菅田将暉「なぜ自分は今この仕事を続けているのか?」エンタメへの真摯な思い | ニコニコニュース
木村佳乃、中村倫也、佐々木希、杏、松坂桃李、菅田将暉、趣里、萩原利久、杉野遥亮、夏子、堀田茜、TAKAHIROら、幅広く活躍するアーティストが所属するトップコートが、芸能マネージャーをテーマにした書籍『芸能マネージャーが自分の半生をつぶやいてみたら』(ワニブックス刊)を発売した。実態が見えにくい「芸能マネージャー」という仕事について、マネージャー本人が自身の体験談を赤裸々に語る内容。芸能マネージャーに対するタレントの生の声も収録されている。ここでは同書から、菅田将暉が話したエピソードを一部抜粋。日本のエンタメに向けた熱い思いを紹介する。
■業界のトップと、ふと出会える仕事
日本ではファッションにしても音楽にしても映画にしても、芸術への関心が薄い気がします。日常的に存在せず、自分事として捉えている人があまりいないなと。このままでは芸術自体がなくなってしまう…そんな危機感さえあります。そこで30代の目標として芸術、エンターテイメントへの関心を持ってもらうための努力をしたい。なぜ自分は今この仕事を続けているのか? そう考えた時、単純に何かを作るのが好きなのはもちろんですが、そんなことを思いました。
そもそもエンターテイメントって、何のためにあるのでしょう? 動物としては水が飲めてご飯が食べられて生きていけたらいいのに、人間はこれだけ余計なことをしている。動物として、随分と余裕があるなと。ある意味で無駄なことなのに、必要とされていて、世界にはエンターテイメントが溢れているなんて面白いことです。
振り返ると、コロナ禍で最初に動きが止まったのはエンターテイメントの現場でした。生活が厳しくなってこの業界を去った人も沢山いましたが、あの頃、みなさんは家で何を観ていましたか? 映画やドラマを観るだけでなく、読書にしても漫画を読むのもそうで、エンターテイメントに触れていたはずです。多分なくても生きていけるけど、ないと寂しい。僕らがやっているのは、そんな不思議な仕事。だからロマンティックな人がいっぱいいて、感受性と感性に溢れています。この仕事の現場に来ると、ただ生きること以外の豊かさみたいなものが一番面白いことのように思えます。
それでいて、どの業界でもトップの人ってやっぱり刺激的です。それぞれが独自の哲学を持って生きていますから、単純に、そうした人に接するのは得だと思うのです。いわゆる一般企業だと、社長と新入社員が同じデスクを囲むことはほぼないでしょう。棟梁と新人のバイトが同じ作業をすることもなかなかありません。でもこの世界では新人もベテランも、同じ土俵に上がります。
音楽番組で、それこそブルーノ・マーズと同じ回に出たことがありますが、現実にそういうことがある。どれだけ新人でも、その業界のトップの人と、ふと会える瞬間があるのです。それは財産になると思うのですが、そこはマネージャーも同じ。そんな不思議さがある仕事で、そうしたことが好きな人には向いている業界だと思います。