佳子さまの「ご両親との別居」は無駄遣いなのか…「わがままプリンセス」批判は誤解であるこれだけの理由 | ニコニコニュース
■人気を集める一方、「別居」に批判も
秋篠宮皇嗣殿下の次女、佳子内親王が話題となることが多い。姉の眞子さんが結婚されて渡米され、愛子さまは学業優先で単独公務を始められないなかで公務に励み、自己表現力に長け、すぐれたファッションセンスや振る舞いの佳子さまは、「美しいプリンセス」として人気を集めてきた。
一方、おとなしい模範生的なイメージだった眞子さんとの比較で、わがままだと言われたり、いったん、学習院大学文学部教育学科に入学しながら中途退学して国際基督教大学(ICU)教養学部アーツ・サイエンス学科に入り直したことを、学習院の卒業生から執拗に批判されたりしている。
小室圭氏との結婚で、眞子さんを擁護したことに対して、麗しい姉妹愛と好意的に受け取った人もいれば、マスコミ報道に苦言を呈したのは行きすぎだったと思う人もいたようだ。最近では、改修工事を終えた秋篠宮邸に引っ越さず、隣の旧御仮寓所(ごかぐうしょ)に住まわれていることが「別居」だと報道されている。
そこで、本稿では、佳子さまの実像をできる限り客観的に分析してみようと思う。
■フィギュアスケートで培った表現力、華やかさ
佳子さまが誕生されたのは、1994年の12月29日。眞子さんより3年下、愛子さまより7年、悠仁さまより12年の年長である。
秋篠宮さまが、「健康であるとともに素直で思いやりがあり、心身とも佳い子に育って欲しい」という願いを込めて名付けられた。
幼稚園から学習院に通われ、中学校1年生から公務にも参加されている。また、運動神経に優れ、フィギュアスケートを小学校2年生から始められ、競技会で優勝されたこともある。高校生時代はダンスに熱心に取り組まれた。
幼いころは、眞子さんの影に隠れておられた観もあるが、フィギュアスケートなどを通じて表現力を身につけられ、華やかな雰囲気を醸し出されるようになった。
ただ、眞子さんのプライベート写真の流出や、佳子さまの服装が奔放だという批判を受け、紀子さまからブレーキをかけられたともいわれる。また、パパラッチの標的となりそうなので、ICUへは眞子さんのように電車通学というわけにいかず、公用車での通学となった。
■学習院の「限られた環境」に悩み、ICUへ
2013年に学習院大学へ入学されたが、翌年8月に中退され、AO入試でICUに合格され2015年に入学された。
佳子さまは成年記者会見で、「幼稚園から高校まで学習院に通っており,限られた一つの環境しか経験できていないと感じることが多くございました。そのため,中学の頃から別の大学に行きたいと考えるようになり,受験いたしましたが不合格となったため,内部進学で学習院に進学いたしました。入学したからにはきちんと卒業するべきだという考えもございましたが,学生生活を送る中でやはり別の環境で学びたいという思いがあった」とおっしゃっている。
同時に「学習院を退学したことについて様々な憶測があると聞いておりますが,私個人の問題であって学習院大学が悪いということではございません」ともおっしゃっている。しかし、眞子さん、佳子さまが相次いでICUに移られ、愛子さまも新型コロナを理由に3年間、ほとんど登校されていなかったなど、学習院は皇族の学校としてまったく機能していない。昔のように旧華族の子が多いという特別感はなくなり、学力的にも低下していると嘆くOBもいる。
それに、佳子さまが入学された教育学科では当時、第二外国語が中国語か朝鮮語しか選択できないなど、少しどうかと思う状況だった(現在はドイツ語やフランス語、中国語など選択肢は8言語ある)。
■短所は「短気」、上皇さまは気遣いを称賛
また、学習院時代にアメリカのボストン、ICU時代に英国リーズ大学へ短期留学されている。
佳子さまは、成年記者会見時に「長所は自分では余り思いつきません。短所は,父と同じように導火線が短いところがありまして,家の中ではささいなことで口論になってしまう」と仰っている。
一方、上皇陛下は、2010年の誕生日会見で、「御所で、皇太子一家、秋篠宮一家が集まり、大人同士が話し合っているようなとき、佳子は、よく愛子や悠仁の面倒を見て、一緒に遊んでくれます。佳子のこのような気遣いをうれしく思っています」と述べられた。
つまり、自己主張がしっかりし、少し気が短く反抗的だが、その一方で、悠仁さまや愛子さまにとっては、お姉さんとして一目置かれる存在であると、多くの証言が一致している。
