なぜ大学生が「50万円のUSBメモリ」に飛びつくのか…「これを使えば必ず儲かる」の怖すぎるオチ | ニコニコニュース
※本稿は、森永康平『森永先生、僕らが強く賢く生きるためのお金の知識を教えてください!』(アルク)の一部を再編集したものです。
■売買を繰り返させることで証券会社が儲かる
金融機関と聞くと、悪い印象を持っている人も日本人にはいる気がしますが、その印象はどこから来るのでしょうか?
一番分かりやすい例は証券会社かもしれません。
証券会社は顧客が取引をするたびに手数料を得ます。そこで、顧客に対して、何度も取引を繰り返すよう仕向ける行為がかつては横行していました。
たとえば、営業員がレポートを片手に訪問してきて、「このAという会社はこれから成長しますよ」と営業したとします。
そこで、Aの株を買ったところ、数カ月してまた営業員がレポートを片手に訪問してきて、「先日ご紹介したAという会社は相変わらず素晴らしいのですが、このBという会社のほうが成長しそうです」と提案します。顧客はその提案を受けて、Aの株を売り、Bの株を買うことになります。
このように売買を繰り返させることで、証券会社が儲かるのです。
■「金融機関は悪い奴らだ」という話を聞く
もちろん、営業員の提案通りに取引したからといって、確実に儲かるわけではありません。
しかし、取引をすれば証券会社は確実に儲かります。
このような取引を繰り返させることを「回転売買」といいます。
かつてこうした取引の被害にあった人から、「金融機関は悪い奴らだ」という話を聞くため、なんとなく悪い印象を抱くようになるのでしょう。
ちなみに、最近はネット証券が一般的になっていますので、営業員が自宅を訪問してくることも少なくなりました。また、そもそも売買手数料も安くなっています。
いまの証券会社は、「回転売買」よりも、できるだけ多くの投資家の利益になる金融商品を売るほうに舵を切っています。
■「USBメモリ詐欺」が大学ではやっている
金融機関が悪い印象を持たれているのは、まだネット証券が普及しておらず、営業員が売り込みに来る対面販売の時代の影響だろうと述べました。
いまでも金融機関に悪い印象を持っている方もいるかと思いますが、年々規制が厳しくなっています。かつてのように悪質な販売方法の被害にあう機会は減ってきているでしょう。
1つだけ詐欺の手法をご紹介します。
特に大学生ぐらいの年齢の方、または子どもや孫が大学生ぐらいの年齢という方は、ぜひ手口を知っていただきたいと思います。
いま大学でこの詐欺が非常に流行っており、私も何名か被害にあってしまった学生と話をしました。
その詐欺とは「USBメモリ詐欺」です。
■サークルの先輩やバイト先の同僚から持ち掛けられる
この詐欺はだいたい知り合いから持ち掛けられます。
ゼミの同期だったり、サークルの先輩だったり、バイト先の同僚など、自分を騙したりしないであろう、近い関係の人が多いようです。
大学に入ると人間関係が広がりますから、詐欺話を持ち掛けてくる人の幅も広がるのです。
よくある展開としては、知人・友人から「投資で成功した人」を紹介したいとカフェに呼び出されるそうです。
カフェに行くと自分1人に対して先方は2人いて、まず数的優位を作られてしまいます。
高級なタワーマンションでの生活や、海外旅行などの写真をたくさん載せたインスタグラムなどを見せられながら、いかに自分が若くして成功しているかを延々と説明されるようです。
さすがにプロの詐欺師ですから、聞いている側が「自慢話ばかりでウザいなぁ」と思ってしまうようなトークはしません。
むしろ「自分と年齢が変わらないのに、こんなに違う世界で生きている人がいるのか」と感心してしまうようです。
■「50万円のUSBメモリ」を売りつけられる
ある程度、自分も成功したいという気持ちが出てきた辺りで、本題に突入します。
USBメモリを取り出して、これを使えば投資で必ず勝てると言われるようです。
多くの学生は投資については詳しくありません。そのため、USBメモリをパソコンに挿して、取引をするだけで確実に儲かる、などということは絶対にあり得ないと気づかないことが多いようです。
驚くのはUSBメモリの値段で、だいたい50万円前後を提示されることが多いようです。
当然、学生がそれだけの金額を一括で支払うことなどできません。
そこで、USBメモリの購入意思を示すと、丁寧に学生ローンまでついてきてくれて、ローンの組み方を手取り足取り教えてくれるそうです。
そして50万円の借金とともにUSBメモリを手に入れた学生は、家でワクワクしながら取引を開始するのですが、1週間もしないうちに騙されたことに気づくのです。
■10人に売りさばけば50万円は回収できる
騙されて借金が残るだけならまだいいのかもしれませんが、この詐欺にはもう一つ恐ろしい仕掛けが用意されています。
このUSBメモリを1つ売るたびに、5万円のキャッシュバックが発生します。
ということは、10人に売りさばけば、ひとまず自分が払ってしまった50万円は回収できることになるのです。
しかし、プロの詐欺師でもない学生が他人に売りつけるのは大変です。そこで、自分に近い親友や同級生に詐欺を働くことになるのです。
騙されて借金を抱えるだけなら、自分で働いて返せばおしまいですが、自分が詐欺をする側に回ってしまうと、お金では買えない親友も失ってしまうのです。加えて、詐欺罪で逮捕される可能性だってあります。
これまで築いてきた信頼を失い、さらには「詐欺師」や「犯罪者」という肩書を手に入れることになってしまいます。
個人的には借金以上にこれらの損失のほうが恐ろしいと感じます。
金融リテラシーを身につけるのは、このような詐欺から身を守るためでもあるのです。
----------
株式会社マネネCEO、経済アナリスト
証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。その後2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、AIベンチャーのCFOも兼任するなど、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。
----------
RT メモリ以前に有史以来形を変えてずっとある詐欺がいまメモリ使ってるってだけだろ。特に大学はサークル勧誘に紛れて宗教勧誘とか必ずといっていいほどあったりするし。外部と隔離されてた高校までと違って、校内という安心感ありつつも実態は社会とは隔絶してなく、かつ高校から上がったばかりの社会経験ないカモだらけという絶好の狩場だから |