「焦げたものを食べるとガンになる」説は本当…? 医師が明かした“真実”に耳を疑う
夏になり、家族や友人とバーベキューする人も多いことだろう。肉を焼きながら談笑するのは至福のひとときである。バーベキューの際、焼いた肉に焦げた部分があると、食べるかどうか迷うところ。
「焦げたものを食べるとガンになる」という説があるからだ。古くから伝わるこの説を検証してみると…。
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■「焦げたものを食べるとガンになる」
幼少期、記者が家族でバーベキューをしていた時、焼きすぎて肉が少し焦げてしまった。お腹が空いていたので構わず食べようとしたところ、両親から「焦げたものを食べるとガンになるからやめなさい」とたしなめられた。
当時は、「そうなんだ、焦げた肉は食べないようにしよう」と思ったものの、年齢を重ねるにつれ、「本当にガンになるのか?」と考えるように。原型を留めないレベルに焦げた肉は体に悪そうだが、端っこが少し焦げた程度の肉を食べるだけでも、身体に影響はあるのか──。
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■「ガンのリスクを高める」
古くから伝わるこの説を検証することに。金沢のメンズヘルスクリニック「Gran Clinic」の小倉慶雄(よしお)院長に話を聞いた。
小倉院長は「焦げたものを食べることは、ガンのリスクを高める」と指摘する。
「パンや肉を焼いた時にできる『焦げ』は、熱によってアミノ化合物や糖がメイラード反応という複雑な化学反応を起こすことで発生し、褐色物質や香気成分の生成が行われます。その中に、複素環アミンと多環芳香族炭化水素という2つの発がん性物質が生成されます。これらの化合物は、ガンを発症させるだけでなく、複素環アミンは神経毒で振戦(震え)を引き起こすこともあります」(小倉院長)。
■日常食べる程度なら問題ない?
古くからの言い伝えは正しかったことになる。そうなると、焦げたものを食べるとすぐに体調が悪化するのか。
こちらの疑問をぶつけたところ、小倉院長からは「焦げた部分を体重の4倍以上大量に摂取しなければ、ガンは発生しないとされています。これは、毎日1トン以上の焼き魚を100年間食べ続けた量に相当するので、日常食べる程度ではガンはできないと考えられます」という回答が寄せられている。
焦げによってガンの発生が増加すると考えられるものの、現時点ではただちに特定のガンにつながるとは考えにくいという。
■焦げたものを好んで食べないように
「焦げたものを食べるとガンになる」説は的外れではないが、バーベキューで端が焦げた肉を数枚食べる程度であれば、身体に影響はないとみていいだろう。ただ、小倉院長はこう注意を促す。
「発がん物質は蓄積される恐れがあり、今までの研究から焦げを多く取るとガン発生の危険性が高くなることも指摘されています。神経質になることはありませんが、焦げた部分を好んで食べることは避けるのが賢明だと思います」(前出・小倉院長)。
両親が子供に焦げたものを食べないよう注意を促すのは、将来焦げた食材を食べるのが習慣化するのを防ぐ意味で有効なのかもしれない。いたずらに我が子を脅かさず、「焦げたものを食べるのがダメなのはこういう理由がある」と教えてあげよう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/メンズヘルスクリニック「Gran Clinic」・小倉慶雄院長)