らが行った、「子どもテレビを見せると子どもの学力は下がるのか」という調査でも、幼少期にテレビを見ることができた家庭(一日平均3時間半と結構長めの視聴時間)と、見ることができなかった家庭の子ども小学校入学後の偏差値は、テレビを視聴していた子どものほうが0.02高かったそうです。

これには理数系教科の偏差値も入っているため、わずかな差になっていますが、文系教科だけで比べれば、もう少しはっきりと差が出たかもしれません。

だからこそ、お子さんに「どんな書物でも読みこなす力」「学校や塾の授業を正しく深く理解する力」を身につけさせたいと思うなら、まずは世界中のありとあらゆるものを、テレビを使ってでも先に見聞きさせておくといいのです。もちろん、実際に五感で体験させるのが理想ですが、それには時間もお金もかかりすぎます。

■あらゆる番組を自由に見せよう

こうお話しすると、「お笑いバラエティー番組は、くだらないから見せなくていいですよね」「ニュースだけ見せておけばいいでしょうか」と視聴番組を制限しようとされる方が多いのですが、情報の少ない昔ならともかく、この情報のあふれかえる現代社会で、あまりに親が情報を制限してしまうと、お子さんのメディアリテラシーが育ちません。

一流のお笑い芸人さんたちの話術の巧みさやユーモアセンスは、見ていて学ぶところがたくさんありますし、そもそも、お子さんにとってなにが役に立ち、なにがくだらないかは、その子の人生の目的によって全然違ってきます。

オリンピックを見てスポーツ選手をめざす子が出てくるように、「笑点」を見て落語家をめざす子が出てきたり、アニメを見てアニメーターをめざす子が出てくる、はたまた園芸番組を見て庭師になろうとする子もいたりするわけです。子どもの才能は千差万別ですから、なにを見てどう触発されるかは、親にも誰にもわかりません。

子どもは、あらゆる情報を与えられて初めて、それが好きか嫌いかを自分で判断し、取捨選択するようになります。そうやって少しずつ、その情報が真実なのか偽りなのか、低俗なものなのか高尚なものなのかを見極める力を身につけていくのです。

■テレビやインターネットは子育ての味方

私は娘が小さい頃、リビングのテレビNHKをほぼつけっ放しにしていましたが、茶道を教えたこともない娘が、ガーゼのハンカチを茶巾に見立てて折りたたみ、茶碗をふくお点前(てまえ)をして遊んでいるのを見て驚いたことがあります。

その後も娘はテレビの影響で、お箸を振ってN響の指揮者の真似をして遊んだり、クラシックバレエに興味を持ってバレエを習い始めたり、俳句や短歌まで作り始めました。家にいながら、一流の講師陣からあらゆる分野の知識を学ぶことができ、子育てをする上でテレビには本当にお世話になったと感じています。

教育熱心な親御さんからは、とかく悪者と見なされがちなテレビですが、ちょっと見方を変えれば、世界中のありとあらゆる事物を映し出し、説明までしてくれる、とっても便利な「動く百科事典」です。

読書だけだとどうしても情報が古くなりますし、好きな分野の本ばかり読んで知識が偏りがちになります。文字情報だけで国語力を伸ばすことは難しいので、テレビインターネットを頼もしい味方と捉えて、上手に活用してください。

■一人読みに移行させる時期の見極めが大事

たっぷりの日常会話や読み聞かせ、テレビ視聴などによって、大量の日本語シャワーを浴びて育ったお子さんは、小学校に上がる頃には豊かな語彙力と理解力を身につけているでしょう。

そのようなお子さんは、小2の夏頃、スムーズに「一人読み(黙読)」に移行することができます。

早生まれであるとか、言葉の発達が少し遅いと感じるようでしたら、あせって一人読みをさせる必要はなく、言葉が育つまで、じっくり読み聞かせをしてあげましょう。

「小2の夏? うちはもっと早くから一人読みをさせていますけど……」というご家庭も結構多いですよね。

でも、文字が読めることと、物語の意味・内容を理解できることとはまったく違いますので、字が読めるようになったからといって、安易に一人読みに移行させるのはおすすめできません。

実は、「いつ一人読みに移行させるか?」という、この時期の見極めが、お子さんのその後の国語力に大きな影響を与えるのです。

■「文字を読めること=内容を理解できる」ではない

私の教室には、小1〜小3が通う「プライマリー」というクラスがあります。

ひらがなカタカナが読み書きできることが入室条件なので、当然プライマリーの生徒たちはみんな、絵本の文字を自分で読むことができます。

そのクラスで、浜田広介童話の傑作『泣いた赤おに』を読み聞かせていたときのことです。

話の途中で、一人の生徒(小2男子)が、「なぜ青おにが悪者のふりをしたのか、その理由がわからない」と言い始めました。

今の子どもたちは、集団で外遊びをする機会が少ないですし、集まっても黙ってゲームをするくらいで、人間関係が希薄な傾向にあります。友人のためにわざわざ殴られ役を買って出る、そんな友情が理解できないようでした。

