東京じゃ暮らしていけない!「手取り21万円・30代サラリーマン」の悲鳴…地元に戻れば生活は楽になるが「結婚はムリ」の絶望未来 | ニコニコニュース
給与水準が全国で一番高い東京。そんな大都会での暮らしを夢見て、毎年たくさんの若者が上京します。一方で家賃や物価の高さから「東京暮らしを続けていられない」と地元に戻るケースも。そこで待っているのは明るい未来……というわけでもなさそうです。みていきましょう。
夢を抱いて上京するも…東京で直面する「スゴイ給与格差」
さまざまな夢を抱いて東京へ。どのような思いかはさておき、2021年、11万4,700人が就職を機に上京をはたしました。「ひと旗上げるぞ!」と息まいていたかもしれません。
厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマンの平均給与は月収で34.2万円、年収で554.9万円。東京都の会社に勤めるサラリーマン(平均年齢44.0歳)に限ると、月収で41.2万円、年収で666.0万円。都道府県別にサラリーマンの平均年収をみたとき、やはり東京都がナンバーワン。全国平均と比較しても年収で100万円以上も高く、「東京で就職」を目指す人が多いのもうなづける話です。
年齢別にみていくと、20代前半では平均367万円だった年収は年齢と共にあがっていき、50代後半で828万円とピークに達します。
【年齢別「東京のサラリーマン」年収の推移】
20~24歳:367万1,300円
25~29歳:473万7,500円
30~34歳:578万5,800円
35~39歳:674万9,500円
50~54歳:821万7,100円
55~59歳:828万7,500円
60~64歳:617万1,900円
もちろん、すべての人が高収入ということはなく、東京であっても給与格差があるのは当たり前のことです。たとえば会社の規模。従業員1,000人以上の大企業の平均給与は月収で46.1万円、年収で787.9万円。一方、従業員10~99人の中小企業では月収37.1万円、年収で549.9万円。企業規模で年収200万円以上の差が生じています。
業種ではどうでしょう。東京都の「金融業、保険業」の平均給与は月収で54.8万円、年収で979.1万円。一方で「宿泊業、飲食サービス業」では月収が36.4万円、年収が546.7万円。業種間で年収400万円以上の給与差が生じています。
家賃も物価も高い「東京は高い!」…地方のほうが生活はラク⁉
――地元に帰ることを決めた
そう話すのは東京で医療系事務の30代前半の男性。東京を離れることを決めたのは、給与が安くて東京での暮らしに疲れたから」。現在の給料は「同年代のちょうど真ん中くらい」だといいます。前出の厚生労働省の調査によると、30代前半の月収の中央値は28.2万円。手取りは月21.5万円程度でしょうか。
――東京じゃ暮らしていけない! 家賃も物価も高いし、いまの給料じゃキツイ
都会での暮らしに憧れ、東京で就職して10年。夢にみた煌びやかな生活は実現できず、転職で地元の岩手県に戻ります。しかし実家には戻らず、1人暮らしをする予定。給与はいまよりも少々下がるといいますが、家賃も物価も安い分、いまよりも生活は楽になるはずと男性。
総務省統計局『小売物価統計調査(2023年10月)』によると、東京都23区の家賃は、1畳あたり8,787円。20平米程度のワンルームであれば5.3万円ほどになる計算です。一方、転居先の盛岡市は、1畳あたり3,961円と、東京都23区の半分以下。確かに、家賃だけ見るとかなり生活は楽になりそうです
家計全体の支出は、東京と地方でどれほどの違いがあるのでしょうか。総務省『家計調査(家計収支編)』で、単身の勤労世帯の家計をみていくと、東京都含む関東地方における1人暮らしの1ヵ月の支出は平均19.6万円。一方、岩手県含む北海道・東北地方では平均15.8万円。4万円ほど安く、確かに多少給与が下がっても生活は楽になりそうです。
【1人暮らし「東京と岩手」1ヵ月の支出】
消費支出:158,584円/196,667円
(内訳)
食料:37,222円/42,264円
住居:21,423円/38,602円
光熱・水道:13,854円/10,821円
家具・家事用品:5,434円/5,099円
被服及び履物:4,470円/7,582円
交通・通信:26,508円/22,249円
教養娯楽:15,713円/26,775円
その他の消費支出:28,9908円/34,979円
経済的に恋愛も結婚もNO!「10代から老後を不安に思う」日本の実情
結婚適齢期の男性。地元に戻り、生活がいまより楽になったら、結婚を意識……ということはないようです。
――結婚はムリですね、お金もったいないし
そう、肩を落とす男性。株式会社リクルート/リクルートブライダル総研が先日発表した『恋愛・結婚調査2023』によると、20~40代の未婚者で「恋人がいる」は29.7%。さらに「交際歴のない男性」は20代で46.0%、30代で41.2%、40代で22.9%。また「(いずれは)結婚はしたい」は46.1%、「(今後も)結婚はしたくない」は25.6%。結婚に後ろ向きな人は年々増加傾向だといいます。結婚意向がない/どちらとも言えない、その理由のトップは「金銭的に余裕がなくなるから」で36.4%。そもそも「恋愛は時間とお金の無駄である」が男女全年代で増加傾向だというから、結婚どころではありません。
物価高騰に合わせて、賃上げの動きもありますが、それではあまり「結婚したくない」という若者には響かない様子。その理由にあげられるのが、老後の不安です。
現在高齢者1人を2人の現役世代で支えていますが、2030年には1.9人、2040年には1.5人、2060年には1.4人で支えるという将来が予想されています。現在の水準で高齢者を支えていては、国は破綻してしまいます。そのため、徐々に高齢者のサポートは減っていくのは既定路線。つまり一層の自助努力が求められるわけです。
日本財団が行っている『18歳意識調査』によると、自身が高齢者になったときの経済状況について、男性で約6割、女性では約7割が「不安」と回答。また年金制度について、男性で約7割、女性で約8割が「現行制度の維持は難しい」または「破綻」と答えています。
異次元の少子化と称し、少子化対策に躍起になり、その分、高齢者の負担は増える方向に進んでいます。ただそれでは、10代のうちから自身の老後を悲観し、「恋愛も結婚もお金の無駄」と考えてしまいます。もう手詰まりと悲観するしかない、それが日本の現実です。
[参考資料]