階段を上り下りすることで寿命が伸びる効果が認められる | ニコニコニュース
少しでも健康に気を配りたいなら、エレベーターやエスカレーターを利用するより、階段を使った方がいいかもしれない。新たな研究によると、日頃から階段を使っていると、寿命が伸びるかもしれないそうだ。
階段を歩くことで、様々な原因による死亡リスクを下げてくれるという。だが、とりわけ効果的なのが心臓や血管で、階段を上り下りするだけで心臓や血管系の病気で死亡するリスクがほぼ4割も低下するという。
それもそのはず。階段は有酸素運動とレジスタンス運動がセットなった優れた運動で、心肺機能をグッと鍛えてくれるだろうと期待できるのだ。
この研究結果は、英国イースト・アングリア大学のソフィー・パドック博士らが欧州心臓病学会(ESC)の学術会議「ESC Preventive Cardiology 2024」で発表したものだ。
研究チームは、階段の上り下りが健康に与える効果を調べた先行研究9本をメタ分析(35~84歳までの合計48万人が分析対象になったことになる)した。
すると、普段から階段を使用している人は、エレベーターを利用する人に比べて、全死因による死亡するリスク全般が24%低くなることが判明したという。
だがとりわけ効果的だったのは、心臓や血管の病気で死亡するリスクだ。階段を利用する人たちは、心疾患による死亡リスクは39%も減少するという。心臓発作・心不全・脳卒中といった病気を発症するリスクも全体的に低かった。
[もっと知りたい!→]さあやってみよう!自分の死期がわかる、立って座るだけの簡単なエクササイズテスト。
階段の上り下りは一見些細な行動かもしれないが、驚くべき健康効果を秘めているようだ。
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階段に理想的な運動効果
階段の上り下りがとても優れたエクササイズであるのは、「レジスタンス運動」と「有酸素運動」がセットになっており、心臓・肺・筋肉を同時に鍛えられるからだ。
レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動のこと。有酸素運動は、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことだ。
階段を上り下りするだけで、手軽に日常生活に取り入れられるのも嬉しいところだ。
その効果はまさにハイブリッド運動と呼ぶにふさわしいもの。Medical News Todayの解説によると、階段を上るだけで次の3つ運動効果を得ることができる。
自重トレーニング:
これによって大腿四頭筋・ハムストリングス・大臀筋・ふくらはぎなど、複数の筋肉を一度に鍛えることができる。こうした運動は除脂肪体重アップに有効だ(体重から脂肪を引いた重さを除脂肪体重といい、これが思いほど筋肉量が多く、基礎代謝が高いということになる)。短時間の高強度トレーニング:
この運動は、心臓と肺に負荷をかけることで心肺機能をアップしてくれる。それによって最大酸素摂取量(VO2max)が高まり、全身の持久力アップが期待できる。機能的な運動パターン:
日常生活における基本的動作のことで、これを繰り返すことで、体のバランス・協調性・可動性をアップさせることができる。
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階段エクササイズで健康に
手軽でありながら、健康にいい運動としてはウォーキングがよく知られている。
だがタフツ大学医学部のエリック・J・ヘゲダス博士は、階段上りはウォーキングよりも優れていると太鼓判を押す。
階段の上り下りは、平地のウォーキングよりも心拍数を高めます。もちろん座ったり、エレベーターに乗ったり、エスカレーターに乗ったりするような運動よりもね(エリック・J・ヘゲダス博士)
それによる心拍数アップは、安全かつ健康的なものなので、特に体に病気を抱えているわけはない限り、安心して行うことができる。
ただし、具体的にどのくらい階段を上れば健康効果があるのかは、今後の研究課題だそうだから、無理せず自分のペースで階段を利用してみてはどうだろうか?
今まで駅ではエスカレーターを使用していたが、それを階段に切り替えるとか、自宅や職場ではけエレベーターから階段に切り替えてみるとか。
とはいえタワマンの上層階に住んでいたり、高層ビルの上層階が勤務先の人は、全部階段を使うのはきつそうなので、まずは数階分階段を使って、慣れてきたら階数をアップさせていくのも良いかもしれない。
1日や1週間に上る段数を決めるなど、具体的な目標を設定すると、やる気や達成感を得やすくなるという。
「自分の体の声に耳を傾け、必要に応じて休憩をとったり、強度を変えたりすることが大切です」と、ヘゲダス博士からのアドバイスだ。
References:Climb stairs to live longer | ScienceDaily / Heart health: How climbing stairs can help you live longer / written by hiroching / edited by / parumo