海外4か国で『日本食の認知度調査』。4か国とも1位は「寿司」。海産物を使った昭和生まれの「カニカマ」「たこ焼き」が健闘!ニッポンは魚食の国?? | ニコニコニュース
株式会社紀文食品(東京都中央区)は、株式会社マーケティングアプリケーションズ(東京都渋谷区)の「海外モニターアンケート※1」を用いて、タイ・フランス・アメリカ・ブラジルで、「日本食(和食)の認知度調査」を行いました。
「あなたがご存じの日本食(和食)はどれですか?(複数回答)」という質問に対し、結果は以下の通りとなりました。4か国とも寿司がトップに、ラーメンが3位以内にランクインしました。
伝統食の「そば」「すき焼き」を上回る。ニッポンは魚食の国??
フランス・アメリカ・ブラジルのランキングでは、1970年代に日本で商品化された「カニカマ」が、江戸期のファストフードとして古典落語の題材としても取り上げられる「そば」や、1963年に全米1位のヒットを記録した坂本九さんの楽曲『上を向いて歩こう(英語タイトル=sukiyaki)』にもある「すき焼き」を抑えた結果となりました。
1930年代に開発されたとされる「たこ焼き」も、4か国で10位以内にランクインし、タイでは3位となりました。
また、寿司、カニカマ、たこ焼き以外に、てんぷらも10位以内にランクインしており、日本食を想起する際、魚食との相関性があることが見受けられます。(表:魚マークがついているのが「主な材料が魚の日本食」)
タイでは「カニカマ」が19位でした。「カニカマ」は「プーアッ」と呼ばれ、タイでも数多く生産されています。サラダはもちろん、寿司や鍋の具、ルークチン(魚や肉の練りもの)の屋台などで日常的に食されます。
よって、現地の方は「カニカマ」を日本生まれの食べ物と思っていないと推測され、このような結果になったと思われます。
「タイの練りものの解説」↓
(ページの下の方にルークチンの説明があります。)
https://www.kibun.co.jp/knowledge/neri/geography/asiakikou05/index.html
海外における日本食の普及
コロナ禍があけて本年の春ごろより外国人の観光客も増え始め、築地場外市場なども活況を呈しています。
また、海外における日本食の人気も、以下マップの日本食レストラン概数の通り、2021年の約15.9万店から2023年は約2割増の約18.7万店と、日本食の人気が高まっていることがわかります。
(出典)外務省調べに基づき、農林水産省おいて集計したページはこちら
https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/231013_12.html
世界のカニカマの生産国など
カニカマは「imitation crab stick」「surimi」などと呼ばれ、タイ、中国、韓国、インドなどのアジア、欧米などで生産されおり、東欧のリトアニアには世界最高の能力を誇るカニカマ工場があります。カニカマが2位となったフランスでは「surimi」という名前で、日本と同じ位の消費量と推測されています。
<カニカマの消費量(一般社団法人 日本かまぼこ協会※2 調べ)>
世界の食文化の探求をフィールドワークとされている写真家でルポライターの森枝卓士さんに、2013年、ヨーロッパの練り製品について伺いました。
カニカマが普及した理由として、全世界的に特に欧米で、寿司の普及の理由のひとつでもある、「 魚が肉よりも健康的というイメージ」が浸透していることが前提にあるとご説明いただきました。
カニカマは、「スケトウダラなどの白身魚から作られておりヘルシー感がありそのままでも食べやすい形状」「欧米では食品加工及び調理法で油を利用した方法が多いのに対しカニカマは蒸すという工程で作られていて健康志向に合致した」「カニというリッチな食ベものを代替品でさほど高価でもない価格で入手できる」などの理由から大衆化したのではないかということでした。
「森枝さんの解説 国際語となった「surimi」」 ↓
https://www.kibun.co.jp/knowledge/neri/geography/eurokikou02/
https://www.kibun.co.jp/knowledge/neri/geography/eurokikou01/index.html
世界のカニカマ料理
世界の家庭料理の講義も行う、江上料理学院(東京新宿区)の江上佳奈美副院長に、カニカマ料理について伺いました。
