寿司職人「海外での時給は日本の2.5倍」。海外移住を希望する若者が続出するワケ
なかでも、2002年の創設以来、数多くの寿司職人を世に送り出してきた老舗養成校が「東京すしアカデミー」だ。現場経験の豊富なプロの寿司職人が講師となって生徒一人一人にきめ細かく指導する学校だ。同校の卒業生が海外進出する様子がメディアでも取り上げられ話題になった。寿司職人の海外進出が進む今、これからプロを目指す人は何が必要なのだろうか?東京すしアカデミー株式会社の広報担当である鈴木さんにインタビューした。
◆寿司職人の老舗養成校「設立の経緯」
――学校の設立の経緯について教えて下さい。
鈴木:東京すしアカデミーは寿司専門の経営コンサルタントをしていた福江誠が2002年に開校しました。町の寿司屋がどんどん減っていく、後継者もいないという中で、1人でも多く寿司職人を育てて成功できる人を増やしたいという目的がありました。当時は寿司職人の育成には長い修行が必要だという常識がありました。業界からは疑問視される声もありましたが、卒業生の技術や知識が認められるようになり、現在では多くの寿司店から求人が寄せられています。
――海外移住したい人は増えているのでしょうか?
鈴木:海外移住を目的に当校を受講する方は以前から多かったのですが、最近はさらに増えています。日本人の受講生の8割は海外移住を希望しています。
◆オーストラリアの飲食店の時給は日本の2.5倍
――海外移住希望者が増加している理由はどのようなものだと考えていますか?
鈴木:飲食業界に限った話ではありませんが、日本と海外では賃金格差が広がっているそうです。先日、オーストラリアの飲食店で専門職のアルバイトをしている元生徒さんと話したんですが、時給が円換算で3000円だそうです。都内の飲食店のアルバイト時給が1200円くらいですから、2.5倍くらいになる。
「自分の仕事の価値が1200円しか評価されないのか、3000円と評価されるのかでは、働くモチベーションが全然違う」。そんな事をおっしゃっていました。
◆国内外に羽ばたく卒業生の就職事情
――「集中特訓コース」「寿司職人養成コース」「週末特訓コース」「English Course」などが選択できますが、どのコースを選ぶ生徒が多い印象ですか?また、それぞれどのような目的で入学する生徒が多いのでしょうか?
鈴木:2か月の集中特訓コースの受講生が一番多いです。6か月の寿司職人養成コースは、扱う魚の種類も多く、また、和食の技術も学べます。週末特訓コースは2か月制の集中特訓コースと同様の内容を週1回、11か月かけてじっくりと学べるので、仕事を続けながら受講することができます。
受講生のみなさんの目的がコースごとに違うわけではなく、通いやすいスタイルに合わせてお選びいただいております。目的は海外移住もありますし、独立開業や、転職、趣味として学ぶ方もいらっしゃいます。
――卒業生の就職先はどの国が多いのでしょうか?
鈴木:カナダや、オーストラリアへ移住される方は多いです。これらの国は多様な労働力を求めていて、外国人労働者の受け入れに寛容な政策を採用しています。海外で働くための就労ビザを取得するには飲食業界での実務経験が最低2年は必要になってきますので、経験のない方は国内でしばらく修行されてからチャレンジされる方が多いです。若い方ですとワーホリを活用して直ぐに行く方もいらっしゃいます。
――就職はどのような形で決まるケースが多いのでしょうか?
鈴木:さまざまです。弊社が運営する求人サイトからマッチングされるケースだったり、卒業生のネットワークがあるのでそこからお話が決まることもあれば、ご自身で見つけるパターンもあります。また、卒業後すぐに独立する方もいらっしゃいます。
客単価1万円のおまかせコースの店を大繁盛させている方もいますし、昨今では店舗を持たない業態を選ぶ方も増えています。寿司の握り体験の教室を運営している方や、お客様の家に伺って寿司を握る出張専門の寿司屋をやっている方。デリバリー専門の店をやっている方などさまざまです。これらの業態のメリットは何と言っても家賃(固定費)を抑えられる点にあります。
◆日本並みの高級すし店があちこちに
――メニューや仕事内容など、国内と海外と大きな違いはありますか?