そこで、青おにの気持ちを説明してやり、一気に最後まで読み進むと、今度は、「なぜ青おには旅に出たのか?」と聞くのです。

泣いた赤おに』を読んだことがない方のためにご説明しますと、このお話は、人間と仲良くなりたい赤おにと、心優しい青おにの感動友情ストーリー。赤おにが人間からよく思われるよう、友人の青おにがわざと村で大暴れし、そこに赤おにがさっそうと現れて村人を救うんです。

おかげで、赤おには村の人たちと仲良くなるのですが、友人の青おにがさっぱり会いに来ない。そこで赤おには、山奥の青おにの家まで訪ねていきますが、戸口には「旅に出る」という青おにの手紙が貼りつけられていたのです(これから読む方のために、詳細は書かずにおきますね)。

青おにの手紙は、涙無くしては読めない手紙です。

それなのに、涙をこらえて必死に読んだ私を、子どもたちは目をぱちくりさせて不思議そうに見つめているではありませんか。

私は、「ええっ、なんでわからないの〜」という気持ちをぐっとこらえ、青おにの心情を子どもたちの人間関係に置き換えてじっくりと解説してあげました。

■読み聞かせの後に対話することが大切

そして、もう一度初めから読み直したのです。

すると、どうでしょう。先ほどの小2の男子は目に涙をため、「先生、これ、すごくいいお話だね」と言ってくれたのです。

物語が子どもの心に届くとは、こういうことなんだなあ。

私はこの日、子どもたちから、読み聞かせの極意を教えてもらった気がしました。以来、私は子どもたちに本を読み聞かせるとき、必ず対話をしながら、お話から置いてきぼりになっている子がいないかを確かめながら、読み進めるようにしています。

集中して聞いている子もいるので、解説が必要ない子には最後まで一気に読んであげ、読み終えた後でじっくり対話の時間をとるといいでしょう。

■早すぎる「一人読み」移行は悪い読みグセをつける

いずれにせよ、読み聞かせは、読みっぱなしではいけないということです。

主人公はどうしてあんな行動をとったのかな?」
「あなたなら、あの場面でどうしたと思う?」

さまざまな質問を投げかけて、一冊一冊をより深い理解へ導いてあげること。それが、9歳以降の読解力をぐーんと伸ばす秘訣(ひけつ)です。

この事例のように、わからないことを「わからない」と質問できる子はまれで、大半のお子さんは、恥ずかしさ、あるいは興味のなさから質問をせず、語彙や状況がわからないまま、理解したふりをして話を聞いています。

わかっている子ほど質問が多く、わからない子は受け身でただ静かに聞いているというのは、どの教科でも同じですね。文字は読めるけれど文章の意味がよくわからない、という状態で「一人読み」をさせると、当然ですが本を読むのがだんだん面白くなくなります。

とはいえ、意味が「わかっている」状態を経験したことがないのですから、この段階ではまだ、自分が本を読めていないことにさえ気づいていません。

本を読むポーズをとっていれば親は喜ぶし、本を読んでいる「賢いキャラ」の自分も嫌いじゃない。そこで、なんとな〜く読めるふりを続けているうちに、いつの間にか「飛ばし読み」「主観読み」「文字通り読み」という困った読みグセが身についてしまうのです。

ですから、いつ手を離すか? 「読み聞かせ」から「一人読み」への移行期を、しっかり見極めることが大切です。

■ちゃんと読めているか確かめる方法

そろそろ移行してもいいかなと思い始めたら、ちゃんと読めているかどうかテストしてみましょう。やり方は、こうです。

絵本の一番面白いところまで読んであげて、先が気になってたまらないというところで本を置き、「ちょっと用事があるから、ここから先は自分で読んでおいてね」といって部屋を出ます。このとき、「どんなお話だったか、後で教えて」と声をかけておきましょう。

そうして、後で、どんなストーリーだったかを話してもらうのです。

きちんと話の続きが説明でき、主人公の心情などいくつかの質問にしっかり答えられたら、もう「一人で読めている」ということです。

その後、一人読みのパートを少しずつ長くしていき、絵本1冊分のお話が上手に説明できるようであれば、一人読みに移行させてもなんの問題もありません。

しどろもどろになってお話の説明ができない。
登場人物の心情がわかっていない。

というような場合は、まだ一人読みさせるには早すぎるということです。たっぷりの読み聞かせと対話を、しばし続けてあげましょう。

「読み聞かせ」について、あと一つだけ注意していただきたいことがあります。ドラマの中で、子どもを寝かしつけるために絵本を読み、数ページ読んだら子どもが眠ってしまうシーン、よくありますよね(笑)

