老友新聞2022年12月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
皆んな読めない キラキラネーム
カナを先生 ふっている
鈴木 曻
子の名は親の願い凝縮なのですね。時代を表してもいるのでしょう。
地の位
コロナ自粛へ 動きも鈍る
ラジオ体操 友とする
冨田 いつ子
ラジオ体操を朝の日課にする方々は皆さんお元気。
人の位
柿が真っ赤に 実りの里に
活気あふれる 直売所
王田 佗介
「実りの里」らしい雰囲気あふれる一作です。
五 客
ミヤマアカネの 保全に尽す
絶滅危惧種を 護る子ら
櫓木 香代子
アカネは赤トンボ。ミヤマは「深山」で山奥のこと。子供達の自然に対する立派な行為を描いています。
揺れる黄金(こがね)の 稲穂が重い
今季限りと 言う農家
倉澤 登美子
稲穂の重さが「豊作」では無く「今季限り」と続くところに日本の農の現状がある。
来る人来る人 金木犀に
暫し佇む 昨日今日
手銭 美也子
秋の訪れを知らせてくれる花。オレンジ色の小さな花弁と甘くやさしい香りが魅力的。
ヒコが尋ねる バアチャンいくつ
両手ポンポン 九十五歳(きゅうじゅうご)
岡本 政子
「両手ポンポン」の動作が目に見えるようで可愛らしい。
昔のえにしが 貼り付く人の
セピア写真を なつかしむ
山田 浩司
写真は色褪せても思い出は今でも色濃く心に残る。