鈴木:仕事内容の違いは業態によって変わります。海外でも本格的な江戸前寿司を提供されているお店では日本と同じ仕事をしています。昔の海外の寿司店は大衆店や回転寿司店が多くて、照り焼きチキンのロール巻きみたいなのを作っていれば職人扱いされました。でも東京の一流の魚、食材が海外でも手に入るようになり、日本並みの高級店があちこちに出来ています。
欧米はもちろん、タイのバンコクは急激に高級店が増えて寿司文化が成熟していますし、ベトナムのホーチミン市にもコースで3万円というお店があります。そういう高級店では、カウンターに立って寿司がきちんと握れて、目の前のお客さんの相手ができる日本人の職人が求められています。
◆これから海外で寿司職人を目指す人へ
――養成校として、やりがいを感じるのはどんなときですか?
鈴木:当校にはいくつかのテストがございます。時間内に決められた個数の寿司を正しい手順で綺麗に握れるかを見るテストだったり、魚のさばき方や、桂剥きなどさまざまなテストの結果を数値化して上達の程度を測っています。寿司の技術習得はスポーツに通ずるところがあり、上達の速度は人によって違います。苦戦していた人があるときコツを掴んで一気に上達することもありますが、そういった姿が見られたときに喜びを感じます。
――海外で働く寿司職人を目指す人たちにメッセージをお願いします。
鈴木:海外就職を成功させるには具体的な計画を立てましょう。行きたい国の候補を挙げ、生活水準、言語、治安の良し悪し、ビザの種類と取得方法を調べます。旅行して現地を見てみることも重要です。そしたらあとは条件を揃えるために行動あるのみ。海外移住は夢でも何でもないです。実現可能な目標です。
<取材・文/はるうらら>
【はるうらら】
医療従事者として都内総合病院に勤務していたが、もともと興味のあったWebライティング業界に思い切って転身。大手メディアと業務委託契約を結び、時事ネタ・取材をメインに記事を執筆。中には450万PVを達成した記事も。ちなみに国内外問わず旅行が趣味で、アメリカ・オーストラリアで生活をした経験もあるバイリンガル。現在、海外移住計画中
vintel
給料がいいところに行った人が全ていい生活してるかってーと全くもってNoな訳で…コミュニケーションも拙く仕事が出来ないんじゃ寿司本場の日本人でも即ポイよ。そのあたりは日本にいる外国人労働者見れば分かるよね…。いいところだけ挙げて出荷するのって、日本なら稼げるヨーって送ってくるブローカーとあんま変わらんのでは?本人らは輝かしい未来しか見えてないんだろうけど |
@@つ
あっちで稼いで貯金して日本帰ってきてFireしたら普通よりも元手になる資産は多くなりそう。アジア人への差別(中国の巻き添え)が減ったら選択肢としてはありかもしれない。移住した奴も金銭面以外でもちゃんと考えてるだろうけどもうちょっと詳しく知りたいね |
ミラ
フードコートのラーメン一杯2500円、プレートランチ1人前4000円、イタリアンレストランでパスタとトロピカルドリンク2人前頼んで13000円。これが今のハワイやアメリカ都市部の相場。当然人件費が反映されてる。そりゃ出稼ぎしたいでしょうよ。 |
納豆御飯
思考誘導乙。そんな【一部の成功者】を出して【誰もが成功する】ような甘い世界だと錯覚させるとか、まるで明治期の棄民政策だろ。過去、政府主導の甘い謳い文句に釣られてどれだけの海外移住者が地獄を見たと思っていやがる。有望な若手を日本から追い出すことを目的とした記事にしか見えないね。で、追い出した後の【空いた席】には【どこの国の人間】が座ることになるんだろうね? |
ぽん太郎
これ実際はカツカツって聞いたことあるけど、どうなんだろ…取り上げられてるのって成功してる人であって誰しもがそうなる訳ではないと思うけど…、この手の内容ってデメリットあまり語られないよね。この学校行ってる人は教えてもらえそうだけど…、海外とか安易に病院いけないし…失敗した人の特集もした方がいいのでは? |
ig
日本国内じゃ勝負にならないてのが有るんじゃないの?近場で若くて売れてる人は「○○で働いてました」というブランドをTV等で紹介して客つけた感じ。そんな看板が無くても海外なら日本の寿司職人という一つの枠で偉そうなフリできるんだし。 |