厚木のパチンコ店火災、営業車が燃えてサボりがバレる危機 懲戒処分の可能性は?
X(旧ツイッター)には、同店に滞在した人の「仕事サボってパチンコしてたらマルハンの駐車場火事になって営業車燃えて詰んだ」との投稿は、2万超もリポスト(旧RT)され、「トイレ借りてたで押し通すしかない」などとアドバイスが相次いだ。
今回の火災では、幸いなことに、死傷者は出なかった。しかしこの投稿主のように、仕事をサボって駐車場を利用していた人は他にもいるかもしれない。パチンコ店でのサボりがバレてしまった場合、懲戒処分となる可能性はあるのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。
●「懲戒処分の対象となる」
——今回、もし勤務先にもバレた場合、懲戒処分となる可能性はあるのでしょうか
結論から言えば、懲戒処分の対象となるでしょう。
勤務先の職場に就業規則があれば、通常は服務規定や従業員が遵守すべき事項などの規定があります。違反した場合に、戒告や減給や出勤停止や解雇などの懲戒処分を受ける旨も規定されているでしょう。
仮に職場に就業規則がなくとも、使用者と労働契約を締結している以上は、誠実に労務に服して、会社から任されている業務をサボってはならないことなどは当然の義務として従業員は負っています。
営業成績さえあげていれば勤務中でも社外で何に時間を費やしていても良いなどと許容している会社はまずないでしょう。勤務中にパチンコをすることは、従業員としての服務義務違反であることは明らかです。
——どのような処分が妥当なのでしょうか
懲戒の種類としては、訓誡や始末書提出や減給や出勤停止や解雇など広範にわたります。その懲戒事由の内容や程度、会社の業務や信用へ与えた悪影響の態度を基本として、その従業員の過去の懲戒処分歴なども考慮した上で決められるべきことです。
したがって、懲戒の種類を推測することは簡単にはできません。もちろん、パチンコ店の駐車場に駐車していた社用車が偶然の火災により損傷したという事情は、懲戒処分の種類を判断する上で考慮事情になるかもしれませんが、大きな要素とはならないでしょう。
なぜなら、社用車が被災したのは偶然の事故によるものであり、当該従業員の過失はありません。駐車区域でもないのに駐車していた、あるいは損傷を受ける危険性が非常に高い場所とわかっていながら駐車していた、などという事情があれば別でしょうが、パチンコ店の駐車場にそのような事情はないでしょう。
とすれば今回の社用車の損傷は従業員に非のない偶然の事故といえます。この点は懲戒処分の程度を考える上で検討されることになるでしょう。
【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における、開発審査会の委員、感染症診査協議会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/index.html