事件は今月6日、ポーランド南東部プシェミシル市にある銀行「PKO Bank Polski」で発生した。犯人はゾーヤ・P(Zoja P.)という26歳の女で、建物に入ると銀行スタッフの1人にナイフの刃を向けて金銭を要求した。
当時の様子はカメラが捉えており、画面左側に立つゾーヤが右側にいるハイヒールの女性の髪の毛を鷲掴みにしていた。ナイフは映っていないが、周囲にいる他のスタッフはゾーヤがナイフを持っていたため迂闊に近づけない状態だ。女性の1人が「いったい何をしているの?」と尋ねるとゾーヤは「銀行強盗をしているんだよ」と答えたが、「なぜこんなことをするの?」と聞かれたゾーヤは「だって…」と返すだけだった。
この時、ゾーヤは奪った12,500ズウォティ(ポーランドの通貨単位)、日本円にして約38万円の現金をバッグの中に詰めていたが、その後ろから誰かが近づいてくるのが映像から確認できる。そしてその人物は持っていた杖を振りかざすと、ゾーヤに向かって力強く何度も振り下ろした。
突然の攻撃にゾーヤは隙を見せ、周囲の人々が一斉にゾーヤに駆け寄った。1人の女性がゾーヤを羽交い絞めにして「ナイフを奪って!」と叫ぶと、近くにいたスーツの男性がすかさずゾーヤの手からナイフを奪った。その後、通報を受けた地元警察が到着してゾーヤを逮捕したという。
今回ゾーヤを確保するきっかけとなった杖を振るった女性は、91歳のおばあちゃんであることが判明した。プシェミシル地方検察庁の広報担当であるマルタ・ペトカウスカさん(Marta Petkowska)は「素晴らしいタイミングで行動を起こし、銀行強盗の凶行を阻止したご婦人の行動は称賛に値しますよ」と感謝のコメントを述べている。
警察の調べにより、ゾーヤはウクライナとロシアの二重国籍を持っていることが分かった。ゾーヤは犯行を認めており、動機について「モスクワに帰るためのお金が必要だったから銀行を襲った」と供述したという。今後ゾーヤは精神鑑定を受ける予定で、精神状態に問題がなければ最低でも3年の懲役を受ける可能性があると報道されている。
ちなみに今年1月にはカナダで、73歳の女性が万引き犯の目出し帽を掴んで立ち向かう勇敢な姿を捉えた動画がネット上で拡散され、大きな話題を呼んでいた。
画像は『The First News 2022年12月8日付「Super gran overpowers armed bank robber by hitting her over the head with walking stick」(YouTube)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)