■愛子さまにとっては“姉”であり、憧れの存在
身長は写真から推計すると約165cm。公務などでの服装やメイクが週刊誌でよく取り上げられることからもわかるように、立ち居振る舞いやファッションへの努力は相当なもので、美智子上皇后さまを彷彿するところがある。
21歳になられた愛子さまも、仕草などを含めてすっかり美しくなられたが、姉のように慕い、憧れの対象である佳子さまから刺激を受けられたのが一因だろう。佳子さまの公務に対する積極的な姿勢についても、これからよき模範とされると素晴らしいことだ。
初の単独公務は、ICUに再入学されたこともあって、眞子さんより少し遅めで、2014年11月、19歳の時の「少年の主張全国大会」だった。その翌年にかけては、英国留学中の眞子さんに代わり、佳子さまが学生であるにもかかわらず多くの公務を担当された。
2014年12月の成年にあたっては、眞子さんの場合と同様、記者会見→成年儀式→多摩御陵などへの参拝→伊勢神宮と神武御陵への参拝という行事をしっかりこなされた。翌年の7月には、全日本高等学校馬術競技大会で初めて挨拶をされた。
■小室氏と眞子さんの結婚を妹として擁護
海外は、2019年に国交樹立150年行事で、オーストリアとハンガリーを訪問した。
眞子さんの帰国後は、少し公務の機会が減った。眞子さんと小室圭氏の騒動のなかで、眞子さんが最後のご奉公といった姿勢で公務に積極的に取り組まれたし、新型コロナ禍となって、しばらくは動静が見えにくい状態が続いた。
一連の小室騒動では、眞子さんの希望がかなうように援護されたことが話題を集めた。大学卒業時、宮内庁記者会の質問への文書回答で「私は結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしい」「メディア等の情報を受け止める際に、情報の信頼性や情報発信の意図などをよく考えることが大切」などと指摘されたのだ。
2人の結婚直後にも「姉は自分にとってとても大切な存在。結婚に関して誤った情報が事実であるかのように取り上げられたこと、多くの誹謗(ひぼう)中傷があったことを私もとても悲しく感じていた。小室圭さんが姉のことを大切に思ってくださっていることをありがたく感じている。2人が結婚できたことを嬉しく思っている」と文書でコメントを公表された。
眞子さんの出発に際して、秋篠宮邸の玄関で姉妹が抱擁している様子が大きく報道され、強い家族愛が国民の涙を誘ったが、一方で、結婚への批判は根拠のない誹謗ばかりだったとは言えず、佳子さまの強気すぎる擁護は賢明でないという声もあった。
■佳子さまの結婚は「もう少し先」が好機か
眞子さん結婚後は、日本テニス協会名誉総裁、全日本ろうあ連盟非常勤嘱託職員、日本工芸会総裁などを引き受けられ、とくに、手話をマスターされ好評である(9月24日に「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」へのご出席が予定されていたが、新型コロナに感染され中止になったのは惜しまれる)。
佳子さまの交際相手を巡る国民の関心は高く、堀内詔子元ワクチン相の息子だとか歯科医とか、いくつか憶測が報道されたことがあるが、核心を突いたものは一つもなかった。なにしろ、目立つ方なので隠密行動は難しいし、新型コロナのあいだは、行動も制約された。
公務の担い手確保の観点から、愛子さまが単独公務を本格的に開始されてからのほうが好都合でありであり、悠仁さまの成年式が2025年、さらに、眞子さんと皇室の関係が部分的に復活するチャンスとして、佳子さまの結婚式というのは一つのチャンスであるから、少し先の可能性が高いように思える。
また、2021年の皇位継承に関する有識者会議の報告では、旧宮家の男子を皇族の養子とするとともに、愛子さまや佳子さまに結婚後も本人だけ、皇族としての身分を保持するという案が提示されている。制度改正については岸田政権下で棚ざらしになっている印象だが、佳子さまの結婚前に実現すべきだろう。
新制度を利用されるかどうかは、佳子さま自身が決めることだが、悠仁さまが天皇になられたときに、英国のアン王女(チャールズ国王の妹だが国民の信頼が厚い)のような立場で、頼りになる姉である佳子さまが皇族でおられることは心強い存在になるだろう。
■佳子さまの「無駄遣い」は批判されるべきか
佳子さまは、今年11月にペルーを公式訪問されるが、その途中、米国に立ち寄り、眞子さんと再会される可能性が語られている。これは姉妹であれば自然なことだし、そのくらいは「無駄な出費」などと目くじらを立てないおおらかさがあってよいだろう。
