28年間、囲いの中で過ごしてきたチンパンジー 初めて空を見た表情に「涙が出る」(米)<動画あり> | ニコニコニュース
28年生きてきたチンパンジーが、生まれて初めて空を見た瞬間がSNSに公開され、大きな話題を呼んでいる。チンパンジーは青い空を見上げると、その場に立ち尽くして驚いた表情をしており、フォロワーからは「これは涙が出る」といった声が多数寄せられた。英ニュースメディア『Metro』などが、このチンパンジーの生い立ちなどを伝えている。
チンパンジーの“バニラ(Vanilla)”は、2歳になるまで米ニューヨーク州ニューヨーク市にある霊長類の実験医学および外科研究所(Laboratory for Experimental Medicine and Surgery in Primates)で天井から吊るされた0.46平方メートルほどの小さなケージの中で過ごしていた。
その後、バニラは他のチンパンジーとともにカリフォルニア州の動物保護団体「Wildlife Waystation」に保護された。研究所よりも広いエリアだったが、草などはなく金網で囲まれた室内で生活していた。
そして2019年に同団体が閉鎖されることになり、バニラはフロリダ州フォート・ピアースにあるチンパンジーの保護団体「Save the Chimps」に保護されることになった。この団体は150エーカー(東京ドーム約13個分)の敷地を所有しており、到着したバニラが生まれて初めて外に出る瞬間を、同団体に所属する霊長類学者のアンドリュー・ハロランさん(Andrew Halloran)が撮影した。
動画には、施設内と外の敷地を繋ぐ入り口に座り込むバニラの姿が映っている。生まれてからの28年で初めて外の景色を目の当たりにし、少し戸惑っているようにも見える。同敷地内では複数のチンパンジーが群れで過ごしており、群れの中で最上位であるアルファオスの“ドワイト(Dwight)”がバニラの様子を見て近づいてきた。そして歓迎するかのように両腕を広げるドワイトの姿を見たバニラは、ドワイトの胸に飛び込み熱いハグを交わした。
その後、生まれて初めて空の下に立ったバニラは、広く美しい空に圧倒されるかのように立ち尽くして見上げていた。他のチンパンジーたちにも歓迎されたバニラは、青々とした草原を踏みしめながら、ゆっくりと周囲を探索している。バニラは妹の“シェイク(Shake)”とともに保護されており、バニラとシェイクは広大な土地で自由に群れの仲間と過ごしているという。
アンドリューさんは「バニラは仲間たちと過ごす時間以外は、3階建てのアスレチックに登り、新しい世界を堪能しています」と説明する。群れの18頭のチンパンジーとも上手く過ごしており、特に最初に出迎えてくれたドワイトとは強い絆で結ばれているそうだ。
この動画が先月に「Save the Chimps」のSNSで公開されると、「素晴らしい動画だけど、同時に胸が痛くなる」「外の世界を楽しむバニラを見ることができて、本当に嬉しい」「バニラの過去を知ると辛いけど、自由になれて良かった」「涙が出るよ」などといった感動のコメントが寄せられた。
ちなみに2018年には、動物園のチンパンジーが母親代わりに育ててくれたカップルに会うたび、大喜びする様子を捉えた動画が注目を集めていた。
画像は『Save the Chimps 2023年6月15日付Instagram「Vanilla and Shake have been fully integrated into a large family group and were released onto their island home!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)