7日間食事を抜くと体にどんな変化が起きるのか?人体実験で科学分析 | ニコニコニュース
食事を7日間抜くと体にはどのような変化が起きるのか?多くの人々がダイエットや宗教的な理由から断食を行う中、科学者たちはこの長期間のカロリー制限が体に与える生物学的影響を詳細に分析した。
その結果、断食には良い影響もあるが悪い影響もあった。さらに驚くべき発見もあったという。
この実験は12人の健康状態の良いボランティアたちによって行われた。まずは長期間の断食を行ったボランティアたちに拍手を送りつつ、その研究結果を見ていこう。
これまで、長期間の食事制限が人体に及ぼす影響は十分に研究されていなかった。
そこで、ドイツ、シャリテ・ベルリン医科大学のチームによる今回の研究は、12人の健康なボランティアに参加してもらい、7日間の断食を敢行してもらった。
この間、参加者は水以外は何も食べることが許されなかった。
さらにその体内で起きていることを調べるために毎日血液検査を行い、そこに含まれる3000種類のタンパク質が測定された。
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7日間で平均5.7kgの体重減
その結果、断食開始から数日で、参加者の体がエネルギー源を切り替えることが明らかになった。
人体は普段「ブドウ糖(グルコース)」をエネルギーにして活動しているが、断食から数日が過ぎると体にためられている脂肪を燃やし始めたのだ。
おかげで参加者の体重は、1週間で平均5.7kg減り、断食終了後もリバウンドすることなく、その体重のままだったという。
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血中のタンパク質に大きな変化、良い影響と悪い影響
ここまでは予想通りだろう。だが驚きだったのは、血中のタンパク質にも大きな変化があったことだ。
断食開始から最初の数日では、血中タンパク質にそれほど大きな変化はなかった。ところが、3日目以降、それが劇的に変化し、私たちの健康に密接に関係しているさまざまなタンパク質が乱高下し始めたのだ。
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研究チームは、それまでの先行研究を参考にすることで、こうしたタンパク質の増減が私たちの健康に与える影響を調べている。
例えば、断食で大きく減少したタンパク質の1つに「SWAP-70」がある。じつはこれ、リウマチ性関節炎と関係している。つまり断食によってリウマチが緩和するかもしれないのだ。
これについて、研究チームは「長期間絶食しているリウマチ患者の疼痛が緩和されることについて、部分的に説明できるかもしれない」と述べている。
また「冠動脈疾患」に関係している「HYOU1」というタンパク質の減少も見られた。つまり断食は、適切に行えば心臓にも良いかもしれないということだ。
その一方で、健康に悪いと考えられる変化もあった。それは例えば、「凝固第XI因子」の増加で、これは「血栓症」のリスクを高める恐れがある。
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ただし自己判断で断食しないよう注意!
研究チームのクラウディア・ランゲンベルク氏は、「今回初めて、断食をした時、全身では何が起きているのか分子レベルで観察することができました」と、プレスリリースで語る。
「この結果は、断食の健康効果がダイエットだけではないことを証明しています。ただし、それが目に見えるようになったのは、カロリー制限開始から3日後以降のことです。予想よりも時間がかかります」
となると、断食療法なる病気の治療が流行ることがあるのか気になるが、今のところ研究チームはそれを推していない。
同じく研究チームのマイク・ピーツナー氏は、「断食は一部の症状にメリットがあるかもしれませんが、たいていの場合、体調不良で苦しむ患者さんの選択肢には入らないでしょう」と話す。
1つ忘れていけないのは、私たちの体にはバランスがとれた健康的な食事がとても大切であるということだ。間違っても、自己流で断食しないようにしてほしい。もしやるなら医療機関と相談するように。
この研究は『Nature Metabolism』(2024年3月4日付)に掲載された。
追記:(2024/03/06)本文を一部訂正して再送します。
References:FMD - Study identifies multi-organ response to seven days without food - Queen Mary University of London / This Is What Happens To The Body After Seven Days Without Food | IFLScience / written by hiroching / edited by / parumo