秋篠宮邸の大改修にあって、佳子さまの新しい部屋を設けず、その分の建設費が少なくてすんでいるのに、改築期間中の簡易な仮御所の私室をそのまま使っていることについて、費用が増大した「かもしれない」とか、別居はわがままだとか、公表が遅れたとかいう批判がある。
コスト比較は、佳子さまがいつ結婚されるかで変わるから計算できないし、もし試算があっても結婚時期を想定させる数字を公表できるものであるまい。また、個々の邸宅のなかで誰がどの部屋に住んでおられるかなど、今回はやむなく公表したが、セキュリティ上の配慮からも公表になじまない。
「見方によっては、費用をもっと安くできた可能性もある」くらいで批判するのは異常だ。それを言い出したら、ほかの皇室メンバーについて突っ込みどころはいくらでもある。
■「一人暮らし」は贅沢どころか節約である
秋篠宮家は佳子さまの幼少期には、木造100平米あまりの元公務員住宅の老朽家屋に住んでおられたし、皇嗣殿下(皇太子と呼び名が違うだけでまったく同格)となられ東宮御所に入られるはずが、上皇陛下ご夫妻が使われるので古く設備も貧弱な秋篠宮邸を改修して間に合わせることになった。
※詳細は〈「40億円超の豪華新居」はなぜ建設されたのか…「秋篠宮ご一家のぜいたくは目に余る」を徹底検証する〉を参照。
また、予定変更でのコスト増というなら、当初は高輪皇族邸を改修して皇族共用施設だった赤坂東邸の機能を移し、赤坂東邸は秋篠宮邸と一体化させて皇嗣殿下の公務専用に使うはずが、移転が中止され、皇嗣殿下の公務が共用施設のままの赤坂東邸をその都度借用して行う(小規模なものは私邸部分ともいえる新秋篠宮邸で行うのかもしれない)という、佳子さまの「別居」などより大きな変更があった。
全体としては費用節減になるだろうが、専用スペースが削減されているのは皇嗣殿下が冷遇されている感もあるし、秋篠宮邸の機能変更に伴う追加工事が必要になっているのでないか、とも推測されるのだが、マスコミはそういうことは報道しない。
このように、施設の使い方は頻繁に事情変更があるのに、それを片っ端から佳子さまのせいだというのはおかしい。佳子さまが本邸と行き来するのに専用通路を設けたのでないかという批判もあったが、トンネルか渡り廊下にでもしない限り専用通路など作れないし、事実無根である。
新しくなった秋篠宮邸に、いずれ結婚するのだから自分の部屋はいらない、職員の事務室として残すことになった仮設邸宅の自室をそのまま使う、というのはよほど特殊な計算をしない限り節約であり、贅沢だといって批判されることをご本人は予想だにしていなかっただろう。
■個性を伸ばし、皇室外交で活躍してほしい
そもそも、離れに住んでいて食事もときどき共にするのに、週刊誌報道などが「別居」と呼ぶのは日本語としても非常識であるし、家業のために模範的に働く28歳の娘が「一人暮らしをしたい」と希望したとしても普通のことだ。
秋篠宮家はときとして、自身に関しても皇室全体に関しても、過剰なほど質素倹約を主張し、むしろ煙たがられているのに、無駄遣いしていると批判されるのは不思議なことだ。
こうして見ていくと、佳子さまは決して贅沢とは言えないし、公務に熱心に取り組み、手話など独自の工夫も好評なのだから、自己主張が少々強い程度で「わがまま」などと揶揄するより、萎縮させず個性を伸ばし、新しい皇室像をつくっていただくべきだ。とくに、皇室外交において、華やかなスター性を存分に生かしていただくことは国益にも資するだろう。
----------
徳島文理大学教授、評論家
1951年、滋賀県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。北西アジア課長(中国・韓国・インド担当)、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、現在、徳島文理大学教授、国士舘大学大学院客員教授を務め、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中。著著に『令和太閤記 寧々の戦国日記』(ワニブックス、八幡衣代と共著)、『日本史が面白くなる47都道府県県庁所在地誕生の謎』(光文社知恵の森文庫)、『日本の総理大臣大全』(プレジデント社)、『日本の政治「解体新書」 世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱』(小学館新書)など。
----------