あれはあくまでもドラマのワンシーンですから、くれぐれも実生活では、あのような読み聞かせをなさいませんように。

以前、読み聞かせの途中で毎晩眠ってしまい、昔話の結末を聞いたことがないという子がいましたが、その子がどれだけ国語で苦労したかはいうまでもありません。

正直爺さんが幸せになり、嘘つき爺さんが痛い目にあう、という結末があるからこそ、子どもたちの道徳観や論理力が育つのです。

物語は最後まで、しっかり読んで聞かせましょう。

----------

久松 由理(ひさまつ・ゆり)
イデア国語教室主宰
立教大学法学部卒業。テレビ高知報道記者、ディレクターを経て、制作会社に勤務。放送作家として多数のプレゼンテーション、番組制作を手がける。2010年、若者の国語力が年々低下していくことに危機感を抱き、高知県高知市に「読書と作文」を個人指導する教室を開く。2021年度入試では、国立大学医学部総合型選抜で合格率100%慶應義塾大学AO入試の合格率も開室以来100%と驚異の合格率を誇る。2022年春、東京・三田に新教室開設。

----------

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yamasan

(出典 news.nicovideo.jp)

<このニュースへのネットの反応>

📲あんだろ‼️

ライトノベルでも読ませとけば中学まではどうにでもなるよあとはテクニックだけよ国語のテストなんて

テレビを持ってたらN〇Kがすっ飛んでくるからな……というのはさておき、テレビを見せようにも民放では『不倫や殺人を取り扱っているドラマ』『芸能人が自慢話や他人を弄って笑いを取ってばかりの雛壇トーク』『偏向報道メインのニュース番組』ばっかり放送してるので、CATVで放送している面白くて勉強になる番組を見せますわ。

テレビはオワコンユーチューバー時代だから生主かユーチューバー見てれば勉強になるよw

まあ語彙力は蓄積経験の差だわなぁ。 スマホとかPCでYouTube見るより、TVで正式発音してる言葉の方が教育にいいというのは分かる。 内容がデマとか捻じ曲げかどうかは別としてだがな!

犯罪者の99%以上は携帯電話を使っています理論

アホな言葉はいくら聞かせても無意味。親と会話すればいいんだろうけど、それが出来ないならテレビに頼るしかないか。でもどうせゲームしかやらんのだろ

マスゴミ関係者のテレビゴリ押し記事で草

要約すると、「ネットに客取られて苦しいテレビ業界からお金もらって、こんなヨイショ記事を書いています」かな。いわゆる「案件」ってやつ

醜い志那チョンゴリ押しの低能洗脳番組なんて見せてたら偏差値どころか脳障害発症するわ

う~ん、個人的経験則から言うとTVほど国語力を低下させるものはないと思うよ?映像は音声としてか認識してないから言葉を理解しない。国語力というなら文章を読めと言いたいかな。昔は今で言うラノベを読んでいて趣味でSSとか書いてたけど、読まなくなって久しい現在では文章が出てこない。あくまで個人的意見だが…(-_-;)

こういうステマは、子供に見せても問題が無いコンテンツを各テレビ局が制作してからじゃないと意味無いんじゃないですかね?特定の思想に偏向したモノばかりの今のテレビ番組を迂闊に子供に観せれば、思想に特定方向へのバイアスが掛かる可能性が否定出来ない。

むしろラジオの方がテレビより表現力使わないと伝わらないからそっちにしたら?

「テレビばかり見てるとバカになる。新聞を読みなさい。」と言われてた世代からすると、教育者ってよくもまぁアホなこと思いついて言うもんだなぁと感心する。

読解力なら小説を読ませろよ、まあ本は漫画でも絵本でも全然OKだけど。

インテリ学習の機会すらなくテレビ見ない*と、テレビ見る*だ。テレビ見ると*になるは、インテリ学習の機会を得ようと思えば得れる中産階級の理論。赤貧はテレビすら見ないから*になる。

プレオンの記事を信じる子は知能が低い。テレビよりスマホを一日中触るのが問題でしょ、漢字力が下がるぞ。

国語力目的ならバラエティーは見せない方がいい。あとワイドショーも。

テレビの音声情報で語彙力とは? テレビってとてつもなく低俗だよ。

地方都市のばあい、アクセントも含めて東京方言(標準語)を身につける大事な場でもある。

ピックアップ記事

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事