チュートリアル・徳井義実が語る“YouTube挑戦”の裏側 理想形は「再生回数や登録者数は気にしない」こと | ニコニコニュース
今や、テレビで活躍する芸能人がYouTubeチャンネルを持つことは珍しくない。
お笑い芸人・チュートリアルの徳井義実は2021年にYouTubeチャンネルを開設。キャンプやこじらせ飯をテーマにした料理などをテーマにコンスタントに動画を投稿している。
また、撮影も、編集も自分で行なっているという徳井。なぜ、そこまでYouTubeに時間を割けるのか。テレビとYouTubeの違いや、6月に行なわれる「徳井video展」などの話と合わせて聞いた。
・「YouTuberデビュー!」が嫌で、Instagramからスタート
――徳井さんは2021年にチャンネル開設をされました。YouTubeを始めようと思ったきっかけを教えてください。
徳井義実(以下、徳井):昔から自分で動画を作るのが好きだったので「YouTubeで何かしたいな」って結構前から考えていました。どうせ作るなら、見てもらえる場があった方がいいなって思ったんです。
――前から考えていたということですが、構想があったりしたのでしょうか?
徳井:ありましたね。実は、最初はIGTV(現在は廃止)に料理の動画を作って投稿していました。そのあとはTikTokを始めて、今はYouTubeに投稿しているんです。
――2つのプラットフォームに止まらず、YouTubeを始めたのはなぜでしょうか?
徳井:自分が作りたいものとしてYouTubeが1番合っているんじゃないかなと思っていたので、最終的にはYouTubeをやりたかったんです。でも、当時って芸能人がYouTubeを始めると「ついに、YouTuberデビュー!」みたいにニュースになっていたじゃないですか。それに対して違和感があったんですよね。
芸人としてテレビにも、ラジオにも舞台にも出ていて、YouTubeは、そのうちの1つなのに「YouTuberデビュー!」って言われるのって、なんか違うなと。それもあって、まずはInstagramから始めたんです。
――たしかに、Instagramを始めたところでインスタグラマーデビューとは言われないですもんね。
徳井:そうなんですよ。変な感じに書かれるのは嫌やったんですよね。
・「なんでもかんでもやるのは違う」コンビでYouTubeをやるなら
――チャンネルを開設される前から、YouTubeは見ていましたか?
徳井:レビュー系の人を中心に見ていました。1番見ているのは、ガジェット系の瀬戸弘司さんですかね。機械物の中でも、おっさんが1人で黙々と何かやっている動画を見るのが好きで。自分のチャンネルもそうなるんちゃうかなと思っていました。
――キャンプと料理に関する動画を投稿されてらっしゃいますが、1つ目の動画から「こじらせ飯」というキーワードがありましたね。このジャンルで行こうと決めたのはなぜでしょうか?
徳井:正直、最初から明確に決まっていたわけではなく。ただ、なんでもかんでもやるのはやめておこうと思いました。YouTubeらしい企画は、ほかの人がやっているから、そういうのを見たい人はわざわざ僕のチャンネルを見なくてもいいですし。
――ガジェット系の投稿もできそうですが?
徳井:実は過去に何度かやったことがあるんです。でも、料理やキャンプの投稿の中にそれが混じっていると、ごちゃっとしちゃうんですよね。だから、レビュー投稿をするなら、レビューチャンネルを別で作りたいと思っています。
――相方の福田さんと2人でチャンネルをやろうとは思わなかったのでしょうか?
徳井:ちょっとよぎりましたよ(笑)。でも、福田がめんどくさがるかな、と思ったんですよね。コンビでやったら、ほかの仕事と同じになってしまいそうですし。でも、もし福田がやりたいと言ってくれれば、何かしらのコンビチャンネルもやろうかなとは思います。
徳井:でも、福田って自分からは言わないんですよ。それに俺が誘っちゃうと「ちょっとめんどくさいな」と思っていても「わかった、やるわ」って言うから、変な手間をかけたくないんですよね。
――仮に、2人でやるとしたらどんな企画をやりたいでしょう?
