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10品中3品は定番メニュー。7品は期間限定メニューとして全国の「くら寿司」店舗で販売している。販売期間は短いもので11月17日まで、長いもので12月1日まで。価格は一部店舗では異なる。
番組に出演したくら寿司の松島氏(商品開発部)と、大濱氏(購買部)は、食品産業新聞社の取材に応じた。
「率直に嬉しい。これまでの挑戦で毎回自信を持って挑み、悔しい結果となることもあったが今回報われた」「くら寿司の商品開発は短くても半年、ニザダイには8年もかかるなど、商品化までの期間や社内審査のハードルは高い。それでも一部商品が不合格となってきたため、今回ダメなら無理なのではという思いだった」(松島氏)。
以下、番組に登場した10品の商品特徴を紹介する。
くら寿司『ジョブチューン』史上初“全品合格”、「天然みなみまぐろ上赤身」「とらふぐ食べ比べ」「焼きほたて手巻き」など期間限定販売
◆1位「天然みなみまぐろ上赤身」(合格6名・不合格1名)
・1貫165円(以下税込)。12月1日まで、100万食限定。
旨味と酸味のバランスが良い南インド洋で獲れた40~80kgサイズの「天然みなみまぐろ」を使用。本マグロと比べて、酸味や鉄分などの癖がなくさっぱりとした味が特徴。使っている部位は、1尾から約15%しか取れない赤身の希少部位「天身」。脂と筋がなく、非常にやわらかくさっぱりとした中に旨みがあるという。
◆2位「ビントロ」(満場一致合格)
・2貫165円。定番メニュー。
南半球の冷たい水域でとれた10~20kgの「びんちょうまぐろ」を使用。一匹ずつ針に引っ掛ける「はえ縄漁法」で漁獲し、すぐに船内で冷凍している。店舗で温塩水解凍することで、ドリップが出ず旨味を逃がさないという。なお、ビントロはくら寿司が25年前に初めて販売した商品だ。
◆3位「まぐろユッケ軍艦」(合格5名・不合格2名)
・2貫115円。定番メニュー。
さっぱりした味わいのキハダマグロや、メバチマグロを主に使用。醤油ベースに「ニンニク」「コチュジャン」「紅麹」など合わせて作った甘辛い特製ダレに、店舗で1時間以上以上漬け込み、温泉卵とねぎで仕上げている。
◆4位「絶品手巻き 極上いくら三種」(合格4名・不合格3名)
・3貫780円。11月17日まで、8万食限定。
根室海峡産の白鮭の卵を塩水につけた「塩いくら」、粒が小さく凝縮されたうま味が特徴の希少種“カラフトマス”を立て網漁業で獲った「たてますいくら」、大きい親鮭の白鮭からとれた中から大粒を厳選し、味の濃さとプチっとした食感が特徴の「大粒いくら」の3種類。「たてますいくら」を食べられるのは、日本のチェーンでくら寿司だけだという。
◆5位「焼きほたて手巻き」(合格4名・不合格3名)
・1貫250円。11月17日まで、14万食限定。
“あぶりホタテ”で過去2回の放送で不合格になり、今回リベンジとして1年かけて改良。青森県・陸奥湾産の「ベビーほたて」を使い、醤油ベースのタレに一晩漬けている。前回はガスバーナーを使っていたが、ジェットオーブンに変更したことで旨味を引き出した。有明産海苔にシャリと大葉、貝ひも&貝柱をのせ、国産ぶどう山椒を使った“自家製の山椒ダレ”を仕上げに塗っている。
◆6位「あぶり明太えびチーズ」(合格6名・不合格1名)
・2貫165円。12月1日までの限定販売。
蒸すことで甘みが増す「バナメイエビ」の上に、チーズをのせ、無添加の明太子を使った「明太マヨソース」をかけ、自動炙り器「あぶれる君」でむらなく炙った商品。チーズは、明太子の味が消えないように、あっさりした味わいが特徴のチェダーチーズをベースにしたプロセスチーズを採用している。
◆7位「とらふぐ食べ比べ」(合格4名・不合格3名)
・2貫345円。11月17日まで、15万食限定。
山口県・下関で加工した「とらふぐ」を使用。水槽で2日間泳がせて輸送のストレスを軽減することで、身が引き締まり旨味が増しているという。表面を炙った「炙りふぐ」と、職人が2枚引きして“すだちジュレポン酢”をのせた「生ふぐ ジュレポン酢のせ」の2種類。
◆8位「キャベツ二ザダイ」(合格5名・不合格2名)
・1貫165円。11月17日まで、20万食限定。
海藻を主食とし“海の厄介者”と言われる「ニザダイ」を、地元漁師からの要望を受けて商品化。販売まで8年を要したという。身が強く脂乗りが良いが、磯臭いことから商品に向かなかったが、キャベツで養殖することでニオイを抑えている。今回は、宮崎県・東臼杵郡門川町の定置網で獲れたニザダイを使用。皮目に脂が乗る1.2~1.5kgサイズを採用している。
「あらゆる食材を試してたどり着いたのがキャベツ。揺れる動きが海藻と似ていてよく食べてくれる。キャベツが磯臭さを消して素材本来の味を楽しめる。約3時間昆布締めで寝かせることで、身は柔らかくより旨みを凝縮した味わいになった」(大濱氏)。
◆9位「たまご焼き」(合格6名・不合格1名)
・2貫115円。定番メニュー。
前回の放送で不合格となり、くら寿司創業45年で初めて改良し、リベンジした。寿司職人たちからの「たまごの柔らかさを感じない」「甘くて口の中が重たい」といった指摘を受けて、砂糖・みりんを減らし、甘さを抑えた。出汁(昆布・カツオ)は数%増量し、新たに「塩こうじ」加え、以前より少し強めに焼いている。
◆10位「アスリートかんぱち」(合格6名・不合格1名)
・1貫165円。11月17日まで、48万食限定。
鹿児島県・大隅半島の黒潮が当たる激流の漁場で、良質な魚粉から作った高たんぱくなエサ「ドライペレット」を与えて育てた、“まるでアスリートのようなカンパチ”。人口種苗(人の手から育てる環境に配慮した養殖方法)を採用。開発には、養殖の根本である漁場の選定からエサの勉強など、約2年を要したという。
仕入れ責任者の大濱氏は、コロナ禍以降の状況を「バイヤー視点で見ると非常に厳しい仕入れ環境にある」と振り返る。コロナ禍当初は外食全体が落ち込み、あらゆる魚種で魚が余るという声が生産者から寄せられ、外食が回復し始めてからは、世界で水産物のニーズが高まり日本企業が買い負ける状況が発生し、昨今の歴史的な円安が輪をかけている。
「社訓の“その価格で最高の味を実現する”ために、10月からは1皿当たりの価格改定もありましたが、少しでも良い商品を提供するために、『良いものをより安く』『ほかでは食べられないような商品を提供』できるよう試行錯誤しながら進めてきました」(大濱氏)。
なお、くら寿司の田中邦彦代表取締役社長は『ジョブチューン』内で、全品合格の報告を受け「5回目も挑戦したい」と意欲を見せた。
<このニュースへのネットの反応>
うんうん、広告として赤身の写真を掲載するならこの色だよねえ