投資で「月10万円を安定して稼ぐ」には「6~7割の勝率」に賭け続けるべき理由 | ニコニコニュース
日本経済の先行きが厳しく、年金の支給額の減少、支給開始年齢の引き上げ等も想定されるなか、「投資」により資産を着実に増やすことが重要になっています。そのためには投資に関する正しい知識が必要です。そこで、「投資の学校プレミアム」創業者の髙橋慶行氏が著書「月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書」(自由国民社)より、投資初心者が押さえるべき基本的な考え方について解説します。
投資の世界の「確実」を目指す絶対法則
安定的に投資で稼ぐためには、投資をする上での前提ルールを変えなくてはならない。
それは何かというと、投資は予想や情報、センスなどによって勝敗が左右されるゲームではなく、「確率のゲーム」だということです。
◆確率的に優位な時だけ勝負する
投資は確率のゲームだということを真に理解すると、投資の取り組み方そのものが変わります。
確率勝負とは、何の確率の話なのか─それは株や為替の価格が、「このあとに上昇する確率」と「このあとに下降する確率」だということになります。
さらに、投資の世界における高勝率とはどの程度なのか、上昇する確率に優位性があるというのは、確率的にどの程度のことを指すのかというと、高くても6~7割程度の優位性しかチャート上では発見することができないということです。
これはいい換えると、確率6~7割の局面がわかるということは、逆をいえば3~4割は外れを覚悟しなくてはならないということです。投資の世界で専業トレーダーとして活躍しているプロであっても、確率6~7割の勝率は高勝率として評価されます。
最も大事なことは、3~4割は負けるということを当たり前のこととして受け入れることで、これは同時に、3~4割も発生する負けトレードの際に資金を溶かさないようにしなくてはならないということを意味します。
それでも「確実に稼げる」ということを保証する法則があります。その「確実さ」を体感していただくためにこれから3つの「賭け」を行います。
確実に勝てそうなルールだという「賭け」が3つの中にあると思った場合には、参加するということで考えてみてください。
◆確率優位の勝負なら回を重ねるほど勝てる
賭け①の場合は、あなたの勝率は50%ですから、確実に勝てるわけでもありませんので、参加するべきではない勝負で、まさにギャンブルといえます。
賭け②の場合は、あなたの勝率は66・7%で、あなたに優位性がある勝負です。しかし、1回勝負の場合、5や6の目が出ることはいくらでもありますから、確実とはいえません。
では、賭け③の場合はどうでしょうか。賭け②の優位性がある勝負を100回行えるということで、100戦後にあなたが勝つか否かについては、常に勝率66・7%の局面だけで勝負できるあなたが、最終的にはほぼ間違いなく勝ちます。
人生における勝負事で、常に優位性がある局面のみチャレンジすることができ、それを100回、300回、500回と継続して行うことができる場合には、その勝負事には挑戦した方が絶対に良いでしょう。
これは確率の世界で証明済みの定理で「大数の法則」によって、証明された行為です。
チャレンジ回数が多くなればなるほど、確率が適正に働くことは証明されています。そして、トレードはこの大数の法則をダイレクトに収入源に直結させることができる、限られた公平な収入源なのです。
「ホームラン」ではなく「ヒット」を狙う
広い意味での投資は「成長株投資」のように、成長性に資金を投じる行為です。
◆「テンバガー狙い」の醍醐味と危うさ
たとえば、日本株ならワークマン(7564)やMonotaRO(3064)、米国株ならテスラ(TSLA)といったテンバガー(株価が10倍高になった銘柄)のように、特大ホームラン級の利益が得られることがあります。
100万円の資金が、1億円以上に激増することも、投資の世界には事例として数えきれないほど存在します。
しかし、トレードは基本的には、ヒット狙いで堅実な利益を優先することをオススメします。
もちろん投資の世界の話ですから、時にはビックリするほど利益が出ることもありますが、最も重要なことは「再現性が高く、繰り返して利益が得られる」ということですから、いきなりホームランは狙わずに、ヒット狙いをしていきましょう。
特に、一攫千金の利益は投資をする上で多くの人が憧れるものですが、ホームラン級の急騰銘柄や投資対象というものは、同じように大きく急落する可能性を秘めているということを忘れてはいけません。
◆テンバガー達成後に急落した事例
たとえば、上図は企業のIRなどのコンサルティング会社のアイ・アールジャパンホールディングス(6035)の2019年以降の株価の動きです。
2019年初頭の株価は約1,100円でしたが、そこから急成長による上昇トレンドに乗って1年後には約5倍、2年1ヵ月後には約17倍の19,000超に達し、テンバガー銘柄となりました。
しかし、そこをピークに急落し、2022年3月には4,000円を切り、6月には約1,800円にまで下落するといった激しい値動きとなりました。
前節で説明した「大数の法則」は不確実な投資の世界において、唯一といっていいほど投資方針の拠り所となるものですが、ホームラン級の利益が何十回、何百回と繰り返し再現できるかというと、残念ながらそういうことはありません。
大数の法則が働くように、コツコツとヒット狙いの投資をすることで、最終的にはホームラン狙いの投資家よりも堅実に資産が構築できているはずです。
さらに、ホームラン狙いの投資にはほかにもリスクが眠っています。
どうしても、ホームランになるまで保有しようということで、保有期間が長くなってしまいます。
株式投資では日足で売買するなら、トレード投資家は「波動」という数日から10数日程度の上昇や下降(下降を利益にするには信用取引の「空売り」が必要)で、利益を狙うことをオススメしますが、ホームラン級の利益を狙おうとすると、数ヵ月から数年という長い保有期間を要することもあります。
1回のトレードで1年から数年保有するとすれば、大数の法則が働くようになるまで売買回数を重ねることもできませんし、その間に、たとえば近年のコロナパンデミックやウクライナ侵攻のように、ビックリするほどの地政学的リスクが発生することもあります。
株は長く持つものだ、という教えもありますし、長期投資こそ安全だという考えの方もいるでしょうが、最終的には株の利益はタイミング次第です。
どの銘柄にも必ず上がり下がりがありますから、高いところで買った後で下がってしまうことがあり、その場合元の価格に戻るまで何年、何十年と時間を要することもあれば、自分が生きているうちには戻らないこともあり得ます。
ヒット狙いの堅実なトレードをしていこうということであれば、少なくともこのような大損のリスクは大幅に軽減できますし、トレードがギャンブル化しにくくなります。
一番大切なことは、リスク管理に敏感になり、安定的な利益を継続的に得るための「安定投資家、安定トレーダー」になるという心構えが大前提にあるということだと思います。
髙橋 慶行