ダンスフロアで踊る人々の熱エネルギーを蓄え、熱電池のように充電できるシステムと、それによって光熱費を節約することに成功したライブ会場が、話題を集めている。『BBC』『The Guardian』などの海外メディアが報じた。
■熱を吸収し蓄える
イギリス・スコットランドのグラスゴーにあるイベント会場『SWG3』では、フロアで放出された熱を200メートルのボアホールに吸収し、熱電池のように蓄積するシステムを備えている。
蓄えられたエネルギーはヒートポンプに移され、再び会場内に戻すことができる。これにより、SWG3ではガスボイラーを使用することなく、年間で約70トンのCO2を削減できるという。
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■国を超えた普及に期待
この「Bodyheat」と呼ばれるシステムを設計したのは、地熱エネルギーコンサルタント会社のTown Rock Energy。その創設者であるデビッド・タウンゼントさんは、メディアに「例えばローリングストーンズがかかっている場合、250ワットほどのエネルギー生み出せるでしょう」「しかし観客全員が飛び跳ねるような激しい曲の場合、500から600ワットも不可能ではありません」と語っている。
このシステムにはすでにベルリンのナイトクラブも興味を示しており、国境や大陸を超えて広い範囲に普及していくことを期待しているという。
■光熱費が激減
SWG3のマネージングディレクターであるアンドリュー・ブラウンさんは、システムの設置によって2025年までに会場のCO2排出量は「ほぼゼロ」に抑えられると語る。
また、システムの設置には60万ポンド(約1億円)の費用がかかっているが、従来と比べて光熱費は10パーセント程度に抑えられることから、約5年で費用を回収できるとも述べている。
■エネルギー問題の救世主に
グラスゴー市議会のアンガス・ミラー議員は「これは素晴らしい計画です。人々は楽しい時間を過ごしながら、グラスゴーをより環境に優しい場所にしているのです」とシステムを称賛した。
現在、欧州ではエネルギーを巡る安全保障上の問題が発生している。こうしたシステムが少しでも状況を改善するようにと、人々の期待と注目を集めているようだ。
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