なぜ外科医は青色か緑色の手術着を着ているのか? | ニコニコニュース
外来患者を診察する医師は白衣を着ていることが多い。では手術をする医師は何色の衣服を身に着けているのだろう?
テレビドラマなどの手術のシーンにみられるよう、手術着は世界各国で青色か緑色が着用されている。白衣を着ていても、手術時には青か緑色の上下の手術着に着替えるのだ。それはいったいなぜなのか?
その理由に迫ってみよう。
【画像】 かつての手術着は白だった時代、外科医が青緑色の亡霊が見えると訴え
かつて、手術着は清潔さの証である白だった。
だが20世紀初頭、手術着が白色だったころ、手術中だったアメリカの外科医が「青緑色の亡霊が見える」と訴えた。
これは亡霊ではなく、手術中に血液の赤い色を見つめていた医者が周りのスタッフに目を移したとき、白い手術着が青緑色に見える視覚効果によるものだ。
人間の目は、長時間同じ色を見続けると視神経が疲れ、見ている色と反対の色を網膜上に作り出す生理機能が働く。
これは「補色残像現象」と呼ばれており、赤い血の色を長時間見続けた結果、目を白いものに移したときに青緑色がちらつくという現象が起きたのだ。
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そこで影響力のある医師が、青緑色が溶け込んでしまう青や緑などの色のついた手術着に切り替えたという。
緑色や青色は、色相環(色相の総体を順序立てて円環にして並べたもの)において、赤とは対局にあるため、補色残像現象が起こりにくいという。
手術室の壁も青や緑色にする病院が多いのも同じ理由からだ。
青や緑は、赤い血の患部を見やすくする
さらに、青や緑を見ると、オペ中の患者の血にまみれた臓器など、赤いものの見え方がよりはっきりするようだ。
脳は、色を相対的に見て解釈している。医師が赤やピンク色のものをじっと見つめ続けていると、だんだん感度が鈍くなってくる。
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実際、脳内の赤色に対する信号が弱まり、人体の微妙な色合いの違いがわからなくなる可能性があるという。
カリフォルニア大学デービス校で、視覚を研究する心理学者ジョン・ワーナーは、ときどき、ブルーやグリーンのものを見ると、赤色の変化に対する鋭敏さが戻るという。
青緑色は目にやさしい
手術中、医師はどうしても赤い血を見なければならない。赤には興奮作用があるため緊張してしまうことがある。
そこで目にやさしいといわれる青や緑を視界に入れることで、リラックス効果が期待できるという。特に細かい作業で目を酷使する医師は緑色の手術着が最適とも言われているそうだ。
References:Why Do Doctors Wear Green Or Blue Scrubs? | Live Science / Surgeon explains why doctors wear all blue scrubs - Upworthy / written by konohazuku / edited by / parumo