「おじさん知らないの?」クレープ屋にたむろする迷惑女子高生の“意外な正体”とは… | ニコニコニュース
最近よくネットで話題になっている“インフルエンサー”と呼ばれる人たち。SNSなどのフォロワー数が多いほど世間への影響力も大きく、マーケティング戦略の要と言っても過言ではありません。今回は、トレンドに疎い男性経営者が“インフルエンサー”を敵に回してしまった残念なエピソードを紹介します。
中村さん(仮名・39歳)は、脱サラして、東京都の郊外に念願のクレープ店をオープンさせました。
郊外といっても人気のエリアということもあり、オープン当初から幸先の良いスタートを切っていたそうです。
「前職は工業用機械の営業で、まったくクレープとは縁がない環境だったのですが、都内の有名店はほとんどコンプリートするほどのクレープ好きなんです。就職してからもずっと夢を諦めきれず、とうとう脱サラまでして自分のお店を持ってしまいました」
オープンしてからは口コミなどでさらに利用客は増え、隣の駅からも、うわさを聞いて訪れる客もいたといいます。
◆気がつけば客の主流はJKに
相変わらず好調な売り上げをキープしていた中村さんのお店は、いつのまにか女子高生のたまり場のようになっていたそうです。
「最初は特に気には留めていなかったのですが、改めてお店を見渡してみると女子であふれていたんですよ。お店は活気があって良かったのですが、ちょっと長居が過ぎるように感じていました」
店内の様子を意識するようになった中村さんは、徐々に長居する女子高生たちのことが気になり始めたといいます。
「いつも一番奥のテーブルを陣取っている女子高生4人組がいたんですよ。不良グループなどとはまた違う集団でした。その子たちはいつも昼前にやってきてクレープを1つずつ注文して、夕方過ぎまでそこを陣取っているんです。彼女たちのせいでイートインを諦めて帰ってしまうお客さんもいたんです」
◆ついカッとなってしまって…
彼女たちの態度は日を追うごとに目に余ってきたそうです。中村さんはその様子に我慢の限界がきてしまったようで、思わず声を張り上げてしまったといいます。
「人間って不思議ですよね。気になり出したら、もう彼女たちの声がすべて騒音にしか聞こえなくなったんですよ。気がついたら『いい加減にしなさい! 他のお客様に迷惑だろ!』と口走っていました」
いつもの4人は中村さんに鋭い視線を送り、何も言わずに代金をテーブルにぶちまけて帰っていったそうです。
「あの時の彼女たちがにらんだ目つき、今思い出してもゾッとするほど怖かったですね。でも、注意して正解だったと思いますよ。だって、彼女たちがいなくなった分、なんとなく店内がスッキリして、一般のお客さんも入りやすくなったと思うんです」
◆まさかの売り上げ急降下
「店の雰囲気もよくなったし、売り上げも少しは上がるかなと思っていたのですが、その日を境に売り上げが少しずつ落ちていきました。というか、学生客がピタリと姿を消してしまったんです」
中村さんは、たまたま買いに来てくれた女子高生に何気なく「みんな最近忙しいのかな?」と聞いてみたそうです。すると、女子高生は「おじさん知らないの?」と切り出しいろいろ話してくれたと言います。
「どうやら、うちの店を占領していた女子高生たちは、学校のカリスマインフルエンサーだったそうです。彼女たちは日々、私のクレープ店からLIVE配信をしていたんです。彼女たちの配信は相当な情報発信力があったんですね。そうとも知らずに……」
売り上げが急に下がってきた理由にようやく気づいた中村さん。しかし、全ては後の祭りでした。
◆ようやく気づいたSNSの重要性
今回の件でSNSの重要性を痛感した中村さんは、インターネットでいろいろ勉強しながら自らのアカウントを開設したそうです。
「もちろんお店の宣伝用なんですけど、それらの投稿におり混ぜて、例のカリスマ女子高生向けのお詫び投稿もしたんです。正直に感謝の気持ちと、彼女たちがいつも陣取っていたテーブルの写真も……」
以前の慌ただしさがまるでうそのように静かなお店で、中村さんはしばらくの間、お店の発信を続けたといいます。
「そしたら、なんと! 私の投稿にいいねが付くようになったんです。しかも、いいね!の主はあのカリスマ女子高生だったんです。もう嬉しくてたまりませんでした! 思わず覚えたてのダイレクトメッセージで『いいね、ありがとうございます!』と返しました」
その数日後、店先にお客さんの気配を感じた中村さんの目に飛び込んできたのは、紛れもなくカリスマ女子高生4人組だったそうです。
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営