徳井:えー、なんやろ……。地元巡りとか、ツーリングですかね。あとは昔2人でよくやった『ウイニングイレブン』をやってみるとか。
・仕事にせず、あくまで楽しみたい
ーー動画の反響から、学ぶことはありますか?
徳井:「うまいですね」ってコメントをいただけるんです。でも、別にうまいわけではないし、料理の知識がすごいあるわけでもないんですよね(笑)。それに僕の料理動画ってレシピを出していないので、見た料理を作れるようになるわけでもないんです。でも、それでいいんだなと学びました。料理動画って、みんながみんな作りたいわけじゃなくて、普通に見て楽しんでいる人もいると思うんで。
――なるほど。YouTubeをきっかけに、お仕事に影響はありましたか?
徳井:キャンプの仕事は、ちょっと増えましたかね。でも、正直なところキャンプで仕事を取ろうとか、ほかのキャンプ芸人たちのパイを奪いに行くつもりは全くないんですよ。キャンプのスタイルも、やる人から見たらだいぶカジュアルでしょうし。自分の動画の中だけで、楽しくやれたらいいんですよね。
――楽しくということは、あまり再生回数や登録者数を気にされたりもしていないのでしょうか?
徳井:そうですね。たぶん、再生回数を取りに行くんやったら、もっと違うキャンプをしていると思います。例えば、サムネ的に派手になるような「魚を丸ごと1匹捌いてみました!」みたいなやつとか。あまりにも少ないと「興味持たれてないんやな」って悲しくはなりますけど、そこそこ回ってくれたら、それでいいと思っています。
――なるほど。YouTubeをコンスタントに更新されてらっしゃるので、てっきり仕事につなげるためかと思っていましたが、そうではないんですね。
徳井:そうです。キャンプも好きでやってるし、撮影・編集も好きでやってるだけ。キャンプだけやったら1の楽しみを、撮影と編集の楽しみで、3倍にしたいだけなんですよ。だから、撮影も編集も全部自分でやっています。
ーーそうなんですね!大変ではないんでしょうか?
徳井:楽しいですね。それに1人でやっているからこそ、誰かに伝える作業がいらないので、すごく楽。出演者も制作者も1人だと、意図も一緒ですから(笑)。
ーーお話を聞いていて、自分が楽しみたいという気持ちが根底にあるのだなと感じました。今後の目標を教えてください。
徳井:息長く、楽しみながら撮影・編集・投稿をして、それなりに見てくれたらなと思います。今度、開催する「徳井video展」や、一緒にキャンプをする「徳井videoキャンプ」を開催するのですが、YouTubeを軸に今後もイベントやグッズと派生していけたら楽しそうやなと思います。
――さきほどお話の中にも出てきた、イベントについてお伺いしたいのですが、今回のイベントはファンの方が徳井videoに投稿する動画を撮影できます。かなり距離感が近いですよね。
徳井:僕もまだ未知なんですよね。どうなるんやろって楽しみです。
――2007年に開催された『YOSHIMOTO DIRECTOR'S 100 ~100人が映画撮りました~』での監督作「nijiko」の放映もしますよね。なぜ今のタイミングで?
徳井:たまに見たいって言われたものの、見られる場がなかったので。最初と終わりでトークしながら、ファンの方との鑑賞会を楽しみたいと思っています。
――徳井さんといえば、コントでも豊富なキャラクターを演じていらっしゃったので、それこそ「nijiko」のようなショートフィルムも投稿できそうですよね。
徳井:そうですね!実はちょっと考えていて、今年はそういうのを撮れたらいいなとも考えています。
――今もなお、テレビの第一線で活躍されてらっしゃる徳井さん。テレビとYouTubeの違いはどこにあると感じていますか?
徳井:伝えたいことに対する使える尺が違いますよね。YouTubeは制限がないですから。あとは、マスに向いていなくていいっていうところも。テレビの場合、どんだけマニアックな番組でもマスに向いているんです。たとえば、道具1つとっても、これがなにかを紹介したり。でも、YouTubeの場合は、それをしないこともできる。そういうところは違うかなと思います。
(文・取材=於ありさ)