江上さんは、フランスの料理学校のコルドンブルーでの留学体験や、アメリカ産農産物の普及の仕事などで世界に赴かれた経験から、「フランスでは、テリーヌなどのように前菜として利用する方が多いですね。このほかパンにはさむなど、よく食されるようです。アメリカではカルフォルニアロールなどの寿司の具、サラダなどで利用されるようです。」とお話をいただきました。
とっておきのレシピは、フランス料理のひとつで塩味のケーキという意味を持ち前菜として食される「ケークサレ」をアレンジした「カニカマのケークサレ」とのこと。
https://www.kibun.co.jp/recipes/22224/
日本経済新聞社の白鳥和生さんに、海外のたこ焼きについて伺いました。
タコは、欧米など一部の国・地域で忌み嫌われる存在という先入観が日本人にはあります。しかし、今回のアンケート調査では意外にも「たこ焼き」が上位に入りました。日本を訪れる外国人観光客が増え、庶民的なソースの味や食べるシーンに好感を持ってくれているようです。また、たこ焼きなどの粉モノを愛する民間団体が海外に向けて情報発信したり、日本のチェーン店も海外進出したりしていることも背景にあります。
●インドネシアの事例
日本コナモン協会(大阪市、熊谷真菜会長)は2007年、インドネシア共和国ジョクジャカルタ特別州でたこ焼き店の開業を支援しました。06年に現地を襲った大地震の復興支援で、王女が日本のたこ焼きに注目してくれたのがきっかけだそうです。天かすの入手などの困難を克服し、今や人気のファストフードとして定着。タコではなくチーズ入りが一番人気といいます。
●チェーン店の海外進出
「築地銀だこ」を運営するホットランドは04年に香港で海外1号店を出し、現在は台湾、タイ、中国、マレーシア、インドネシアなどにも店舗網を広げています。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)も海外で展開する「DON DON DONKI」で様々な日本の食文化を伝えており、たこ焼き人気に一役買ってます。
●タイの事例
両社が進出しているタイでは、「カノムクロック」というタコ焼き器に似た調理器具で作る、半球形の生地の上にネギやトウモロコシなどをトッピングしたお菓子もあり、たこ焼きに親近感を持つ人もいるのかもしれません。
●欧米の事例
欧米でもたこ焼きの認知度は上がっています。米ニューヨーク市の中心部、マンハッタンで2023年5月に開かれたイベント「ジャパンパレード」では、お好み焼きやたこ焼きなどの屋台約25店が出店しました。日本経済新聞電子版の記事(2023年5月14日)によると、家族3人で訪れた市内在住の女性(40)が「たこ焼きを買うために1時間超並んだ。日本食は好きだし、祭りの雰囲気を楽しみにきた」と話しました。
アジアはなんといっても屋台が庶民の食を支えています。日本でもたこ焼きは屋台で提供されることが多く、外国人観光客も気軽に食べられます。戦前(1930年代)に誕生したと言われるたこ焼きですが、「かりっ」「とろっ」「ぷりっ」とした食感と甘辛いソースは、いまや国境を越えるまでに“魅力”を放っています。
以上
《 調査概要 》
■調査名:紀文・海外4か国 日本食アンケート
■調査手法:インターネットによるアンケート方式(株式会社マーケティングアプリケーションズ提供サーベロイド)
■調査日:タイ:2023年6月23日から30日、フランス:2023年7月21日、アメリカ:2023年6月23日、ブラジル:2023年6月23日
■調査対象::各国210人(内訳:男性20代35人、男性30代35人、男性40代以上35人、女性20代35人、女性30代35人、女性40代以上35人)
(株)マーケティングアプリケーションズ(以下MApps社)のセルフ型ネットリサーチツール「サーベロイド(https://surveroid.jp/ )」内のサービスで2023年5月にサービス開始。
詳細:MApps社が所有する海外の回答者さまへアンケートを実施するもので、アジア(中国/香港/台湾/韓国/オーストラリア/インド/インドネシア/マレーシア/フィリピン/シンガポール/タイ/ベトナム)、北米(アメリカ/カナダ)、南米(ブラジル/メキシコ)、ヨーロッパ(フランス/ドイツ/イタリア/イギリス/スペイン)、アフリカ(ケニア、ナイジェリア、南アフリカ)の24か国が調査対象。
※2:一般社団法人 日本かまぼこ協会:水産ねり製品(かまぼこ、ちくわなど)の製造業者による業界唯一の全国組織として1940年(昭和15年)に設立。
以上